1978年の相撲

1978年の大相撲

1978年は、大相撲界にとって激動の一年でした。数々の出来事、記録が生まれ、多くの力士が土俵を去りました。この年の大相撲を詳細に振り返ります。

大相撲の主な出来事

1月には、元小結羽黒岩が引退し年寄雷を襲名、元前頭若ノ海、大鷲も引退し、それぞれ年寄大嶽、中村を襲名しました。また、元関脇旭川が72歳で亡くなりました。協会役員改選では、春日野理事長が3選を果たし、新理事に伊勢ヶ濱、武隈、伊勢ノ海、新監事に片男波が就任しました。この年から、幕内優勝力士には全国農業協同組合連合会賞が授与されるようになりました。

3月には、学生相撲出身の近畿大学長岡、駒澤大学牧野が幕下付出で角界入りしました。春場所後には、出羽嵐が常の山と改名し十両昇進。鷲羽山の実兄であり、36年ぶりの兄弟同時関取となりました。

4月には、第1回師匠会が開催され、部屋持ち親方30人が全員出席しました。伊勢ヶ濱部屋は文京区白山に新しく落成しました。

5月には、元前頭朝登、千代櫻が引退し、それぞれ年寄東関、君ヶ濱を襲名。元小結成山が46歳で亡くなりました。夏場所後には、若三杉の横綱推挙が決定し、若乃花幹士と改名しました。元前頭芳野嶺は熊ヶ谷部屋を独立、ただ一人の弟子は自身の息子でした。

9月には、実業団出身の板井（大鳴戸）が前相撲からデビュー。場所6日目には昭和天皇が観戦されました。また、中国出身力士の清乃華が廃業しました。

10月には、福岡が水不足のため、力士の乗り込みが遅れるという事態が発生しました。

11月には、相撲教習所の校歌が作られました。

12月には、元小結巴潟が肝硬変のため67歳で亡くなりました。

本場所の結果

一月場所（蔵前国技館）

幕内最高優勝：北の湖敏満（15戦全勝、10回目）
殊勲賞：豊山
敢闘賞：玉ノ富士、蔵間
十両優勝：黒瀬川國行（11勝4敗）

三月場所（大阪府立体育館）

幕内最高優勝：北の湖敏満（13勝2敗、11回目）
殊勲賞：富士櫻
敢闘賞：尾形
技能賞：蔵間
十両優勝：大觥吉男（11勝4敗）

五月場所（蔵前国技館）

幕内最高優勝：北の湖敏満（14勝1敗、12回目）
殊勲賞：琴風
敢闘賞：千代の富士
十両優勝：鷲羽山佳和（11勝4敗）

七月場所（愛知県体育館）

幕内最高優勝：北の湖敏満（15戦全勝、13回目）
殊勲賞：富士櫻
敢闘賞：出羽の花
十両優勝：鷲羽山佳和（10勝5敗）

九月場所（蔵前国技館）

幕内最高優勝：北の湖敏満（14勝1敗、14回目）
敢闘賞：播竜山
技能賞：麒麟児
十両優勝：巨砲丈士（11勝4敗）

十一月場所（九電記念体育館）

幕内最高優勝：若乃花幹士（15戦全勝、2回目）
殊勲賞：麒麟児
敢闘賞：黒姫山
技能賞：青葉山
十両優勝：谷嵐久（13勝2敗）

年間最優秀力士賞と年間最多勝は、いずれも北の湖敏満が獲得しました（82勝8敗）。

誕生した力士

この年、後に活躍する多くの力士が誕生しました。

2月14日：錦風真悟（最高位：幕下筆頭）
3月18日：霜鳥典雄（最高位：小結）
5月5日：雷光肇（最高位：十両11枚目）
5月11日：潮丸元康（最高位：前頭10枚目）
10月3日：安美錦竜児（最高位：関脇）

亡くなった力士

多くの力士がこの世を去りました。

1月31日：旭川幸之焏（最高位：関脇）
5月8日：成山明（最高位：小結）
12月24日：巴潟誠一（最高位：小結）

その他

二子山（初代若乃花）による格言『人間辛抱だ』が、テレビCMや著書で話題となり流行語となりました。

1978年は、北の湖の圧倒的な強さが際立った一方で、若乃花の横綱昇進、多くの力士の引退や死去など、相撲界の歴史に深く刻まれる一年となりました。

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