神戸国際フルートコンクール

神戸国際フルートコンクール

神戸国際フルートコンクール（こうべこくさいフルートコンクール）は、兵庫県神戸市を舞台に開催される、国際的なフルート奏者のための権威ある音楽コンクールです。世界の最も重要なフルートコンクールの一つに数えられ、「世界三大フルートコンクール」の一つとしても広く認識されています。若手フルーティストの才能を発掘し、国際的なキャリアへの飛躍を後押しする登竜門としての役割を担っています。

沿革と特徴

本コンクールは、1985年に開催されたユニバーシアード神戸大会を機に始まりました。フルートという単一楽器に特化し、定期的に開催される国際コンクールとしては世界で唯一という特徴を持ちます。開催頻度は4年に一度で、その周期性も大きな特色となっています。

世界への登竜門

神戸国際フルートコンクールの入賞者は、その後のキャリアにおいて目覚ましい活躍を遂げることが多く、世界の主要オーケストラの首席奏者や著名なソリスト、教育者としてフルート界を牽引する存在となっています。著名な入賞者には、エマニュエル・パユ氏やエミリー・バイノン氏などがおり、彼らをはじめとする多くの才能がこのコンクールから世界へと羽ばたきました。本コンクールで上位入賞することは、国際的な評価を得る上で極めて重要な意味を持ちます。

運営と会場

コンクールは神戸市によって開催されており、大会会長は神戸市長が務めます。主要な演奏審査は、神戸文化ホールの中ホールで行われます。

存続の試練

2015年、神戸市が財政健全化のため事業見直しを行った際、本コンクールへの補助金支出が打ち切られる方針が示され、その継続が危ぶまれる事態となりました。しかし、関係者や音楽界の支援もあり、この困難を乗り越えて、2021年には第10回大会が無事開催されました。これは、本コンクールが音楽界において非常に価値ある存在として認識されていることの証と言えるでしょう。

過去の主な入賞者

以下に、過去の大会における主な入賞者の一部を抜粋します。

第1回 (1985年)
第1位: アリフェ＝グルセン・タトゥ（トルコ、現ドイツ・トロッシンゲン音楽大学教授）
第2位: 佐久間由美子（日本、現国立音楽大学客員教授）
第3位: ヴィセンス・プラット＝パリース（スペイン、現パリ管弦楽団首席奏者）
第2回 (1989年)
第1位: ペトリ・アランコ（フィンランド、現フィンランド放送交響楽団首席奏者）
第1位: エマニュエル・パユ（フランス、現ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者）
第3位: イレン・モーレ（ハンガリー、現ハンガリー国立交響楽団）
第3回 (1993年)
第2位: アンドレア・リーバークネヒト（ドイツ、現ハノーファー音楽大学教授）
第2位: エイミー・ポーター（アメリカ、現ミシガン大学準教授）
第3位: エミリー・バイノン（イギリス、現ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団首席奏者）
第4回 (1997年)
第1位: ケルステン・マッコール（ドイツ、現ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団首席奏者）
第2位: マテュー・デュフォー（フランス、現ソリスト、前ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者）
第3位: ヘンリック・ヴィーゼ（ドイツ、現バイエルン放送交響楽団首席奏者）
第5回 (2001年)
第1位: サラ・ルヴィオン（フランス、現フランクフルト歌劇場管弦楽団首席奏者）
第2位: サビーヌ・モレル（フランス、現チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団首席奏者）
第3位: シュレシュ・ドーラ（ハンガリー、現デンマーク放送シンフォニエッタ首席奏者）
第6回 (2005年)
第1位: 小山裕幾（日本、現フィンランド放送交響楽団首席奏者）
第1位: アンドレア・オリヴァ（イタリア、現サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団首席奏者）
第3位: 高木綾子（日本、現東京芸術大学・武蔵野音楽大学講師）
第3位: サラ・ルメール（スイス、現スイス・ロマンド管弦楽団首席奏者）
第7回 (2009年)
第1位: ダニエラ・コッホ（オーストリア、現バンベルク交響楽団首席奏者）
第2位: ロイク・シュネイデル（フランス）
第3位: デニス・ブリアコフ（ロシア、現ロサンジェルス・フィルハーモニック首席奏者）
第8回 (2013年)
第1位: マチルド・カルデリーニ（フランス、現フランス放送フィルハーモニー管弦楽団首席奏者）
第1位: セバスチャン・ジャコー（スイス、現ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者）
第3位: 竹山愛（日本、現東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団首席奏者）
第3位: アドリアナ・フェレイラ（ポルトガル、現サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団首席奏者）
第9回 (2017年)
第1位: エレーヌ・ブレグ（フランス、現南西ドイツ放送交響楽団首席奏者）
第1位: ユ・ユアン（中国）
第3位: ハン・ヨジン（韓国）
第3位: アンナ・コンドラシナ（ロシア）
第3位: マリアンナ・ゾォナック（ポーランド）
第10回 (2021年・2022年)
第1位: ラファエル・アドベス・バヨグ（スペイン）
第1位: マリオ・ブルーノ（イタリア、現カッセル州立歌劇場管弦楽団首席奏者）
第3位: マリアンナ・ユリア・ジョウナッチェ（ポーランド）
* 第3位: 石井希衣（日本）

神戸国際フルートコンクールは、今後も世界の若いフルーティストたちにとって、重要な目標であり続けることでしょう。

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