AN/SPS-55

AN/SPS-55レーダーの概要

AN/SPS-55は、アメリカのレイセオン社によって開発された2次元レーダーであり、その製造はカルディオン社が担当しています。このレーダーは主にアメリカ海軍で対水上捜索と航法のために採用されており、水上の船舶の探知や海岸線の識別、航法支援、障害物探査など多岐にわたる用途に利用されています。

開発の背景

1950年代に遡ると、アメリカ海軍では対水上捜索用にCバンドのAN/SPS-10レーダーが主に使用されていました。しかし、この周波数帯を使ったミサイル用の射撃指揮レーダーとの信号干渉が問題視されていました。そこで、同様の用途にXバンドを用いた新しいレーダーの開発が急務となりました。このニーズに応える形で、AN/SPS-55が開発されることになりました。

1971年6月に契約が締結されると、初めはオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートへの搭載を目的に進められましたが、後にその他の艦艇にも幅広く搭載されるようになりました。

構造と機能

AN/SPS-55レーダーは、前後に導波管スロットアレイアンテナを搭載しており、互いに背中合わせの配置となっています。これはマグネトロン送信機および低ノイズの高周波受信機に接続されています。各アンテナは80本のスロットによって構成されており、高い精度でターゲットを捉えることができます。さらに、カルディオン社は、AN/SPS-55の改良型としてソリッド・ステート技術を用いたSPS-55M シーホークも開発・販売しています。

主な搭載艦艇

AN/SPS-55レーダーは、以下のような多くの艦艇に搭載されています：

• - アメリカ海軍

- オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート
- スプルーアンス級駆逐艦
- キッド級ミサイル駆逐艦
- タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦
- アヴェンジャー級掃海艦

• - オーストラリア海軍

- アデレード級フリゲート

• - 中華民国海軍

- 成功級フリゲート
- 基隆級駆逐艦

• - トルコ海軍

- G級フリゲート

• - スペイン海軍

- サンタ・マリア級フリゲート
- 軽空母「プリンシペ・デ・アストゥリアス」

• - イスラエル海軍

- サール5型コルベット

• - 大韓民国海軍

- 広開土大王級駆逐艦

これらの艦艇は、AN/SPS-55レーダーの高度な技術を活用して、海上作戦をより効果的に行うことが可能となっています。

関連項目

• - AN/SPS-67|AN_SPS-67 - AN/SPS-10の後継機
• - OPS-9 - 富士通製の同級機
• - OPS-20 - 日本無線製の同級機

このように、AN/SPS-55はアメリカ海軍をはじめとする多くの国の海軍において、重要な情報収集能力を提供するレーダーシステムと位置づけられています。

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