韓玄

韓玄（かん げん）

韓玄は、後漢末期に活躍したとされる人物で、生没年は不明です。正史『三国志』と小説『三国志演義』でその人物像は大きく異なり、様々な伝説が残されています。

正史における韓玄

『三国志』の記述によれば、韓玄は208年に曹操が荊州を制圧した際、長沙太守を務めていました。209年には、劉備が荊州南部に侵攻した際に、金旋、劉度、趙範らと共に劉備に降伏したと記録されています。これ以上の記述はなく、その後の動向や生死は不明です。しかし、彼の配下であった黄忠は、後に劉備軍の武将として活躍しました。

三国志演義における韓玄

小説『三国志演義』では、韓玄は生まれつき短気で、妄りに人を殺す人物として描かれています。また、魏に仕えた韓浩の兄という設定になっています。劉備軍の関羽が長沙に攻め寄せると、韓玄は部将の黄忠に迎撃を命じますが、黄忠と関羽の一騎打ちを目撃し、黄忠が関羽と内通しているのではないかと疑心暗鬼になります。最終的に、黄忠を処刑しようとした際、客将の魏延が民衆を煽動して反乱を起こし、韓玄は殺害されるという結末を迎えます。その後、韓玄の遺体は黄忠によって手厚く葬られたとされています。横山光輝の漫画『三国志』では、悪代官風の姿で描かれ、暴政を振るっていたとされています。

墓と神格化

『中国文物地図集湖南分冊』によれば、長沙市天心区の長郡中学校の体育場敷地内に韓玄の墓が残っています。現在、墓はレンガで囲まれた塚のみで、1983年に「漢忠臣韓玄之墓」との墓碑が建てられました。しかし、韓玄を忠臣とする根拠は明らかではありません。この墓は省級文物保護単位に指定されています。

清の時代には、韓玄は怨霊として恐れられ、祟り神として祀られていました。役所が社を建て、墓守を置いたとされています。また、『蕉廊脞録』によると、祁寯藻が長沙にいたころには、神となった韓玄が植えたとされる木や、使用していたとされる鉄の大鍋が、霊験のある遺物として伝えられていたそうです。

これらの口伝は、『三国演義』と同様に、長沙が落城し韓玄が戦死して当地に葬られたという前提に基づいています。そのため、『韓玄墓記』では、『三国志』の記述と矛盾しないよう、韓玄が死亡したのは215年に呂蒙が長沙を含む3郡を襲撃した際だとされています。

『三国志演義』における配下

魏延
楊齢

参考文献

『三国志』蜀書2先主伝
『三国志』蜀書6黄忠伝
* 『三国演義』


韓玄は、正史では短い記述しか残されていないものの、小説や伝説を通して様々な人物像が語り継がれている人物です。その死後、祟り神として祀られるなど、地元の人々にとって特別な存在であったことが伺えます。

もう一度検索