ニコライ・ボルコフ

ニコライ・ボルコフ：冷戦時代のリングを駆け抜けたレスラー

ニコライ・ボルコフ(本名：ヨシプ・ペルゾヴィッチ、1947年10月14日 - 2018年7月29日)は、プロレス史に名を刻むクロアチア出身のレスラーです。カナダでトレーニングを受けた後、ロシア人レスラーというギミックで北米、そして日本など世界中で活躍しました。

輝かしいキャリアの始まり

ユーゴスラビア時代のクロアチアで生まれ育ったボルコフは、若き日にウエイトリフティング選手として才能を開花させます。オーストリアでのトーナメント出場後、カナダへ渡り、名伯楽スチュ・ハートの下でプロレスの英才教育を受けました。1968年、ジョー・クロアチアンの名でデビュー。その後、ベポ・モンゴルとリングネームを変え、ニュートン・タットリーとのタッグチーム「ザ・モンゴルズ」を結成し、アメリカに進出します。

WWFでの活躍と様々な挑戦

1970年代初頭には、WWWF（後のWWF）で頭角を現し、タッグ王座を獲得するなど成功を収めました。日本プロレスにも参戦し、坂口征二らと激闘を繰り広げました。その後、シングルプレイヤーに転向し、ロシア人レスラー「ニコライ・ボルコフ」として生まれ変わります。大型ヒールとして、ブルーノ・サンマルチノなどのレジェンドと対戦し、観客を熱狂させました。新[[日本プロレス]]ではアントニオ猪木と対戦し、フォール勝ちを収めるなど、日本のプロレスファンにも強烈なインパクトを与えました。AWAやNWAなど様々な団体を渡り歩き、NWAジョージア・ヘビー級王座など数々のタイトルを獲得しました。

冷戦を象徴するヒール、そしてベビーフェイス転向

1980年代には、フロリダやミッドアトランティックなどで活躍し、イワン・コロフとのロシア人タッグでNWAフロリダ・タッグ王座を獲得。反米的なヒールとして、アメリカ人レスラーとの抗争を繰り広げ、冷戦時代の社会情勢を反映したストーリーが展開されました。この時代のボルコフは、まさに冷戦を象徴する存在でした。しかし、1990年代に入ると、ソ連崩壊という歴史的転換点を経て、ベビーフェイスに転向。愛国者レスラーとして知られるジム・ドゥガンとタッグを組み、善悪逆転した抗争を繰り広げるなど、レスラーとしての幅広い表現力を見せつけました。

WWFでの再契約と晩年

1980年代後半、WWFと再契約し、ハルク・ホーガンとの対戦など、再びWWFを主戦場とします。サージェント・スローターとの米ソ抗争を展開し、アイアン・シークとのタッグチーム「ザ・ボルシェビクス」ではWWF世界タッグ王座を獲得するなど、第二の全盛期を築きました。その後も、リング上でソ連国歌を斉唱するなど、ヒールとしての役割を全うしました。しかし、体力的な衰えもあり、1990年代半ばにはWWFを離れ、インディー団体などで活動。2001年にはレッスルマニアにも出場しました。

温厚な人柄と数々のエピソード

リング上では冷酷なヒールとして観客を沸かせたボルコフでしたが、素顔は温厚で家族思いの好人物として知られていました。マネージャーのフレッド・ブラッシーの娘を気遣うなど、その人柄は多くの人々から慕われていました。ダイナマイト・キッドの自伝には、ボルコフがキッドの愛犬に水を飲ませすぎて、試合中にリング上で犬が排泄するというハプニングが記されています。

功績と死

長年のプロレス界への貢献が評価され、2005年にはWWE殿堂入りを果たしました。2010年にはRawにも出演。2018年7月29日、心臓病のため70歳で亡くなりました。

得意技と獲得タイトル

ボルコフは、ベアハッグ、ワンハンド・ネック・ハンギング・ツリー、ハイアングル・バックブリーカーなど、パワー溢れる得意技を駆使しました。また、WWWF/WWF世界タッグ王座をはじめ、NWAフロリダ・タッグ王座、NWAミッドアトランティック・タッグ王座など、数々のタイトルを獲得しました。

ニコライ・ボルコフは、冷戦時代の激動期を生きたレスラーとして、リング内外で多くの伝説を残しました。その功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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