イランにおける2019年コロナウイルス感染症の流行状況

イランにおける新型コロナウイルス感染症の流行状況

イランにおける2019年新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の流行は、2020年2月に初めて確認されて以来、急速に拡大しました。当初、イラン政府は感染の存在を公に認めることを躊躇していましたが、感染者数と死者数の増加に伴い、対応を迫られることとなりました。

概要

イランでは、中国をはじめとする東アジアでの流行後、しばらく感染例は確認されていませんでした。しかし、2020年2月12日に首都テヘランの病院で63歳女性の死亡例が報告されたことをきっかけに、感染疑いの死亡例が相次ぎました。当初、イラン保健省はこれらの死亡例とコロナウイルスの関連性を認めようとしませんでした。

2月19日、国営イラン通信は、シーア派の聖地であるゴムで高齢者2人が新型コロナウイルスに感染し死亡したと報道。これは中東における初のコロナウイルス感染による死亡例となりました（ただし、中東初の感染例自体はアラブ首長国連邦で確認されています）。2月21日、保健省はゴム州で7人、テヘランで4人、ギーラーン州で2人の感染例を確認したと発表し、テヘランでの感染者の存在を初めて認めました。

イラン国内での感染拡大に伴い、2月20日以降、イランからの出国者を通じて中東諸国、カナダ、中国などで感染が確認される事態が相次ぎました。

感染の拡大

2020年2月

• - 2月19日：ゴム州で2人の感染と死亡が確認。
• - 2月20日：ゴム州で2人、マルキャズィー州のアラークで1人の感染が確認。
• - 2月21日：ゴム州で7人、テヘラン州で4人、ギーラーン州で2人の感染が確認。ゴム市で2人が死亡。
• - 2月22日：ゴム州で8人、テヘラン州で2人の感染が確認。マルキャズィー州で1人が死亡。イラクがイランとの国境を閉鎖。
• - 2月23日：ゴム州で7人、テヘラン州で4人、ギーラーン州で2人、マルキャズィー州で1人、マーザンダラーン州で1人の感染が確認。ゴム州で2人、マーザンダラーン州で1人が死亡。国内14州で教育機関が閉鎖され、ゴム市への訪問自粛が呼びかけられる。周辺国もイランとの国境を閉鎖。
• - 2月24日：ゴム州で8人、テヘラン州で3人、マルキャズィー州・エスファハーン州・ギーラーン州でそれぞれ2人、ハマダーン州で1人の感染が確認。4人が死亡。ゴム州の死者数が50人に達したという報道を保健副大臣が否定。
• - 2月25日：ゴム州で16人、テヘラン州で8人、アルボルズ州、ギーラーン州、マーザンダラーン州でそれぞれ2人、ファールス州、ホルモズガーン州、ラザヴィー・ホラーサーン州でそれぞれ1人の感染が確認。ハリールチー保健副大臣も感染。マルキャズィー州で3人、アルボルズ州で1人が死亡。
• - 2月26日：ゴム州で15人、ギーラーン州で9人、テヘラン州で4人、フーゼスターン州で3人、その他の州でそれぞれ1-2人の感染が確認。4人が死亡。
• - 2月27日：マアスーメ・エブテカール副大統領ら106人の感染が確認。元外交官や女性フットサル選手を含む7人の死亡が確認。
• - 2月28日：新たに143人の感染と8人の死亡が確認。
• - 2月29日：女性国会議員を含む105人の感染と9人の死亡が確認。

