Au design project

au design project（エーユー デザイン プロジェクト）とは

au design projectは、KDDI（当時、株式会社エーユー）および沖縄セルラー電話が、2003年から2007年にかけて展開した携帯電話端末のデザイン開発プロジェクトです。

プロジェクトの背景と目的

2003年以前の携帯電話は、性能向上が主な焦点でした。しかし、性能が一定レベルに達すると、どの機種も似たような外観と機能になってしまうという課題が生じました。そこでauは、性能だけでなくデザインにも注力することで他キャリアとの差別化を図るため、このプロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトはデザインの重要性を再認識させ、携帯電話のデザインが消費者の購買意欲に影響を与えることを証明しました。その結果、4機種がニューヨーク近代美術館（MoMA）の収蔵品に選定されるという快挙を成し遂げました。

プロジェクトのルーツは2001年に遡ります。同年5月には、後の「INFOBAR」の原型となるコンセプトデザイン「info.bar」が発表されました。さらに同年12月には、au design project 001というCMと共に、「C1002S」が発売されました。当時、ビジネスシーンで主流だったシルバー、白、黒、藍といったカラーが中心だった中、オレンジを採用した大胆なデザインは、学生などの若年層を中心に人気を集め、携帯電話のデザインが商品の魅力を左右することを示しました。

2002年からは、「au design project」という名称が正式にプロジェクト名として使用されるようになりました。

2003年には、コンセプトモデル「info.bar」をベースにした、au design projectの第一弾モデル「INFOBAR」が発売され、その後も時代ごとにテーマを設定し、様々なコンセプトモデルが発表されました。

プロジェクトの終焉と新たな展開

2009年4月、KDDIは「iida（イーダ）」という新たな派生ブランドを立ち上げました。これにより、「au design project」と「NEW STANDARD」は発展的に解消され、「iida」ブランドに統合されました。しかし、2018年11月には、INFOBAR xvの発売を機に、au design projectが再始動しました。同時にサイトがリニューアルされ、過去のコンセプトモデルのアーカイブが15周年記念サイトに移設されました。

市販された主なモデル

ニューヨーク近代美術館収蔵品

INFOBAR (CDMA A5307ST, 鳥取三洋電機製) - 2003年10月31日発売
W11K (CDMA W11K, 京セラ製) - 2003年12月20日発売：au design projectシリーズ初のCDMA 1X WIN機種。
talby (CDMA A5508SA, 鳥取三洋電機製) - 2004年11月23日発売：au design projectシリーズ最後のCDMA 1X機種。
PEИCK (PENCK) (CDMA W31H, 日立製作所製) - 2005年2月18日発売：ダイヤルボタンのフォントに関する誤解があった。
neon (CDMA W42T, 東芝製) - 2006年2月24日発売：販売期間が短かった。
MEDIA SKIN (CDMA W52K, 京セラ製) - 2007年3月23日発売
INFOBAR2 (CDMA W55SA, 鳥取三洋電機製) - 2007年12月1日発売：au design project時代の最終機種。

主なコンセプトモデル

東泉一郎
apollo (2002年): 十字型に変形する機種。
apollo02 (2002年): パネル交換が可能な機種。
二階堂隆
wearable (2001年): ウェアラブルデバイス。
rotaly (2001年): 円形ヒンジを持つ折りたたみ式。
岩崎一郎
GRAPPA (2002年): ラバーヒンジと革カバーを持つ機種。
GRAPPA002 (2002年): スライド式でボタンが上に配置された機種。
ON / OFF (2008年): ビジネス・クリエイター向けの2機種。
深澤直人
ishicoro (2002年): 石をモチーフにしたデザイン。
info.bar (2001年-2002年): 「INFOBAR」のベースとなったモデル。
INFOBAR2 (2006年): より曲線的な「INFOBAR」。
マーク・ニューソン
talby (2003年): 2004年に発売されたモデルのコンセプトモデル。
water design scope (坂井直樹・田村奈穂)
HEXAGON (2005年): 平面6角形のデザイン。
MACHINA (2005年): 機械的なデザインのフリッパー型。
吉岡徳仁
MEDIA SKIN (2005年): 触感をテーマにしたモデル。
田村奈穂
cypres (2006年): 透明ボディで内部が見える機種。
ブラッドリー・フレイザー
Kaos (2006年): 混沌をイメージしたデザイン。
ロス・ミクブライド
vols (2006年): ディスプレイが収納できる機種。
チームラボ
actface (2007年): デュアルディスプレイタイプの機種。
森本千絵
sorato (2007年): 空の色を映すデザイン。
ヒトカ (2007年): 全面ディスプレイの機種。
ヤマハデザイン研究所
Band in my pocket (2008年): 楽器アタッチメントが装着できる機種。
Trio in your hand (2008年): 3分割できる折りたたみ式機種。
Box to play (2008年): 箱型に変形する機種。
Sticks in the air (2008年): ドラムスティックを模した機種。
Key to touch (2008年): 鍵盤デザインの折りたたみ式機種。
Strings for fingers (2008年): 弦楽器を模したスライド式機種。
神原秀夫
PLY (2008年): 積層構造のスライド式機種。
参/MILE
voyage (2008年): ソーラーパネル内蔵の衛星モチーフ機種。
gem (2008年): 鉱石をモチーフにした機種。
坪井浩尚
SOUP (2008年): シンプルなスライド式機種。

プロダクトデザイナー

深澤直人：INFOBAR, W11K, neon, INFOBAR2
マーク・ニューソン：talby
サイトウマコト：PEИCK
* 吉岡徳仁：MEDIA SKIN

au design projectは、その革新的なデザインによって、携帯電話の概念を大きく変えたと言えるでしょう。このプロジェクトで生まれた数々のモデルは、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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