蘭州

蘭州の歴史

蘭州は、現在の甘粛省蘭州市一帯に位置する、中国史において重要な役割を果たしてきた地域です。その歴史は、前漢時代に遡り、行政区画の変遷とともにその姿を変えてきました。

前漢時代

紀元前86年、蘭州地区には初めて行政区画が設置され、天水郡の下に金城県が設けられました。紀元前81年には金城郡が独立し、紀元前60年になると趙充国による西羌平定後、その統治権限は強化され、7県を管轄するまでになりました。

後漢時代に入ると、36年に金城郡は隴西郡に統合されますが、後漢末には再び金城県が設置されました。この時期、蘭州は政治的、軍事的な要衝としての重要性を増していました。

魏晋南北朝時代

314年、前涼によって金城郡から令居県、枝陽県、新設された永登県を管轄する広武郡が設置されました。この時期は、五胡十六国時代であり、政情が不安定な中、蘭州を含むこの地域は様々な勢力の興亡に翻弄されました。

隋代

581年、隋朝が成立すると、金城郡に蘭州が置かれました。当初、蘭州は2郡4県を管轄しましたが、583年には郡制が廃止されたため、蘭州の属郡も廃止されました。607年には州が廃止され、郡が置かれると、蘭州は金城郡と改称され、2県を管轄しました。隋代における蘭州は、行政区画の再編の中で、その役割が大きく変化しました。

唐代

619年、唐が薛挙を平定すると、金城郡は蘭州と改められました。742年には一時的に金城郡と改称されましたが、758年には再び蘭州に戻されました。蘭州は隴右道に属し、五泉県と広武県の2県を管轄しました。しかし、762年には吐蕃によって占拠されてしまいます。848年、張議潮によって唐朝の支配が回復しましたが、唐の衰退とともに、蘭州は再びタングート族の支配下に入りました。この時期は、蘭州が国際的な情勢に大きく影響を受ける時代でした。

宋代

北宋時代、蘭州は秦鳳路に属し、蘭泉県、龕谷寨、東関堡、阿干堡、定遠城、金城関、京玉関を管轄しました。金朝の時代には、臨洮路に属し、定遠、龕谷、阿干の3県と寧遠、安羌の2城、東関、質孤、西関の3堡と京玉関を管轄しました。この時期、蘭州は軍事的な重要性が増し、多くの城塞が築かれました。

元代

元朝時代、蘭州は陝西等処行中書省に属し、阿干県1県を管轄しました。この時代、蘭州は地方行政区画の一部として組み込まれ、その重要性は低下しました。

明代

1369年、明朝によって蘭州は廃止され、蘭県と改められましたが、1477年には再び蘭州に昇格し、臨洮府に属して金県1県を管轄しました。この時期、蘭州は再び行政的な重要性を取り戻しました。

清代以降

1738年、清朝により臨洮府の府治が蘭州に移転され、臨洮府は蘭州府と改称されました。蘭州府は甘粛省に属し、皋蘭、金、渭源、靖遠の4県と狄道州、河州の2州を管轄しました。1913年、中華民国により蘭州府は廃止されましたが、旧蘭州府管轄県は新設された蘭山道の管轄とされました。これにより、蘭州は近代的な行政区画の一部として組み込まれ、その重要性はさらに増しました。

蘭州は、その長い歴史の中で、様々な王朝の支配下で変遷を遂げてきました。この地は、古代から現代に至るまで、重要な行政拠点として機能し続けています。

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