乙部

乙部の概要

乙部（おつぶ）は、漢字を部首により分類する際の一つのグループです。主に楷書で使われる筆画「乙」および「乚」を含む漢字が収録されています。ただし、これらの字は必ずしも形状や意味的に共通するものではなく、部首の分類に関しては便宜的な要素が強いことが特徴です。具体的には、「九」「乞」「也」など、象形文字が含まれていることがあり、これらの文字の成立には「乙」や「乚」と直接の関係があるわけではありません。それでも、これらの文字は部首として扱われ、収録されています。

部首の成り立ち

「乙」そのものの成り立ちについては、いくつかの説があります。古代の字形がどのように変化してきたか、研究者の間でも議論が続いています。現代においても、部首「乛」は主部首ときされることが一般的で、附形部首として「乙」「乚」などが使用されることがあります。しかし、中国の辞書『辞海』では、乙部と乛部は別々に扱われています。

各国での用法

韓国では、「乙」を用いることにより、言葉の終声として「ㄹ（l）」のつくことを示すために利用されることが多く、例えば「乭（돌）」のように使われています。日本でも「おつ」や「おつにょう」、さらには「つりばり」と呼称されています。また、中国では「乙字旁」として知られており、西洋では「The second; latter」と表現されることが一般的です。

辞書での配列

さまざまな漢字辞典での乙部の配列位置は異なります。たとえば、『説文解字』では514番目の部首として収録されており、『龍龕手鑑』では236番目に位置します。『康熙字典』においても、乙部は5番目という重要な位置にあり、これは部首の中でも非常に初期に分類されていることを示しています。

音韻と字義

乙部の音韻について、中古漢語では「於筆切」や「質韻、入声」に関連があり、現代漢語では普通話のピンインは「yǐ」で、広東語では「jyut3」となります。日本語では音読みとして「オツ」、訓読みとして「きのと」が使われます。朝鮮語でも「을（eul）」と発音され、しばしば「새（sae）」（鳥）の意味を持っています。字義には、十干の第二にあたるほか、魚の鰓の骨や、「かがむ」という意味も含まれます。

代表的な字

乙部に収録されている代表的な漢字には「乙」、「九」、「乞」、「乾」、「也」、「乳」、「亂（乱）」などがあり、これらは部首に共通するものとして知られています。各字は、その形や音、意味が独立して発展してきたものの、一つのグループとしてまとめられることで、漢字の複雑性を示しています。部首の持つ多様性を考える上で、乙部は非常に重要な要素を成しているといえるでしょう。

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