2011年の文学

2011年の文学

2011年（平成23年）の文学界は、様々な出来事が重なり、文学史に残る一年となりました。ここでは、その主要な出来事、文学賞の受賞作品、出版された書籍、そしてこの世を去った作家たちについて詳しく見ていきましょう。

主な出来事

2011年には、文学界を揺るがす様々な出来事がありました。

1月17日：第144回芥川龍之介賞・直木三十五賞（2010年下半期）の選考委員会が開催され、朝吹真理子の『きことわ』と西村賢太の『苦役列車』が芥川賞、木内昇の『漂砂のうたう』と道尾秀介の『月と蟹』が直木賞を受賞しました。
3月3日：第45回吉川英治[[文学賞]]と吉川英治[[文学新人賞]]が発表され、森村誠一の『悪道』が文学賞、辻村深月の『ツナグ』が新人賞を受賞しました。
4月6日：第42回大宅壮一ノンフィクション賞が発表され、角幡唯介の『空白の五マイル』と国分拓の『ヤノマミ』が受賞しました。また、第5回大江健三郎賞は星野智幸の『俺俺』に決定しました。
4月12日：第8回本屋大賞は東川篤哉の『謎解きはディナーのあとで』が受賞しました。
4月22日：第64回日本推理作家協会賞が決定し、長編部門は麻耶雄嵩の『隻眼の少女』と米澤穂信の『折れた竜骨』、短編部門は深水黎一郎の「人間の尊厳と八〇〇メートル」、評論その他部門は東雅夫の『遠野物語と怪談の時代』が受賞しました。また、フィリップ・K・ディック賞の特別賞は伊藤計劃の『ハーモニー』が受賞しました。
5月14日：第11回本格ミステリ大賞が決定しました。
7月6日：『ストランド・マガジン』批評賞が発表されました。
7月10日：SF大会参加者のファン投票により星雲賞が決定しました。
7月14日：第145回芥川龍之介賞・直木三十五賞（2011年上半期）の選考委員会が開催され、芥川賞は該当作なし、直木賞は池井戸潤の『下町ロケット』が受賞しました。

また、ロバート・B・パーカーの〈スペンサー〉シリーズと〈ジェッシィ・ストーン〉シリーズの継続執筆が決定し、それぞれエース・アトキンスとマイクル・ブランドマンが引き継ぐことになりました。

各賞の受賞作品

日本国内

第144回（2010年下半期）芥川賞：朝吹真理子『きことわ』、西村賢太『苦役列車』
第144回（2010年下半期）直木賞：木内昇『漂砂のうたう』、道尾秀介『月と蟹』
第145回（2011年上半期）芥川賞：該当作なし
第145回（2011年上半期）直木賞：池井戸潤『下町ロケット』
第47回谷崎潤一郎賞：稲葉真弓『半島へ』
第39回泉鏡花文学賞：瀬戸内寂聴『風景』、夢枕獏『大江戸釣客伝』
第54回群像新人文学賞：彌榮浩樹『1%の俳句 一挙性・露呈性・写生』
第33回野間文芸新人賞：本谷有希子『ぬるい毒』
第45回吉川英治[[文学賞]]：森村誠一『悪道』
第45回吉川英治[[文学新人賞]]：辻村深月『ツナグ』
第42回大宅壮一ノンフィクション賞：角幡唯介『空白の五マイル』、国分拓『ヤノマミ』
第10回小林秀雄賞：高橋秀実『ご先祖様はどちら様』
第8回本屋大賞：東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』
本屋大賞 中2賞：山田玲司『非属の才能』、北尾トロ『キミは他人に鼻毛が出てますよといえるかデラックス』
第64回日本推理作家協会賞：
長編および連作短編集部門：麻耶雄嵩『隻眼の少女』、米澤穂信『折れた竜骨』
短編部門：深水黎一郎「人間の尊厳と八〇〇メートル」
評論その他部門：東雅夫『遠野物語と怪談の時代』
第42回星雲賞：
日本長編部門：山本弘『去年はいい年になるだろう』
日本短編部門：小川一水「アリスマ王の愛した魔物」
海外長編部門：マイクル・フリン『異星人の郷』
海外短編部門：ジェイムズ・ラヴグローヴ「月をぼくのポケットに」
第5回大江健三郎賞：星野智幸『俺俺』
第23回日本ファンタジーノベル大賞：
大賞：勝山海百合『さざなみの国』
優秀賞：日野俊太郎『吉田キグルマレナイト』

日本国外

ノーベル[[文学賞]]：トーマス・トランストロンメル
ブッカー賞：ジュリアン・バーンズ『The Sense of an Ending』
フィリップ・K・ディック賞 特別賞：伊藤計劃『ハーモニー』
フランツ・カフカ賞：ジョン・バンヴィル
アーサー・エリス賞 最優秀賞：ルイーズ・ペニー『Bury Your Dead』

