アパシー

アパシー（Apathy）とは

アパシーとは、感情を表す「pathy」に否定の接頭辞「a」がついた言葉で、感情が欠如した状態を指します。医学的には、本来であれば何らかの感情が湧くはずの対象に対して、感情が動かなくなる状態を指し、様々な疾患の症状として現れることがあります。

医学におけるアパシー

医学的なアパシーは、単に感情がなくなるだけでなく、意欲の低下や無関心といった状態を伴うこともあります。これは、うつ病の主要な症状の一つとして知られていますが、アルツハイマー病、脳血管性認知症、パーキンソン病などの神経変性疾患でも見られます。

アパシーの治療は、原因となっている疾患の治療と並行して行われます。薬物療法としては、ドーパミン神経系を活性化させるL-ドーパやロチゴチン、アセチルコリン神経系を活性化させるドネペジルやガランタミン、そしてメチルフェニデートなどが有効であると報告されています。

うつ病とアパシー

うつ病におけるアパシーは、気分の落ち込みや意欲の低下と密接に関わっています。日常生活への興味を失い、何もする気が起きないといった状態が続きます。適切な治療によって、アパシーを含むうつ病の症状は改善することが期待できます。

アルツハイマー病とアパシー

アルツハイマー病においては、患者の50-70%にアパシーが認められるとされています。アルツハイマー病に伴うアパシーは、前頭前野の機能不全や神経病理学的変化が原因と考えられています。コリンエステラーゼ阻害薬は認知機能の改善だけでなく、アパシーを含む行動障害に対してもある程度の効果が期待できます。また、メチルフェニデートは、アパシー治療薬として研究が進められており、その有効性が期待されています。

様々な疾患とアパシー

アパシーは、PTSD（心的外傷後ストレス障害）などの精神疾患や、CADASIL症候群、シャーガス病、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症、コルサコフ症候群、甲状腺機能異常、ハンチントン病、ピック病、進行性核上性麻痺、脳損傷、統合失調症、双極性障害、自閉症、ADHD、アスペルガー症候群など、多くの疾患や状態に伴って現れることがあります。

政治学におけるアパシー

政治学におけるアパシーは、国民の政治への無関心や消極的な態度を指す言葉として用いられます。これは、医学的なアパシーとは異なり、病的な状態を意味するものではありません。政治的アパシーは、社会全体の問題として議論されることがあります。

まとめ

アパシーは、医学的には感情の欠如状態を指す重要な症状であり、様々な疾患に伴って現れます。治療には、原因疾患の治療に加え、薬物療法が用いられることがあります。一方、政治学においては、国民の政治への無関心を表す言葉として用いられ、社会的な問題として捉えられています。

関連項目

デタッチメント

外部リンク

アパシー - 脳科学辞典

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