1800MHz帯

1800MHz帯とは



1800MHz帯（1800メガヘルツたい）は、主に携帯電話サービスで利用されている周波数帯です。日本では、1.7GHz帯と呼ばれることもあります。この周波数帯は、携帯電話事業者にとって重要な通信インフラの一部であり、高速データ通信を支える基盤となっています。

周波数帯の概要



携帯電話向けに割り当てられている1800MHz帯の周波数範囲は、上り（端末から基地局へ）が1749.9MHzから1784.9MHz、下り（基地局から端末へ）が1844.9MHzから1879.9MHzです。また、公共業務用の固定無線通信にも1710MHzから1850MHzの範囲が使用されています。国際電気通信連合（ITU）では、この帯域をIMT-2000帯域としています。

日本国内では、総務省によって1.7GHz帯として管理されており、ソフトバンクのダブルLTEサービスなどでこの名称が用いられています。NTTドコモや旧イー・モバイルも、UMTS（3G）用途では1.7GHz帯と呼んでいましたが、LTE（4G）では1800MHz帯としています。

世界の利用状況



1800MHz帯は、世界中で広く利用されている周波数帯の一つです。

気象観測への利用



1.7GHz帯の一部（1668.4MHz - 1709.9MHz）は、気象援助や気象衛星のデータ伝送用に割り当てられています。この範囲は、気象観測機器や気象衛星のデータ伝送に不可欠です。

主な利用例としては、ラジオゾンデ（日本ではデジタル方式への移行に伴い運用終了）、気象衛星ひまわり7号（運用終了）、中国の気象衛星風雲、アメリカ海洋大気庁の気象衛星TIROS-N/NOAA、欧州気象衛星開発機構の気象衛星MetOpなどがあります。

欧州・アジアでの展開



欧州やアジア（日本、韓国を除く）では、第2世代移動通信システムであるGSMや第3.9世代移動通信システムのLTEが広く展開されています。この帯域は、一般的にGSM-1800またはDCS-1800と呼ばれています。周波数範囲は、上りが1710MHzから1785MHz、下りが1805MHzから1880MHzです。

3GPP（3rd Generation Partnership Project）では、この帯域をBand III(3)として定義しています。

各国での利用




アメリカ合衆国（AWS）



アメリカでは、1700MHz帯はAWS（Advanced Wireless Services）と呼ばれ、上り帯域に割り当てられています。T-Mobile USなどがW-CDMA方式でサービスを提供しています。AWS帯の上りは1710MHzから1755MHz、下りは2110MHzから2155MHzです。3GPPではBand IVおよびXとして定義されています。

AWS帯に対応した携帯電話は、対応バンドに「1700」と表示されることがありますが、日本では下り帯域が異なるため使用できません。日本では、GS01（イー・アクセス）のみが対応していました。

日本の状況



日本では、1800MHz帯は総務省によって「1.7GHz帯」と呼ばれています。ただし、旧ワイモバイル（旧イー・モバイル）はLTE向けには1800MHz帯と呼んでいました。海外の1700MHz帯は、アメリカのAWS帯を指します。厳密には上り帯域のみを指します。両方に対応した電話機の場合、バンド番号で表記するか、日本側を1700、米国側をAWSと表記することもあります。

利用周波数



各事業者の利用周波数は以下の通りです。

  • - au（KDDI/沖縄セルラー）：基地局送信 1805-1825MHz、移動局送信 1710-1730MHz
  • - 楽天モバイル：基地局送信 1825-1845MHz、移動局送信 1730-1750MHz
  • - ソフトバンク（旧ワイモバイル）：基地局送信 1845-1860MHz、移動局送信 1750-1765MHz
  • - NTTドコモ（東名阪限定）：基地局送信 1860-1880MHz、移動局送信 1765-1785MHz
  • - 楽天モバイル（東名阪以外限定）：基地局送信 1860-1880MHz、移動局送信 1765-1785MHz
  • - 防衛省：1710-1739.9MHz、1775-1824.9MHz（ガードバンドを含む）

以前は米軍に割り当てられていた帯域の一部は、防衛省の公共業務用無線システムに割り当てられています。NTTドコモは、この周波数帯にまたがる帯域を東名阪バンドとして運用しています。

全国バンドと東名阪バンド



1800MHz帯は、全国どこでも利用可能な全国バンドと、東京、名古屋、大阪の大都市部限定の東名阪バンドに分かれています。

  • - 全国バンド（1844.9-1859.9MHz）：新規事業者向けに割り当て
  • - 東名阪バンド（1764.9-1784.9MHz, 1859.9-1879.9MHz）：大都市部限定で利用可能

全国バンドは、イー・モバイルとソフトバンクに割り当てられましたが、ソフトバンクがボーダフォン日本法人を買収したため、免許を返上しました。東名阪バンドは、NTTドコモが大都市部での周波数逼迫のため割り当てを受けました。

3.9Gに向けた新規割り当て



BBモバイルが返上した全国バンドと1.5GHz帯が、DC-HSDPA・LTEサービス向けに割り当てられることになり、イー・モバイルが既存周波数帯と連続した利用を希望しました。これにより、イー・モバイルは15MHz幅の帯域を利用できるようになり、DC-HSDPAおよびLTEサービスを開始しました。

NTTドコモも、東名阪バンドをLTE Bands 3として利用開始し、既存の他の帯域とは異なり、20MHz幅×2の全ての帯域をLTEにリプレースしました。

2013年には、イー・アクセスに隣接する帯域の割り当てが検討され、イー・アクセス、NTTドコモ、KDDIの3社が獲得意向を表明しました。

2018年の新規割り当て



2018年に、3.4GHz帯と合わせてauと楽天モバイルに割り当てが行われました。公共業務用無線システムは4.5GHz帯に移行される予定です。ドコモ東名阪バンドと同じ帯域の、東名阪以外の割り当ては2021年以降に検討される方針です。

5G転用



ソフトバンクは、一部帯域を5Gに転用することを発表しています。

対応携帯電話



対応機種は機種ごとの仕様一覧に記載されなくなりましたが、すべての端末が対応しているわけではありません。主にBand II（1900MHz帯）対応機種で、Band IXがはじかれるケースが多いです。ただし、2011年冬モデル以降のスマートフォンでは、Band II非対応・Band IX対応の機種も登場しています。

Bands 9(UMTS)対応端末




Bands 3(LTE)対応端末




歴史




かつて利用されていた公共業務



かつて1800MHz帯は米軍に割り当てられていましたが、現在は携帯電話用として利用されています。

注記



この周波数帯の利用状況は常に変化しており、最新の情報は関連機関の発表をご確認ください。

関連項目




外部リンク



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