山本宜久

山本宜久：波乱万丈な格闘技人生

山本宜久（やまもと よしひさ、1970年7月4日 - ）は、山口県下松市出身の男性総合格闘家。フリーランスで、柔道初段の腕前を持つ。

経歴

高校時代に柔道を経験し、卒業後は様々な職を転々とした後、第2次UWFに入門。しかし、練習後に船木誠勝から殴打を受け、顎を複雑骨折し、それが原因で退団を余儀なくされる。

リングス

1991年にリングスに入門し、翌1992年に成瀬昌由戦でデビュー。1993年の西良典戦で初勝利を飾る。1994年には前田日明との対戦も経験するが、アキレス腱固めで敗北。

リングスでは、田村潔司が移籍する1996年頃まで前田日明に次ぐナンバー2の序列を確立。田村潔司との初対戦は、事実上のリングスのエース決定戦として、プロレスライターなどの識者からも注目を集めた。山本は、サミングや鼻突き、ナックルパートなど、ルールを無視したなりふり構わないファイトスタイルで知られ、田村、金原弘光らと共に団体を牽引した。リングスでの戦績は37勝24敗4分。

1995年2月には、リングス・オランダがオランダで行った自主興行で、ルディ・イウォルドとの流血試合がテレビ放送されたことがきっかけとなり、オランダ政府がフリーファイトの規制を行うようになる。

1995年4月20日、「VALE TUDO JAPAN OPEN 1995」の1回戦でヒクソン・グレイシーと対戦。フロントチョークを仕掛けるなどしたが、3Rにスリーパーホールドで一本負けを喫した。この試合でヒクソンのパンチを受け、眼窩を骨折。ルールが明確でなかった総合格闘技の創成期に行われたこの試合で、山本はヒクソンにテイクダウンされないように常にロープを掴み、フロントチョークを仕掛けていた。ヒクソンも必死に抵抗していた。試合後、ロープを掴む行為が試合の進行を妨げると判断され、以降の大会ではロープを掴む行為が反則とみなされるようになった。このヒクソン戦は、敗れたものの山本の健闘が評価され、以後のリングスでの試合における急激な格上げと躍進に繋がった。ヒクソン戦後には、ディック・フライやヴォルク・ハンといったトップ外国人選手からの勝利も挙げている。また、この頃からシューズを脱ぎ裸足にレガースを着用し、ガードポジションからの三角絞めや裸絞めといった柔術系の技をフィニッシュホールドに多く用いるようになった。しかし、KOKルールに移行してからは、この頃に見せた華麗な柔術ムーブは試合で見られなくなり、戦績も振るわなかった。

リングス時代には、モーリス・スミス、ヒカルド・モラエス、ジェレミー・ホーンなどとも対戦している。

2001年2月24日、「KING of KINGS GRAND-FINAL」でヴァレンタイン・オーフレイムに腕ひしぎ十字固めで一本負け。この試合が山本にとってリングス最後の試合となり、リングネームを山本憲尚と改名した。

2001年5月にリングスを退団し、フリーとして活動を開始。同年6月14日には、プロレスイベント「真撃」でファンに挨拶中の小川直也を襲撃し、パンチでKO。第三者のリングでの対決を要求した。小川に対しては、リングス時代にも挑戦表明していたが、対戦は実現しなかった。

リングスの前田道場時代のニックネームは、「ジョージ」だった。

PRIDE

フリーとしてPRIDEに参戦。2001年9月のPRIDE.16でアスエリオ・シウバとのデビュー戦に臨むが、開始11秒でTKO負けを喫する。

2001年12月12日付けで高田延彦が主宰する髙田道場へ移籍。同月23日、PRIDE.18でヤン・"ザ・ジャイアント"・ノルキヤから腕ひしぎ十字固めで一本勝ちを収めた。

以降は、ボブ・サップ、ガイ・メッツァー、ヒース・ヒーリングといった強豪と対戦し敗退。アレクサンダー大塚には勝利しているが、これは大塚の負傷によるものである。

2003年に行われたPRIDE武士道への出場権を賭けた高田道場内での非公式戦では、松井大二郎に一本勝ち。

2003年11月9日のヒース・ヒーリング戦より、リングネームを本名に戻した。

2004年2月1日、PRIDE.27でPRIDEヘビー級グランプリの出場権を賭け、PRIDEに復帰したマーク・ケアーと対戦。試合開始直後にケアーがタックルを試み、山本はそのままマットに倒されたが、ケアーはリングに頭を強打し失神。山本がパウンドを連打しTKO勝ちとなった。山本は「プロレスラーなんでね、とっさにDDTを使ってしまった。まぁ彼の心が折れたんでしょうね」と発言。しかし、高田延彦はこの発言を問題視し、ヘビー級GP出場は保留となり、新たに査定試合が組まれることとなった。

その2週間後の2月15日、PRIDE 武士道 -其の弐-で再度PRIDEヘビー級グランプリの出場権を賭けミルコ・クロコップと戦う。試合は、ミルコのタックルの防御に対し、山本はこれをサミング行為とみなして2度アピールするも観客からはブーイングをもらい、ミルコの一方的な攻撃を受けてTKO負けを喫した。

2004年5月23日、PRIDE 武士道 -其の参-でチェ・ム・ベと対戦し、判定負け。この試合が山本のPRIDEにおける最後の試合となった。

2003年頃に虫垂炎を悪化させて腸閉塞になる。2004年8月には血便で初期の大腸癌が発見され手術を受けた。

HERO'S

2005年2月に高田道場を退団。3月11日に、かつての師匠である前田日明がスーパーバイザーを務めるHERO'Sへの参戦を表明。しかし、その後交通事故で肩の骨を折る重傷を負い、2005年は全く試合ができなかった。

2006年3月15日、HERO'S 2006でアトランタオリンピック柔道銀メダリストのキム・ミンスと対戦。バックハンドブローで一時は追い詰めたが、チョークスリーパーで一本負け。

2006年8月5日、HERO'S 2006 ミドル&ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント準々決勝でドン・フライと対戦し、チョークスリーパーで敗北。試合後、「心と体がバラバラで限界かな、と思ってます」と引退を示唆したが現役を続行。

2007年3月12日、HERO'S 2007 開幕戦で柴田勝頼と対戦。試合開始9秒、柴田の右フックでダウンしパウンドでTKO負け。セコンドには、高阪剛、成瀬昌由などリングス時代の戦友がついた。

2007年10月28日、HERO'S KOREA 2007でイ・テヒョンと対戦し、ミドルキックで倒され、パウンドでTKO負け。顔面の出血がひどく、病院へ直行した。

2010年10月24日、ウェルター級へ30kg以上の減量をしてDEEP 50 IMPACTで門馬秀貴と対戦。3年ぶりの試合で、これがDEEP初参戦だったが、肩固めで一本負けした。

2011年10月15日、総合格闘技チーム「GRABAKA」の11周年記念興行でKEI山宮とミドル級契約で対戦し、判定負けを喫した。

プロレスとの関わり

かつてZERO-ONEの真撃や新日本プロレスのリングに乱入したが、プロレスでの試合出場はない。

2001年のリングス退団後に真撃のリングに乱入した際、小川直也をパンチで失神させ挑発したが、両者の対戦は実現しなかった。

2005年の高田道場退団後に新日本プロレスに乱入した際は、永田裕志と大乱闘を繰り広げたが、対戦は実現せず、以降永田との因縁はなかったことになっている。

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