2024年の鉄道

2024年は、世界の鉄道において運行ネットワークの拡充、車両の更新、サービスの向上、そして災害への対応など、様々な動きが見られた一年でした。

運行ネットワークの変化

国内外で新たな路線や区間が開業・延伸しました。国内では、北大阪急行電鉄南北線が千里中央駅から箕面萱野駅まで延伸し、沿線に新駅が誕生しました。特に注目されたのは、北陸新幹線が金沢駅から敦賀駅まで延伸開業したことで、これにより福井県内に新たな新幹線駅（越前たけふ駅）が設置されました。これに伴い、並行在来線だった北陸本線の敦賀駅〜金沢駅間は、ハピラインふくい線とIRいしかわ鉄道線として経営が分離・移管されています。

海外でも、台湾鉄路管理局が国営企業化されたほか、高雄捷運環状軽軌や中国の珠機都市間鉄道、ソウルの首都圏広域急行鉄道（GTX-A）、別内線、西海線、中部内陸線、大邱地下鉄1号線、ホーチミン地下鉄1号線、上海市域鉄路機場聯絡線など、多くの都市や地域で鉄道網の延伸や新規開業が進み、利便性が向上しました。

一方で、一部区間の廃止も発生しました。JR北海道の根室本線 富良野駅〜新得駅間や、広島のスカイレールサービス瀬野線が運行を終了しました。JR貨物の東海道本線（名古屋港線）もその歴史を終えています。また、既存の駅についても、名古屋鉄道の三河知立駅が移設されたほか、国内外で駅名変更が行われました。

組織面では、小田急箱根グループが主要会社の合併による再編を実施し、六甲ケーブル線では運営形態が上下分離方式へ変更されました。

車両の動向

鉄道車両の世代交代が進み、新しい車両が登場する一方で、長年活躍した車両が引退しました。

新型車両の導入: JR東日本の山形新幹線向けE8系、JR西日本の特急「やくも」向け273系などが営業運転を開始しました。このほか、阪急電鉄2300系（2代）、近畿日本鉄道8A系、仙台市交通局3000系、福岡市交通局4000系、熊本市交通局2400形などが登場しています。
車両の引退: JR北海道のキハ40系、JR東日本の255系（特急「しおさい」「わかしお」「さざなみ」などで活躍）、JR西日本の381系（特急「やくも」などで活躍）、JR九州の8620形・50系「SL人吉」、東京地下鉄02系、いすみ鉄道キハ52形など、多くの車両が定期運用を終了しました。
車両の譲渡: 国内外への車両譲渡も行われ、JR北海道やJR東日本の車両が海外（カンボジア、タイ）へ、小田急電鉄や東海旅客鉄道の車両が国内の私鉄へ活躍の場を移しました。
受賞: 鉄道友の会により、優れた車両に贈られる賞が発表されました。ブルーリボン賞は東武鉄道の特急車両N100系「スペーシアX」が、ローレル賞は宇都宮ライトレールのHU300形とOsaka Metroの400系が受賞しています。

運行サービスの変化

全国各地の鉄道事業者でダイヤ改正が実施され、利用者のニーズや路線状況に合わせた運行体系の見直しが行われました。

料金面では、東京モノレールや札幌市電で運賃が改定されたほか、名古屋鉄道でも運賃の見直しが行われました。また、JRグループでは、長年利用されてきた在来線特急と新幹線を乗り継ぐ際の割引制度（乗継割引）が原則廃止となりました。

サービスの向上も図られ、阪急電鉄の京都本線では特急列車に座席指定サービスが導入され、JR西日本の広島地区では新たな快速列車「うれしート」が登場しました。

ICカードの利用エリアも拡大しました。伊賀鉄道や伊予鉄道、福井鉄道、えちぜん鉄道、万葉線などでICOCAが、JR北海道、JR東日本、JR九州の一部区間ではKitaca、Suica、SUGOCAの利用が可能となりました。新幹線では、全ての新幹線車両で喫煙ルームが廃止され、非常用飲料水備蓄庫に転用されるなど、車内環境の整備も進みました。

災害・事故

年の初めに発生した能登半島地震は、北陸地方の鉄道網に大きな影響を与えました。北陸新幹線や在来線特急が一時運転を見合わせ、特にJR西日本七尾線とのと鉄道七尾線は長期の運休となりましたが、懸命な復旧作業により、春までには全区間で運行が再開されました。

その他にも、JR東日本の新幹線架線トラブル、東海道新幹線での保守用車脱線事故、黒部峡谷鉄道での土砂流入などが発生し、列車の運休や遅延が発生しました。

まとめ

2024年は、路線の延伸や開業によるネットワークの拡大、新型車両の導入によるサービス向上、そして災害からの復旧など、鉄道が社会インフラとして進化し続ける一方で、様々な課題にも直面した一年でした。これらの出来事は、将来の鉄道のあり方を考える上で重要な記録となります。

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