1984年の世界ラリー選手権

1984年のFIA世界ラリー選手権は、アウディの圧倒的な力を見せつけたシーズンとなりました。前年同様、全12戦でタイトルが争われ、白熱した戦いが繰り広げられました。

アウディの強さ

アウディ・スポーツは、強力なドライバー陣を擁していました。前年度チャンピオンのハンヌ・ミッコラ、新星スティグ・ブロンクビスト、ベテランのヴァルター・ロール、そしてパートタイムながらミシェル・ムートンという豪華な布陣です。この強力なドライバー陣と、アウディ・クワトロA2の高い戦闘力によって、シーズン序盤から圧倒的な強さを見せつけました。

対するマルティーニ・レーシングは、マルク・アレンを筆頭にミキ・ビアシオン、アッティリオ・ベッテガと経験豊富なドライバーを揃えましたが、アウディの勢いを止めるには至りませんでした。ランチアのチーム代表チェーザレ・フィオリオはアウディの強さを認め、翌シーズンを見据え、ヘンリ・トイヴォネンをポルシェから獲得するなど、対策を講じ始めました。

ブロンクビストとミッコラの争い

ブロンクビストとミッコラは、アウディ・クワトロA2を駆り、シーズンを通してトップ争いを展開しました。ブロンクビストは5勝を挙げる活躍を見せ、ミッコラも安定した走りで8回の表彰台を獲得しました。しかし、ミッコラはブロンクビストの勢いを止めることができず、最終的にドライバーズランキング2位に終わりました。ブロンクビストの圧倒的な勝利により、アウディはマニュファクチャラーズタイトルも獲得しました。

その他勢力

ランチアのマルク・アレンは、ランチア・ラリー037で1勝を挙げランキング3位となりました。シーズン後半にはアリ・バタネンがプジョー・205 T16で復帰し、終盤4戦で3勝を挙げランキング4位を獲得しました。バタネンの活躍は、ジャン・トッド率いるプジョーチームがアウディに対抗できる力を持つことを示唆し、翌シーズンのグループBでの活躍を予感させました。

ランキングについて

ドライバーズランキングは全12戦の結果が反映されましたが、マニファクチャラーズランキングは10戦のみが有効とされました。また、スウェーディッシュ・ラリーとラリー・コートジボワールはドライバーズタイトルのみを決定するイベントでした。

まとめ

1984年シーズンのWRCは、アウディの圧倒的な強さ、そしてブロンクビストとミッコラの激しいタイトル争いが記憶に残るシーズンとなりました。同時に、プジョーの台頭も示唆され、今後のWRCの勢力図の変化を予感させるシーズンでもありました。アウディの技術力とドライバー陣の力量が融合した結果、WRCの歴史に名を刻むシーズンとなりました。今後のWRCの発展に大きな影響を与えたシーズンと言えるでしょう。

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