2011年の主な書籍

2011年には、様々なジャンルの書籍が出版されました。以下に主な作品を挙げます。

小説

稲葉真弓 『半島へ』
小川洋子 『人質の朗読会』
角田光代 『かなたの子』
小池昌代 『弦と響』
笙野頼子 『人の道御三神といろはにブロガーズ』
高橋源一郎 『恋する原発』
谷川流 『涼宮ハルヒの驚愕（前）』
谷川流 『涼宮ハルヒの驚愕（後）』
津島佑子 『葦舟、飛んだ』
西加奈子 『円卓』
沼田まほかる 『ユリゴコロ』
花房観音 『花祀り』
丸谷才一 『持ち重りする薔薇の花』
三浦しをん 『舟を編む』
柚木麻子 『嘆きの美女』
よしもとばなな 『スウィート・ヒアアフター』

その他

小澤征爾・村上春樹 『小澤征爾さんと、音楽について話をする』
内田樹 『うほほいシネクラブ―街場の映画論』
河北新報社 『河北新報のいちばん長い日』
萩尾望都 『一瞬と永遠と』
藤本ひとみ・住滝良 『探偵チームKZ事件ノート』
丸谷才一 『完本 日本語のために』
村上春樹 『村上春樹 雑文集』
村上春樹・大橋歩 『おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2』
ウォルター・アイザックソン 『スティーブ・ジョブズ』

物故作家

2011年には、多くの著名な作家がこの世を去りました。以下にその一部を記します。

1月4日：ディック・キング＝スミス（イギリスの児童[[文学]]作家、88歳没）
1月6日：大野靖子（日本の脚本家、小説家、82歳没）
1月10日：ジョー・ゴアズ（アメリカの作家）
1月10日：マリア・エレナ・ワルシュ（アルゼンチンの歌手、詩人、80歳没）
1月15日：エドワード・ウェレン（アメリカの作家）
1月20日：レイノルズ・プライス（アメリカの詩人、小説家、77歳没）
1月22日：朴婉緒（大韓民国の小説家）
1月27日：岡上鈴江（日本の児童[[文学]]者・翻訳家、小川未明の娘）
1月29日：上田周二（詩人）
2月1日：庄司肇（日本の作家）
2月2日：宮本徳蔵（作家）
2月17日：小幡欣治（日本の劇作家・演出家）
2月22日：はまみつを（日本の児童[[文学]]者）
3月27日：H・R・F・キーティング（イギリスの推理作家）
3月31日：いいだもも（日本の作家、評論家）
4月3日：長崎源之助（日本の児童[[文学]]作家、87歳没）
4月4日：クレイグ・トーマス（イギリスの作家）
4月7日：岸田衿子（日本の詩人・童話作家、82歳没）
4月29日：ジョアンナ・ラス（アメリカ合衆国のSF作家、74歳没）
5月6日：団鬼六（日本の小説家、80歳没）
5月7日：桜田晋也（日本の歴史小説作家、61歳没）
5月14日：菅聡子（日本の文芸評論家、48歳没）
6月4日：リリアン・J・ブラウン（アメリカの推理作家、97歳没）
7月10日：瀬川昌男（日本のSF作家、児童読物作家、80歳没）
7月22日：上田公子（日本の翻訳家、81歳没）
7月25日：デイヴィッド・グッドマン（アメリカの日本文学研究者）
7月26日：小松左京（日本のSF作家、80歳没）
8月29日：千代國一（日本の歌人、95歳没）
9月10日：杉山好（日本のドイツ文学者、82歳没）
9月21日：辺見じゅん（日本の歌人、小説家、72歳没）
9月23日：児玉輝代（日本の俳人、85歳没）
10月11日：立川洋三（日本の作家、ドイツ文学者）
10月13日：中川正文（日本の児童[[文学]]作家）
10月18日：長谷川摂子（日本の児童[[文学]]作家）
10月20日：内藤初穂（日本のノンフィクション作家）
10月24日：北杜夫（日本の小説家、84歳没）
10月27日：直良三樹子（日本の作家・翻訳家、85歳没）
11月14日：土屋隆夫（日本の小説家、94歳没）
1[[1月15日]]：柘植光彦（日本の文芸評論家、著作家）
11月21日：アン・マキャフリイ（アメリカ合衆国の小説家）
11月25日：村田正夫（日本の詩人、評論家）
1[[2月1日]]：クリスタ・ヴォルフ（ドイツの小説家）
12月12日：羽鳥徹哉（日本の文学者、日本近代文学の研究者）
12月13日：竹村和子（日本の文学研究者）
* 12月21日：松野正子（日本の児童[[文学]]作家・翻訳家）

2011年の文学界は、多くの才能が輝き、また多くの巨匠がこの世を去った、まさに激動の一年でした。この年を振り返ることで、文学の奥深さと、その歴史の重みを感じることができるでしょう。

もう一度検索