からたち日記

「からたち日記」は、1958年に島倉千代子がリリースしたシングルで、日本コロムビアから発売されました。この曲は、発売当時から大きな反響を呼び、島倉千代子の代表曲の一つとして広く知られています。

楽曲制作時には、長調と短調の2つの異なるバージョンが存在していました。最終的に島倉本人が選んだ長調のバージョンが採用され、リリースに至りました。ただし、楽曲の一部には短調の箇所も含まれています。当時の歌謡界では、セリフ入りの歌は売れないというジンクスがありましたが、「からたち日記」はそれを覆し、130万枚を売り上げる大ヒットとなりました。この成功により、島倉千代子の人気は不動のものとなり、彼女のキャリアを代表する楽曲の一つとして認識されています。

「からたち日記」は、楽曲だけでなく、映画やテレビドラマとしても展開されました。1959年には、五所平之助監督、新藤兼人脚本による同名の映画が公開され、島倉千代子自身も出演しています。また、1967年には同名のテレビドラマも放送され、その人気をさらに広げました。この映画は、長野県の女性「つる」の一生を描いたもので、高千穂ひづるが主演を務めました。

島倉千代子は、この曲を『NHK紅白歌合戦』で3回歌唱しています。1958年の「第9回NHK紅白歌合戦」、1973年の「第24回NHK紅白歌合戦」、そして1984年の「第35回NHK紅白歌合戦」です。特に1973年の第24回では、島倉にとって4回目となる紅組のトリを務めました。

この曲は、後世のミュージシャンにも大きな影響を与えています。1995年に島倉のシングル「あの頃にとどけ」をプロデュースした小田和正は、インタビューで「子供の頃から聴いていた島倉さんの歌で、特に印象に残っているのが『からたち日記』だった」と語っています。彼は、レコーディングの際、島倉にできるだけ高いキーで歌ってもらい、当時の雰囲気を再現しようとしました。

また、2013年に発売された島倉の遺作となったシングル「からたちの小径」は、「からたち日記」の作曲とプロデュースを担当した南こうせつが、島倉の「可愛らしいイメージ」を元にタイトルを付け、楽曲を制作しました。

さらに、採用されなかった短調版の楽曲は、1995年のアルバム「心かさね着」に「想い出のからたち日記」として収録されています。このことからも、この曲が島倉千代子にとって、そして彼女の音楽キャリアにとって、非常に重要な位置を占めていたことがうかがえます。

収録曲

1. からたち日記
作詞：西沢爽、作曲：遠藤実、編曲：牧野昭一
当時、遠藤は日本マーキュリー専属であったため、発売当初は作曲者名が「米田信一」という変名でクレジットされていました。
2. 待ち呆けさん
作詞：星野哲郎、作曲・編曲：浜口庫之助

映画

1959年4月14日に松竹系で公開された映画「からたち日記」は、上映時間119分で、長野県の女性「つる」の生涯を描いた作品です。

監督：五所平之助
脚色：新藤兼人
製作：加賀二郎
撮影：富島義勇
美術：平川透徹
音楽：芥川也寸志
録音：岡崎三千雄
照明：平田光治
編集：長田信

出演者は以下の通りです。

つる：高千穂ひづる
かるた：水原真知子
竹千代：泉京子
竹実：紫千代
静花：南風洋子
天満里：田代百合子
せつ：村田知栄子
一力の女将：浦辺粂子
本山：田村高広
ロンパリ：山形勲
竹の家の父さん：磯野秋雄
咲枝：関千恵子
道子：不破たか子
おじの勘太：織田政雄
おば：飯田蝶子
松村：殿山泰司
ガン兄い：清水耕次
忠夫：柴田昭雄
民子：島倉千代子
東作：伊藤雄之助
本山の母：吉川満子
豊科の医者：永田靖
竹実の実父：小林十九二
かよ：菅井きん

テレビドラマ

1967年6月26日から7月7日まで、日本テレビ系列で「島倉千代子 歌謡シリーズ」の第5作として放送されたテレビドラマ「からたち日記」は、全10回で、花王石鹸の一社提供でした。

脚本：若井基成
監督：出口十三夫
制作：国際放映、日本テレビ

主な出演者は以下の通りです。

北林早苗
田浦正己
六本木誠人
英百合子
吉田義夫

「からたち日記」は、単なる歌謡曲の枠を超え、映画やドラマなど様々なメディアで展開され、時代を超えて多くの人々に愛され続けている作品です。

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