アルジャーノン・シドニー

アルジャーノン・シドニー（1623-1683）

アルジャーノン・シドニーは1623年1月15日に生まれ、1683年12月7日に亡くなったイングランドの政治家であり思想家です。彼は清教徒革命（イングランド内戦）から王政復古期にかけて活躍し、ホイッグ党に属して共和主義を唱えました。シドニーはイングランド共和国や王政復古期の王国に反対する立場を取り、彼の思想は後にイングランドとアメリカ合衆国の憲法に影響を与えることになります。

出自と家族関係

シドニーの出自は貴族に属し、父は第2代レスター伯ロバート・シドニー、母は第9代ノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーの娘ドロシーです。彼には兄弟姉妹が多く、兄は第3代レスター伯フィリップ・シドニー、弟には名誉革命の重要人物である初代ロムニー伯爵ヘンリー・シドニーがいます。詩人のフィリップ・シドニーは彼の大伯父にあたります。

政治活動の開始と内戦

シドニーは1642年に兄の下でアイルランド同盟戦争の鎮圧に当たり、その後第一次イングランド内戦が勃発すると議会派の軍に加わります。彼は1644年のマーストン・ムーアの戦いで負傷し、1645年にはカーディフ選挙区から長期議会の庶民院議員に選出されます。その後、1651年まで五港長官としても活動し、国務会議委員にも選任されましたが、オリバー・クロムウェルが護国卿に就任すると反対の立場を取り、辞任します。この時点から一時政界を引退することになりました。

政界への復帰と王政復古

シドニーは1659年に政治クラブ「ロータ・クラブ」に参加し、ハリントン派として活躍しましたが、1660年にイングランドで王政復古が起こると、チャールズ2世への誓約を拒否し、17年間にわたりヨーロッパ大陸を旅することになりました。彼はこの期間中にイタリアでウィリアム・ペンと出会い、政治思想の面で友情を深めます。

1677年に父の死に際してチャールズ2世から帰国を許され、18年ぶりにイングランドに戻ったシドニーは、新たに王政に対する反対運動に参加します。彼はドーヴァーの密約を非難し、カトリック陰謀事件を機に活動を本格化させました。1680年には王権神授説に反論する著作『政体論』を発表し、議会への復帰を目指しましたが、選挙において落選します。

最後の年と処刑

シドニーはホイッグ党の有力者として活動を続け、1683年にリーダー格のシャフツベリ伯爵が亡命中に死亡すると、ホイッグ党を率いる六人委員会の一員に選ばれます。しかし同年に発覚したライハウス陰謀事件により逮捕され、証拠不十分にもかかわらず有罪判決を受け、処刑されました。彼の死は、シドニーの思想が後の世に大きな影響を与える兆しとなります。

著作と影響

死後の1698年に『政体論』が出版され、ジョン・ロックの『統治二論』と共に王権神授説や絶対君主制への批判を表す重要な著作として位置付けられます。この著作では、君主の権力は法の支配によって制限され、人民の同意が求められると主張しました。シドニーの影響は18世紀のイギリス、さらにはアメリカ合衆国にまで及び、ペンシルベニア植民地の憲法にも彼の思想が取り入れられました。ホイッグ党が掲げる自由や代議政治の概念は、後にアメリカの憲法にも影響を与えることとなるのです。

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