アメリカ海軍軽空母「カボット」(USS Cabot, CV/CVL-28)
「カボット」は、
アメリカ海軍が運用したインディペンデンス級
軽空母の7番艦です。その名は
15世紀の航海家
ジョン・カボットに由来し、アメリカ独立戦争時に活躍した
大陸海軍の同名艦から受け継がれました。当初は大型軽巡洋艦「ウィルミントン」として起工されましたが、後に
航空母艦へと艦種変更され、
軽空母として竣工しました。
艦歴
「カボット」は、1942年に
軽空母として再設計され、CV-28の艦番号を与えられました。当初、同じ名前がエセックス級空母に予定されていましたが、「レキシントン」の名称が受け継がれ、その結果「カボット」の名前は本艦に与えられました。
1943年7月に正式に就役し、太平洋戦線に投入されました。その後の主な戦歴は以下の通りです。
1944年
- - マーシャル諸島攻略戦: 1月から3月にかけて、マジュロ攻撃やロイ=ナムル島、トラック島への攻撃に参加し、マーシャル諸島の攻略を支援しました。特にトラック島空襲では、日本艦隊の撃滅に貢献しました。
- - パラオ、ヤップ、ウルシー、ウォレアイ環礁への攻撃: 3月末からこれらの地域への攻撃を実施し、ホーランディア攻略作戦では航空支援を行いました。その後もトラック島への再攻撃やサタワン環礁、ポナペへの攻撃を続けました。
- - マリアナ沖海戦: 6月にはマリアナ沖海戦に参加し、多数の日本軍機を撃墜しました。その後も硫黄島、パガン島、ロタ島、グアム、ヤップ、ウルシーの日本軍基地への攻撃を継続しました。
- - フィリピン方面作戦: 9月にはミンダナオ島、ヴィサヤ諸島、ルソン島への攻撃に参加。10月には沖縄や台湾への攻撃を行い、台湾沖海戦では雷撃を受けて損傷した重巡洋艦「キャンベラ」や大型軽巡洋艦「ヒューストン」を支援しました。
- - レイテ沖海戦: 10月23日から26日にかけてのレイテ沖海戦にも参加し、フィリピン各地への攻撃を続けましたが、11月25日に特攻機の直撃を受け、多数の死傷者を出しました。しかしながら、迅速なダメージコントロールによって作戦行動を継続しました。
1945年
- - 硫黄島および沖縄戦: 2月から3月にかけて硫黄島上陸作戦を支援し、本州や小笠原諸島への攻撃を行いました。沖縄戦では、日本艦隊の撃滅作戦に参加し、戦艦「大和」の撃沈に貢献しました。
- - 終戦: 6月にオーバーホールのためアメリカ本土へ帰還しました。オーバーホール後に、終戦直前にはウェーク島への攻撃を実施し、終戦後は復員兵輸送任務に携わりました。
戦後
第二次世界大戦終結後、「カボット」は1947年に予備役となりましたが、
冷戦の激化に伴い、
対潜空母として1948年に再就役しました。その後、海軍予備役兵の訓練任務に従事し、
カリブ海やヨーロッパ水域へ展開しました。
1955年に再び予備役となり、1959年には航空機輸送艦へと艦種変更されました。1967年には
スペインに貸与され、空母「デダロ」として就役し、1989年まで運用されました。
保存運動の失敗と解体
1989年に
スペイン海軍から返還された後、
アメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されましたが、博物館への転換計画は失敗しました。その後、民間団体が負債を抱え、競売にかけられた結果、2000年から解体作業が開始され、2001年には国定歴史建造物の指定も取り消されました。艦橋部分のみが残されましたが、それも取り壊されてしまいました。
現在、ペンサコーラの
国立海軍航空博物館には「カボット」の艦橋のレプリカが展示されており、その歴史を偲ぶことができます。
受章
「カボット」は、第二次世界大戦での活躍が認められ、殊勲部隊章と9つの従軍星章を受章しました。
脚注
注釈
出典
参考文献
- - 防衛研究所戦史室編 『戦史叢書62 中部太平洋方面海軍作戦(2)昭和十七年六月以降』朝雲新聞社、1970年
- - デニス・ウォーナー、ペギー・ウォーナー/妹尾作太男(訳)『ドキュメント神風 特攻作戦の全貌 上・下』時事通信社、1982年
- - E. B. ポッター 著、秋山信雄 訳『BULL HALSEY / キル・ジャップス! ブル・ハルゼー提督の太平洋海戦史』光人社、1991年
外部リンク
この記事は
アメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。