2020年3月

• - 3月1日：元内政部長ら385人の感染と11人の死亡が確認。
• - 3月2日：新たに523人の感染と12人の死亡が確認。政治家のセイイェド・モハンマド・ミールモハンマディーが死亡。
• - 3月3日：救急医療サービス責任者を含む835人の感染と11人の死亡が確認。
• - 3月4日：産業貿易大臣を含む586人の感染と15人の死亡が確認。ゴム市内で病院の死体安置所を撮影した男が逮捕される。
• - 3月5日：政治家を含む593人の感染と元外交官を含む15人の死亡が確認。
• - 3月6日：新たに1,234人の感染と17人の死亡が確認。
• - 3月7日：新たに1,076人の感染と女性国会議員を含む21人の死亡が確認。
• - 3月8日：新たに743人の感染と49人の死亡が確認。
• - 3月9日：緊急対応機関責任者を含む595人の感染と元国会議員を含む43人の死亡が確認。
• - 3月10日：新たに881人の感染と54人の死亡が確認。
• - 3月11日：副大統領や文化大臣を含む958人の感染と63人の死亡が確認。
• - 3月12日：元外相を含む1,075人の感染と75人の死亡が確認。
• - 3月13日：新たに1,289人の感染とイスラム革命防衛隊の将軍を含む85人の死亡が確認。
• - 3月14日：女性医師を含む1,365人の感染と97人の死亡が確認。
• - 3月15日：専門家会議議員を含む1,209人の感染と113人の死亡が確認。
• - 3月16日：新たに1,053人の感染と大アーヤトッラーや経済学者を含む129人の死亡が確認。
• - 3月17日：新たに1,178人の感染と135人の死亡が確認。
• - 3月18日：新たに1,192人の感染と147人の死亡が確認。
• - 3月19日：新たに1,046人の感染と元国会議員を含む149人の死亡が確認。
• - 3月20日：新たに1,237人の感染と149人の死亡が確認。
• - 3月21日：新たに966人の感染と123人の死亡が確認。
• - 3月22日：新たに1,028人の感染と129人の死亡が確認。
• - 3月23日：新たに1,411人の感染と127人の死亡が確認。
• - 3月24日：新たに1,762人の感染と123人の死亡が確認。
• - 3月25日：新たに2,206人の感染と143人の死亡が確認。
• - 3月26日：新たに2,389人の感染と157人の死亡が確認。
• - 3月27日：新たに2,926人の感染と144人の死亡が確認。
• - 3月28日：新たに3,076人の感染と139人の死亡が確認。
• - 3月29日：新たに2,901人の感染と123人の死亡が確認。
• - 3月30日：新たに3,186人の感染と117人の死亡が確認。

2020年4月

4月30日、イラン保健省は感染者数94,640人、死者数6,028人、回復者数75,103人と発表しました。

2020年5月

5月16日、過去1日の死者数が35人と、過去70日間の最少を記録しました。

2020年6月

6月25日、イラン保健省は死者数が10,130人に達し、10,000人を超えたことを発表しました。

2021年7月

7月29日、過去1日の死者数が294人と発表され、累計死者数は90,074人となり、9万人を超えました。

イラン政府の対応

イラン政府は、感染拡大に対応するため、様々な対策を講じました。

• - 2020年3月17日：刑務所内での感染拡大を恐れ、8万5千人の囚人を釈放。
• - 3月19日：イランの駐パキスタン大使が、新型コロナウイルスの拡散をアメリカの「バイオテロ」と非難。WHOや中国、パキスタンなどからの援助を評価。
• - 2021年6月：イラン国内開発ワクチン「COVIran Barakat」の緊急使用を承認。スプートニクVやCovaxinなどの外国産ワクチンも緊急使用を承認。
• - 同月25日：最高指導者アリー・ハーメネイーがCOVIran Barakatの1回目の接種を受け、7月23日には2回目の接種を受けました。

関連情報

• - 肺炎
• - 気道感染
• - 新興感染症
• - 輸入感染症
• - コロナウイルス
• - 2019新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）
• - 新型コロナウイルス感染症（COVID-19）
• - 国・地域毎の2019年コロナウイルス感染症流行状況
• - 2019年コロナウイルス感染症流行による外出制限・封鎖
• - 2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響
• - 重症急性呼吸器症候群（SARS）
• - 中東呼吸器症候群（MERS）
• - 2015年韓国におけるMERSの流行
• - 2009年新型インフルエンザの世界的流行

外部リンク

• - イラン・イスラム共和国外務省
• - 在イラン日本国大使館
• - 外務省 海外安全ホームページ

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