1977年の日本

1977年（昭和52年）の日本は、国際情勢の変動と国内の社会的な出来事が intertwined した一年でした。干支は丁巳（ひのとみ）にあたるこの年、天皇陛下は裕仁、内閣総理大臣は福田赳夫が務め、内閣官房長官は園田直から安倍晋太郎へと交代しました。国会は常会と複数回の臨時会が開催され、政治的な議論が重ねられました。

年明けには、日大理工学グループの人力飛行機「ストーク号」が世界新記録を樹立するなど明るいニュースがありましたが、直後に青酸コーラ無差別殺人事件の第一の事件が発生し、社会に衝撃を与えました。政局では、前年から続くロッキード事件の丸紅ルートと全日空ルートの初公判が相次いで開かれ、政界を揺るがす事件の真相解明が進められました。

交通インフラの整備も進み、神戸市営地下鉄や名古屋市営地下鉄鶴舞線、東急新玉川線（現・田園都市線）の一部区間が開業。一方、尾小屋鉄道や京都市電の一部区間がこの年限りで姿を消しました。航空関連では、同日に全日空機へのハイジャック事件が2件発生するという異例の事態がありましたが、関連性はなかったとされています。また、9月には日本航空クアラルンプール墜落事故や、世界を震撼させたダッカ日航機ハイジャック事件が発生し、航空機の安全に対する懸念が高まり、ハイジャック防止法が成立するに至りました。

文化面では、テレビ業界に大きな動きがありました。4月にはNETテレビが全国朝日放送（現・テレビ朝日）に社名を変更し、教育専門局から総合局へと転換しました。フジテレビでは人気バラエティ番組「ドリフ大爆笑」がスタートし、テレビ朝日では初の長時間レギュラードラマ枠「土曜ワイド劇場」が放送を開始しました。連続テレビ小説は『いちばん星』から『風見鶏』へと引き継がれました。また、この年の10月には、再放送や国外製作番組などを除く日本のテレビ放送が全てカラー化されました。

音楽シーンは、ピンク・レディーの「ペッパー警部」「S・O・S」「渚のシンドバッド」などが大ヒットし、国民的アイドルとしての地位を確立しました。キャンディーズも「やさしい悪魔」「暑中お見舞い申し上げます」などをヒットさせましたが、7月には日比谷野外音楽堂のコンサートで「普通の女の子に戻りたい」と解散を宣言し、大きな話題となりました。山口百恵は「赤い衝撃」「イミテイション・ゴールド」「秋桜」など立て続けにヒットを飛ばし、人気を不動のものとしました。その他、沢田研二、小林旭、都はるみ、八代亜紀、石川さゆり、さだまさし、清水健太郎、狩人、太田裕美、岩崎宏美、中島みゆきなど、多くのアーティストが印象的な楽曲を発表しました。特にアニメ「宇宙戦艦ヤマト」のヒットと共に、ささきいさおが歌う主題歌も広く知られました。映画では、「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」「八つ墓村」などが公開され、多くの観客を集めました。

スポーツ界では、読売ジャイアンツの王貞治選手が9月3日にハンク・アーロンを抜く世界新記録となる通算756号本塁打を達成しました。この功績を称え、日本政府は9月5日に国民栄誉賞を創設し、王選手が第1回目の受賞者となりました。プロ野球はセ・リーグが巨人の連覇、パ・リーグは阪急ブレーブスが優勝し、日本シリーズでは阪急が3連覇を達成しました。高校野球は春の選抜で箕島高校、夏の選手権で東洋大姫路高校がそれぞれ初優勝を飾りました。自転車競技では中野浩一選手が世界選手権で日本人初優勝を果たし、「世界のナカノ」として伝説の10連覇の最初の勝利を飾りました。競馬では、有馬記念で「TTG」と呼ばれるテンポイント、トウショウボーイ、グリーングラスの三強が激突し、日本競馬史上最高のレースの一つとして語り継がれています。

また、この年は長期にわたる豪雪に見舞われたほか、有珠山が噴火活動を開始しました。社会的な事件としては、横浜市の住宅地に米軍機が墜落し母子が犠牲になる痛ましい事故が発生しました。そして11月には、新潟市で横田めぐみさんが下校途中に北朝鮮の工作員に拉致されるという、後に重大な問題となる事件が発生しました。その他、多くの著名人がこの年に誕生し、またはこの世を去りました。

1977年は、華やかな芸能・スポーツの話題と、社会的な事件や災害が交錯する、激動の一年であったと言えるでしょう。

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