W54SAとは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

W54SA：三洋電機が手がけた高機能携帯電話

W54SAは、三洋電機（現・京セラ SANYOブランド）が開発し、KDDIおよび沖縄セルラー電話がauブランドで展開したCDMA 1X WIN対応の携帯電話です。2007年秋冬モデルとして発表され、当時の最先端技術を数多く搭載した「全部入り」のフラグシップモデルとして注目を集めました。

デザインと特徴

W54SAは、「非日常な和」をテーマに、漆器の小箱をイメージしたデザインが特徴です。ボディカラーには「黒紅梅」と呼ばれる螺鈿風のパール塗装が施され、高級感があります。メインディスプレイには、当時としては珍しい高精細な3.0インチワイドVGA液晶を採用し、多くのフラグシップモデルが有機ELを採用する中で、液晶の完成度向上と高精細化を目指しました。

また、W42SAで搭載されていた「スムースタッチ」の改良版が採用され、操作性の向上も図られています。バックキーライトには青色のイルミネーションが使われ、デザインのアクセントになっています。

機能

W54SAは、EV-DO Rev.Aやデジタルラジオ、約3.2メガピクセルのオートフォーカスカメラなど、当時の最新機能を搭載していました。日本語入力システムは、従来のAdvanced Wnnから新プラットフォーム「KCP+」採用に伴い、ATOKに変更されています。

当初予定されていたAAC コーデックを用いたICレコーダー機能や、AACファイル専用SD-Audioの再生機能は割愛されましたが、UI操作性は東芝製端末に近いものとなっています。独自機能も一部省略されましたが、後の機種で一部復活しています。

また、au携帯電話としては初となるWVGAフルドット対応のGUIとフォントを搭載し、KCP+標準のマルチプレイウィンドウなど、先端機能にも対応しています。ゲームアプリ「ぷよぷよ通DX」体験版や、ケータイコミック「トイ・ストーリー2」1話分などのコンテンツもプリセットされていました。

販売と不具合

W54SAは、三洋電機が京セラに携帯電話事業を譲渡する前の最後のモデルとなりました。しかし、発売直後から新プラットフォーム「KCP+」の不具合が多発し、同時期に発売された他機種とともに早期に販売終了となりました。

発売開始当初から度重なる不具合が発生したため、短期間で何度もケータイアップデートが行われました。2008年2月から11月にかけて9回のアップデートが行われ、不具合の修正が試みられましたが、最終的に販売期間は約2ヶ月と短く終わりました。

対応サービス

W54SAは、以下のサービスに対応していました。

au Smart Sports
LISMO（ビデオクリップ、LISMO Video、オーディオ機器連携）
EZ「着うたフル」
EZ「着うた」
au Media Tuner（EZテレビ（ワンセグ）、地上デジタル音声放送実用化試験、EZチャンネルプラス）
EZ・FM
EZナビウォーク（声de入力、3Dナビ）
EZ助手席ナビ
安心ナビ
災害時ナビ
EZ FeliCa（おサイフケータイ）
EZニュースフラッシュ
EZケータイアレンジ
PCサイトビューアー
au one My Page
グローバルエキスパート
デコレーションメール
EZアプリ (BREW)
EZアプリ「Full Game!」
絵しゃべりメール
ラッピングメール
Touch Message
テレビ電話
ケータイ探せて安心サービス
安心ロックサービス
アドレス帳預けて安心サービス
赤外線通信 (IrSimple)
Bluetooth
バイリンガル機能
ペア機能
でか文字
オープンアプリプレイヤー
マルチプレイウィンドウ（2画面表示）
モバイル辞典（明鏡国語/ジーニアス英和・和英）
PCドキュメントビューアー
USB充電対応
USBクレードル通信対応
USB 2.0ハイスピード通信対応
実空間透視ケータイ

頻発した不具合

W54SAは、発売当初から多くの不具合が報告され、その都度ソフトウェアアップデートで修正が試みられました。主な不具合は以下の通りです。

アプリの設定ミスによる起動不可
アプリケーション起動やEZ FeliCaサービスの制限
特定操作による電源リセットやキー操作不能
PCサイトビューアーでのテキスト入力不具合
テレビ電話の着信不可
マナーモード中の着信音鳴動
着うた設定の不具合
キー照明の点灯不具合
EZweb中の不具合
Eメール送信の不具合
「auお客様サポート」ページの表示不具合
着信音・バイブレータ設定の不具合
節電機能の不具合
遠隔ロックの不具合
音声通話の不具合
データフォルダ・microSD操作中の電源リセット
オーディオ機器連携の不具合
アドレス帳操作中の電源リセット
待受画面の表示不具合
EZニュースフラッシュの不具合
カメラ起動中の電源リセット
消費電力機能の不具合
文字入力時の不具合
ケータイサイト接続の不具合
会員登録サイトの表示不具合
* ムービー再生の不具合

まとめ

W54SAは、デザイン性、機能性ともに高い水準を目指した意欲的な端末でしたが、新プラットフォームの不具合により、短期間での販売終了を余儀なくされました。しかし、その先進的な機能やデザインは、当時の携帯電話市場に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

もう一度検索