STS-51-L

STS-51L：チャレンジャー号の悲劇

STS-51Lは、1986年1月28日に打ち上げられたスペースシャトル・チャレンジャーのミッションです。スペースシャトル計画としては25回目、チャレンジャーとしては10回目の飛行でした。このミッションは、ケネディ宇宙センターの39-B発射台から初めてシャトルが打ち上げられたことでも記録されています。

注目の搭乗員

STS-51Lミッションは、多様な顔ぶれの搭乗員構成で、打ち上げ前から大きな注目を集めていました。

フランシス・ディック・スコビー船長：ミッションを率いるベテラン宇宙飛行士
マイケル・J・スミス：パイロット
ジュディス・レズニック：ミッションスペシャリスト
ロナルド・マクネイア：ミッションスペシャリスト、初のアフリカ系アメリカ人宇宙飛行士の一人
エリソン・オニヅカ：ミッションスペシャリスト、日系アメリカ人初の宇宙飛行士
グレゴリー・ジャービス：ペイロードスペシャリスト
クリスタ・マコーリフ：ペイロードスペシャリスト、初の民間人宇宙飛行士として選ばれた高校教師

特に、マコーリフの搭乗は「先生が宇宙へ」というキャッチフレーズで、全米の子供たちに宇宙への夢を与え、教育関係者からも大きな期待が寄せられていました。

打ち上げと事故

1986年1月28日午前11時38分（アメリカ東部標準時）、チャレンジャーはケネディ宇宙センターから打ち上げられました。しかし、打ち上げからわずか73秒後、高度約14.6kmで機体が空中分解するという、痛ましい事故が発生しました。この事故により、搭乗していた7名全員が死亡しました。

事故後、機体は広範囲に散乱し、回収作業が行われました。また、事故調査委員会が設置され、徹底的な原因究明が行われました。

事故原因

事故調査の結果、右側固体燃料補助ロケット(SRB)のOリングという部品の不具合が原因であることが判明しました。Oリングは、SRBの接合部を密閉する役割を担っていますが、打ち上げ時の低温環境により弾性を失い、接合部から高温のガスが漏れ出しました。このガスが外部燃料タンクを損傷させ、最終的に機体の空中分解につながったと結論付けられました。

ペイロード

STS-51Lミッションでは、以下のペイロードが搭載されていました。

データ中継衛星TDRS-B：通信衛星。
ハレー彗星観測用のSpartan衛星：ハレー彗星を観測するための衛星。

これらのペイロードも、事故により失われました。

事故の影響

チャレンジャー号の事故は、アメリカの宇宙開発計画に大きな影響を与えました。事故後、スペースシャトル計画は一時中断され、安全対策の見直しや機体の改修が行われました。また、NASAの組織体制や意思決定プロセスにも改善が加えられました。

この事故は、宇宙開発の重要性を改めて認識させるとともに、安全に対する意識を高める契機となりました。

関連項目

STS-107：2003年に発生したコロンビア号空中分解事故に関する記事

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