概要
2025年(令和7年)は、世界の航空業界において多岐にわたる出来事が発生した一年となりました。各地で発生した航空事故や機体のトラブル、運航への影響を及ぼすインフラの問題、さらには新たな航空会社の運航開始など、航空の安全と発展の両面で注目すべき事象が見られました。本項目では、この年に起こった主要な航空関連の出来事について概観します。
各月の出来事
1月
年明け早々の
1月2日、
アメリカ合衆国カリフォルニア州では、離陸して間もない小型機が倉庫に墜落するという事故が発生しました。この事故により、2名が亡くなり、19名が負傷しています。
続いて
1月8日には、南米
コロンビアのパシフィック・アビエーション所属の
セスナ402C型機が、フライト中に
アンティオキア県の山腹に墜落。搭乗していた乗員乗客10名全員が犠牲となりました。
1月10日には、アメリカのアトランタ空港で離陸準備を進めていた
デルタ航空のボーイング757型機が、エンジントラブルのため離陸を中止しました。乗客208人のうち4名が負傷しています。
1月28日、
韓国の
金海国際空港では、離陸準備中の
エアプサン所属の旅客機で火災が発生しましたが、乗員乗客176名は全員無事に避難しました。
1月29日には、二件の重大な事故が起きています。まず、
アメリカ合衆国首都ワシントン近郊の
ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港近くで、着陸態勢に入っていたアメリカン航空5342便(CRJ-700型機)と
軍用ヘリコプターが空中衝突し、
ポトマック川に墜落しました。同日、南
スーダンのユニティ州にある
油田地帯でも、従業員らを乗せた小型機が離陸直後に墜落し、20名が死亡するという悲劇が発生しています。
1月31日には、アメリカ東部ペンシルベニア州のノースイーストフィラデルフィア空港から離陸したばかりの
リアジェット55型機が墜落しました。この機体はメキシコ人女児の患者を搬送中で、女児の母親、医師、救急救命士、そしてパイロット2名を含む搭乗者計6名全員が死亡しています。1月は、小型機の墜落事故や機体トラブル、空中衝突など、複数の航空事故が発生した月となりました。
2月
2月6日、
アメリカ合衆国アラスカ州沖合で、ベーリング・エア所属の
セスナ208型機が消息を絶ち、海に墜落しているのが発見されました。搭乗していた乗員乗客10名全員がこの事故で命を落としています。
2月17日には、
カナダの
トロント・ピアソン国際空港で、エンデバー航空4819便(ボンバルディアCRJ900型機)が着陸時に失敗し、機体が転倒するインシデントが発生しましたが、乗員乗客80名全員が無事に避難しました。
2月25日、
スーダン空軍が運用するAn-26型機が、
スーダンのオムドゥルマンにある住宅街に墜落しました。この事故により、乗員17名全員が死亡しただけでなく、地上にいた29名も巻き込まれて犠牲となり、多数の負傷者を出しています。
3月
3月14日、
アメリカ合衆国のデンバー国際空港に到着したアメリカン航空1006便で、着陸後にエンジンの出火トラブルが発生しました。
3月17日には、
ホンジュラス沖の
ロアタン島近海で、ジェットストリーム31型機が海に墜落する事故が発生しました。搭乗者18名のうち5名が救助されましたが、少なくとも12名が死亡しています。
3月20日には、
ロンドン・ヒースロー空港の近隣で発生した
変電所火災が、空港の電力供給に影響を与え、多数のフライトが欠航するなど、世界の航空網に広範囲な支障をきたしました。
4月
4月17日、中央アメリカの
ベリーズシティ上空を飛行していたトロピック航空711便の機内で、ナイフを持った乗客によるハイジャック未遂事件が発生しました。機体は緊急着陸し、ハイジャックを試みた犯人は乗客によって射殺されました。
5月
5月15日、新たな航空会社であるグローバルエアラインが商業運航を開始しました。初便はスコットランドのグラスゴー国際空港からアメリカの
ジョン・F・ケネディ国際空港を結ぶフライトでした。
5月17日には、
フィンランドのエウラ付近でヘリコプター同士が空中衝突する事故が発生し、5名が死亡しました。
5月22日には、
アメリカ合衆国ニュージャージー州の
テターボロ空港から
カリフォルニア州へ向かっていた
セスナ550型機が、濃霧により視界が悪い中、
カリフォルニア州サンディエゴ近郊の住宅街に墜落しました。搭乗していた6名全員が死亡しており、その中にはキリスト教系ロックバンド、デヴィル・ウェアーズ・プラダの元
ドラマーであるダニエル・ウイリアムス氏も含まれていました。地上では8名が軽傷を負っています。
2025年は、このように世界各地で様々な航空関連の出来事が発生しました。これらの事象は、航空安全の維持、技術革新、そして業界の経済動向など、多角的な視点から今後の航空のあり方を考える上で重要な示唆を与えるものと言えるでしょう。
関連項目
2024年の航空 -
2026年の航空