2008年の文学

2008年の文学

2008年は、文学界にとって様々な出来事があった年です。国内では芥川賞、直木賞の選考、海外ではノーベル文学賞の発表など、注目を集めるイベントが目白押しでした。また、人気シリーズの完結や新たな才能の登場など、多様な作品が文学界を賑わせました。

主な出来事

1月、第138回芥川龍之介賞・直木三十五賞が発表。芥川賞は川上未映子の『乳と卵』、直木賞は桜庭一樹の『私の男』が受賞しました。
7月、第139回芥川龍之介賞・直木三十五賞が発表。芥川賞は中国人作家、楊逸の『時が滲む朝』、直木賞は井上荒野の『切羽へ』が受賞。楊逸の受賞は、中国人作家として初の芥川賞受賞となりました。
7月、国文学研究資料館の伊井春樹館長が、『源氏物語』の幻の写本「大沢本」を発見したと発表。特に54帖中28帖は「別本」と呼ばれる貴重なもので、源氏物語研究に新たな光を当てるものとして期待されました。
7月、世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの完結編、『ハリー・ポッターと死の秘宝』日本語版が発売。発売を記念し、新宿伊勢丹では4億5,000万円相当の関連本が展示され、話題を呼びました。
10月、ノーベル文学賞はフランスのジャン＝マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオに授与されました。
ブッカー賞には、インドのアラヴィンド・アディガ著『ザ・ホワイト・タイガー』が選ばれました。
ゴンクール賞は、アフガニスタン・フランスの二重国籍を持つアティーク・ラヒーミー著『サンゲ・サブール ― 忍耐の石』が受賞しました。
年末には、トーハンが年間ベストセラーを発表。『ハリー・ポッターと死の秘宝』が総合1位を獲得。また、血液型本の人気も高く、トップ10のうち4作を占めました。

受賞作品

芥川賞: 川上未映子『乳と卵』、楊逸『時が滲む朝』
直木賞: 桜庭一樹『私の男』、井上荒野『切羽へ』
谷崎潤一郎賞: 桐野夏生『東京島』
泉鏡花文学賞: 南木佳士『草すべり、その他の短編』、横尾忠則『ぶるうらんど』
群像新人文学賞: 松尾依子『子守唄しか聞こえない』
野間文芸新人賞: 津村記久子『ミュージック・ブレス・ユー!!』
小林秀雄賞: 多田富雄『寡黙なる巨人』
本屋大賞: 伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
ノーベル文学賞: ジャン＝マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ
ブッカー賞: アラヴィンド・アディガ『ザ・ホワイト・タイガー』
ゴンクール賞: アティーク・ラヒーミー『サンゲ・サブール ― 忍耐の石』

2008年に出版された主な書籍

小説

麻見和史 『真夜中のタランテラ』
有川浩 『阪急電車』
伊藤計劃 『ハーモニー』
桐野夏生 『東京島』
湊かなえ 『告白』
本谷有希子 『乱暴と待機』
よしもとばなな 『サウスポイント』

その他

小川洋子 『科学の扉をノックする』
水村美苗 『日本語が亡びるとき』
武良布枝 『ゲゲゲの女房』

2008年に亡くなった主な作家・文学関係者

2008年には、多くの著名な作家や文学関係者が亡くなりました。

石井桃子（児童文学作家）
川内康範（作詞家・小説家）
小川国夫（小説家）
アレクサンドル・ソルジェニーツィン（小説家）
マイケル・クライトン (小説家)
加藤周一（文芸評論家）
ハロルド・ピンター（劇作家）


2008年は、文学界にとって別れと出会いが交錯した一年となりました。多くの作品が生まれ、人々の心を豊かにした一方で、文学界を支えてきた巨匠たちがこの世を去りました。彼らの功績は、これからも文学史に深く刻まれることでしょう。

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