1982年のル・マン24時間レース

1982年ル・マン24時間レース：グループC時代の幕開けとポルシェの圧倒的勝利

1982年、フランスのサルト・サーキットで開催されたル・マン24時間レースは、記念すべき50回大会であり、新たなレギュレーションによってグループC車両が主役となる転換期を迎えました。この年、参加車両の減少を防ぐため、グループ6車両（排気量2,000cc以下）も引き続き参戦が認められましたが、57台の参加車両のうち、約半数をグループC車両が占める結果となりました。各チームは、最大2,600リットルの燃料制限下で戦略を練ることとなりました。

グループC：ポルシェ956の圧倒的な性能

前年の優勝チームであるポルシェは、新型ポルシェ956で参戦。935/76型2,649ccツインターボエンジンを搭載し、最高出力650PS、車重820kgという圧倒的なスペックを誇りました。一方、アストンマーティンはローラT70系のシャシを採用した車両で参戦しましたが、車重が1,047kg～1,051kgとポルシェに比べて重く、ハンデとなりました。

他メーカーもフォード・コスワース・DFLエンジン（3,955cc自然吸気）を搭載した車両を投入。最高出力550PSを誇りましたが、燃費を考慮し、エンジン回転数を8,000～8,500rpmに抑えて走行する必要がありました。フランスのWM社は、プジョー製2,849cc V型6気筒エンジンをベースに改良を加えたWM-P82を投入し、注目を集めました。

グループ6：ランチアLC1の挑戦

グループ6からは、ランチアLC1が参戦。ベータ・モンテカルロ用の1,425cc直列4気筒ターボエンジンを搭載し、450PSを発生させました。車重が640kgと軽量だったため、グループC車両より重い車両が多い中、ポルシェ956のライバルとして期待されました。

IMSA-GTX：マツダRX-7の完走への挑戦

マツダは、トム・ウォーキンショー・レーシングと協力し、マツダRX-7 254を2台投入。完走を目標にレースに臨みました。

予選：ポルシェの圧倒的ポールポジション

55台の車両が出走した予選は、2日間で合計8時間にわたって行われました。ジャッキー・イクスとデレック・ベル組のポルシェ956は、予選開始からわずか2時間足らずで前年の記録を11秒も上回る3分28秒40を記録。ポールポジションを獲得しました。ランチアLC1は4位という結果でした。多くのグループC車両はトラブルに見舞われ、予選中に修正や調整に追われることとなりました。マツダRX-7は、予選タイム50位、53位という結果でしたが、決勝への進出を果たしました。

決勝：ポルシェの圧勝とマツダの完走

決勝レースは、ポルシェ956の圧倒的な強さが際立ちました。序盤はフォード・コスワース・DFLエンジン搭載車の燃費の良さが目立ち、ポルシェを上回る場面もありましたが、トラブルやガス欠によるリタイヤが相次ぎました。夜が明ける頃には、ポルシェ956が上位を独占。ポルシェは、燃費を考慮し過給圧を調整するなど、戦略的な対応でレースを支配しました。

一方、マツダRX-7は、マシントラブルに見舞われながらも、粘り強い走りで完走を果たし、マツダにとって初のル・マン完走という歴史的偉業を達成しました。アストンマーティンも、序盤は苦戦しながらも、最終的に総合7位に入賞しました。

結果

18台が完走を果たしたレースは、ジャッキー・イクス/デレック・ベル組のポルシェ956が優勝。ポルシェはトップ5を独占する圧勝を収めました。マツダ82号車は、総合14位で完走を果たし、IMSA-GTXクラス6位に入賞しました。

このレースは、グループC規定導入による新たな時代の始まりを告げるとともに、ポルシェの圧倒的な強さ、そして各チームの挑戦とドラマが凝縮された、記憶に残るレースとなりました。

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