コマチアイト

コマチアイトとは

コマチアイト（komatiite）は、超苦鉄質マントルに由来すると考えられている火山岩の一種です。その名前は、南アフリカのコマチ川にちなんで名付けられました。この岩石は、特異な組成と形成過程を持つことで知られています。

特徴

コマチアイトの最も顕著な特徴は、その組成にあります。マグネシウム（MgO）の含有量が18%以上と非常に高く、一方でシリカ（SiO2）などの成分は少ないという組成を持っています。この組成は、カリウム（K）などに富むキンバーライトとは大きく異なります。また、コマチアイトはほとんどが太古代の岩石であり、変成作用を受けているものが多いという特徴もあります。

コマチアイトマグマの溶融点は約1600℃と非常に高く、これは一般的な玄武岩のマグマよりもはるかに高温です。この事実は、太古代の地球内部が現代よりも非常に高温であったことを示唆しています。

コマチアイトは、アルミニウム（Al）の含有量によって2つの主要なタイプに分類されます。この違いは、マントル内部での部分溶融の程度によって生じると考えられています。

コマチアイト溶岩

コマチアイト溶岩は、非常に高い流動性を持つことで知られています。このため、溶岩は地表に噴出した後、割れ目などに流れ込みやすく、厚い堆積層を形成することはあまりありませんでした。しかし、シル状の貫入岩体として、厚さが500mにも達することがあります。

コマチアイトは、ニッケル（Ni）、コバルト（Co）、金（Au）などの有用な金属を豊富に含んでいます。そのため、オーストラリア、カナダ、南アフリカ、ガイアナ楯状地などで、経済的に価値の高い鉱床として採掘されています。

研究と重要性

コマチアイトは、地球の初期の熱史やマントルの組成に関する重要な情報を提供してくれます。その特異な組成と形成過程は、地球科学における多くの研究テーマとなっています。また、ニッケルなどの有用な金属を含む鉱床の発見は、資源探査においても重要な手がかりとなっています。

まとめ

コマチアイトは、太古代の地球環境を理解する上で重要な鍵となる岩石です。その高温のマグマや特異な組成は、地球の初期の歴史を解き明かすための貴重な手がかりを提供してくれます。また、その経済的な重要性からも、コマチアイトは現代の社会においても重要な役割を果たしています。

参考文献

都城秋穂、久城育夫『岩石学III - 岩石の成因』共立出版〈共立全書〉、1977年、193頁。ISBN 4-320-00214-8。
黒田吉益、諏訪兼位『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』共立出版、1983年、257-259頁。ISBN 4-320-04578-5。

関連項目

岩石
火成岩
火山岩
超塩基性岩、超苦鉄質岩
岩石の一覧

外部リンク

コマチアイト - 地質標本館、産業技術総合研究所地質調査総合センター

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