2.5GHz帯

2.5GHz帯とは

2.5GHz帯（2.5ギガヘルツたい）は、主に移動体通信や衛星通信に利用される電波の周波数帯域です。具体的には、2545 MHzから2690 MHzの範囲が移動体通信向けに割り当てられています。この周波数帯は、国際的には1800 MHz帯と並んで、第3.9世代移動通信システムであるLTEで広く利用されています。

用途

国際的には、LTEのBand 7（上り2500 MHz - 2570 MHz、下り2620 MHz - 2690 MHz）とBand 41（2496 MHz - 2690 MHz）が主要な帯域として利用されています。日本では、衛星通信のN-STAR（ワイドスターなど）、移動体通信のAXGP、モバイルWiMAX、地域WiMAXなどで使用されています。過去には、衛星放送のモバHO!でも利用されていました。

具体的には、2500 MHz - 2535 MHzと2655 MHz - 2690 MHzが移動体衛星通信に、2545 MHz - 2625 MHzが移動体通信、特に広帯域移動無線アクセスシステム（BWA）向けに割り当てられています。

モバイル通信での利用動向

総務省は、モバHO!のサービス終了に伴い、2630 MHz - 2655 MHzの帯域の利用調査を実施しました。これを受けて、各事業者が2.5GHz帯の有効活用を提案しています。

NTTドコモ: この帯域がBand 7の下りに相当することから、LTE-Advancedで下りを束ねるキャリアアグリゲーションを用いて高トラフィック地域の増容量策に利用することを提案しました。Band 7対応のLTE-Advanced端末はハードウェアをそのまま利用できる可能性も考慮されています。
UQコミュニケーションズ: WiMAX Release 2.1での利用を提案しています。
Wireless City Planning: 高度化XGPシステム（AXGP）での利用を提案しています。

3GPP（第三世代パートナーシッププロジェクト）では、LTE向けに以下の帯域が定義されています。

Band 7 (FDD: 上り2500 MHz – 2570 MHz、下り2620 MHz – 2690 MHz)
Band 38 (TDD: 2570 MHz – 2620 MHz)
Band 41 (TDD: 2496 MHz - 2690 MHz)

Band 7は、主にヨーロッパやアジアでLTE（FDD）として広く使われています。一方、Band 41は、中国のChina MobileやアメリカのClearwireでTD-LTEとして利用されています。

2.5GHz帯の割り当てを巡る動き

2013年4月、地域WiMAX事業者やドコモは、帯域の要件を満たさないと判断されました。同年6月の申請では、UQコミュニケーションズとWireless City Planningの2社が申請を行い、UQが20 MHz幅、WCPが10 MHz幅を申請しました。同年7月には、UQに20 MHz幅が割り当てられると報道され、WCPの親会社であるソフトバンクが行政訴訟も辞さない姿勢を示しましたが、報道通りUQへの割り当てが決定しました。

その後、ソフトバンクとWCPは訴訟準備に入りましたが、免許交付に対する差し止めの仮処分申請が出されなかったため、UQは予定通り2013年10月31日にWiMAX 2.1方式のサービス（WiMAX 2+）を開始しました。

利用周波数

現在、2.5GHz帯は以下の事業者に割り当てられ、サービス提供が行われています。

Wireless City Planning (AXGP)
2545 MHz - 2575 MHz（30 MHz幅）：ただし、一部は既存事業者の退去待ちのため、2014年12月末まで20 MHz幅での運用。
地域BWA (WiMAX方式)
2582 MHz - 2592 MHz（10 MHz幅）
地域BWA (高度化方式 WiMAX 2.1またはAXGP)
2575 MHz - 2595 MHz（20 MHz幅）
UQコミュニケーションズ (モバイルWiMAX)
2595 MHz - 2625 MHz（30 MHz幅）
UQコミュニケーションズ (WiMAX 2.1新規割り当て)
2625 MHz - 2645 MHz（20 MHz幅）

提供中のサービス

現在、2.5GHz帯を利用した主なサービスは以下の通りです。

UQコミュニケーションズ
UQ WiMAX: モバイルWiMAXを利用し、下り最大40 Mbps、上り最大15.4 Mbpsの通信速度を提供。通信容量は無制限です。MVNOにも利用され、KDDI/沖縄セルラー電話のスマートフォンでも利用されています（+WiMAX）。Wi-Fiスポット（au Wi-Fi SPOT、Wi2 300）のバックボーン回線としても利用されています。
WiMAX 2+: WiMAX Release 2.1（TD-LTE互換）を使用し、下り最大110 Mbps、上り最大10 Mbpsの通信速度を提供。無制限プランと月間7GBのプランがあります。KDDI/沖縄セルラー電話のau 4G LTE対応端末で利用でき、au 4G LTEで7GB以上の通信を行うと、WiMAX 2+を含めて128kbpsに制限されますが、WiMAX 2+が利用できない地域ではau網での通信が可能です。
Wireless City Planning
AXGP: TD-LTE互換のAXGPを利用し、下り最大110 Mbps、上り最大10 Mbpsの通信速度を提供。ソフトバンクがSoftBank 4GとしてMVNOで利用しています。ソフトバンクWi-Fiスポットのバックボーン回線として利用され、AXGPが利用できない場合は1.5GHz帯のULTRA SPEEDがバックボーン回線として利用されます。SoftBank Airでは、AXGP回線を通信容量無制限で利用できますが、固定ルーター型の専用端末のため、モバイル用途には適していません。
地域BWA
AXGP: 「Baycom LTE」（株式会社ベイ・コミュニケーションズ）や「Hai connect」（阪神ケーブルエンジニアリング株式会社）などが提供しています。全国で93事業者がサービスを提供しています（令和2年12月31日現在）。
WiMAX: 全国で8事業者がサービスを提供しています（令和2年12月31日現在）。

まとめ

2.5GHz帯は、モバイル通信において重要な役割を担う周波数帯です。LTEをはじめとする高速通信技術の普及に伴い、その利用はますます重要になっています。様々な事業者によるサービスの提供や技術開発が進められており、今後もその動向が注目されます。

脚注

関連情報：マイクロ波、携帯電話、無線、ヘルツ、150MHz帯、400MHz帯、700MHz帯、800MHz帯、850MHz帯、900MHz帯、1.5GHz帯、1700MHz帯、1800MHz帯、2GHz帯、3.5GHz帯、広帯域移動無線アクセスシステム (BWA)、WiMAX、XGP、Long Term Evolution

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