ら行
日本語の「ら行」について
「ら行」は、日本語の五十音図において9番目に位置する行であり、「ら」「り」「る」「れ」「ろ」の5つの仮名で構成されています。これらの仮名は、子音と母音の組み合わせで一つの音節を形成し、日本語の発音において重要な役割を担っています。
発音の特徴
「ら行」の音は、全て有声音であり、濁音や清音の区別がないという特徴があります。音素としては/r/と表記されることが多く、流音に分類されることもあります。しかし、実際の発音は、音の位置や前後の音によって大きく変化します。
- - 「ら」「る」「れ」「ろ」の発音：語頭や撥音「ん」の直後では、[ɺ]（歯茎側面はじき音）、[ɭ]（そり舌側面接近音）、または[ɖ]（有声そり舌破裂音）として発音されることが多いです。一方、語中や語尾では、[ɾ]（歯茎はじき音）または[ɽ]（そり舌はじき音）として発音される傾向があります。
- - 「り」の発音：「り」は、他の「ら行」の音と比較して、子音が硬口蓋化する特徴があります。具体的には、語頭や撥音「ん」の直後では、[ɺ̻̠ʲ]（歯茎硬口蓋側面はじき音）、[ʎ]（硬口蓋側面接近音）、または[ɟ]（有声硬口蓋破裂音）として発音されます。それに対し、語中や語尾では[ɾ̻̠ʲ]（歯茎硬口蓋はじき音）または[ɟ̆]（硬口蓋はじき音）として発音されることが一般的です。
ローマ字表記
「ら行」のローマ字表記は、日本式とヘボン式ともに「ra ri ru re ro」となります。これらの表記は、日本語の学習や国際的なコミュニケーションにおいて広く用いられています。
拗音
「り」を第一字とする拗音には、「りゃ」「りゅ」「りょ」があります。これらの拗音も、「り」と同様に硬口蓋化された子音で発音されます。発音は語頭や撥音の直後では[ɺ̻̠ʲ]、[ʎ]または[ɟ]となり、それ以外では[ɾ̻̠ʲ]または[ɟ̆]となるのが一般的です。ローマ字表記は「rya ryu ryo」と表されます。
「ら行」で始まる語彙の特殊性
日本語において、「ら行」で始まる語彙は非常に少ないという特徴があります。これは、古代日本語からの特徴であり、日本語固有の語彙にはほとんど見られません。
このように、「ら行」で始まる語彙のほとんどが、付属語、擬音語、または外来語であるという事実は、日本語の語彙構造における特異性を示しています。
元号における「ら行」
日本の元号の中で、「ら行」で始まるものは非常に珍しく、「霊亀」「暦仁」「暦応」「令和」のわずか4例しかありません。特に、2019年の改元で「令和」が選ばれたことは、「暦応」以来680年ぶりとなる「ら行」で始まる元号として、歴史的な出来事となりました。
まとめ
「ら行」は、日本語の発音において複雑な側面を持つ行です。発音の変化、語彙における特殊性、元号での珍しさなど、多岐にわたる特徴を持つ「ら行」は、日本語の歴史と文化を深く理解する上で、重要な要素の一つであると言えるでしょう。
参考資料
- - 更科源蔵、更科光『コタン生物記〈2〉野獣・海獣・魚族篇』法政大学出版局、1976年。ASIN B000J9WHHQ。
- - 更科源蔵、更科光『コタン生物記〈2〉野獣・海獣・魚族篇』（新装版）法政大学出版局〈教養選書 78〉、1992年7月。 ISBN 4-588-05078-8、ISBN 978-4-588-05078-7。
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