サン・カルロス・デ・グアテマラ大学

サン・カルロス・デ・グアテマラ大学：歴史と自治

サン・カルロス・デ・グアテマラ大学（Universidad San Carlos de Guatemala、USAC）は、1676年に設立されたグアテマラ最古の大学であり、唯一の国立大学です。3世紀以上にわたる歴史の中で、政治的な変動や社会の変化を経験し、グアテマラの教育と社会に重要な役割を果たしてきました。

概要

USACは、グアテマラ憲法によって自治が保障されています。具体的には、憲法第82条で大学の自治が明記され、第84条では国家予算の5%以上が大学に割り当てられることが定められています。大学の中央キャンパスはグアテマラシティ12区の大学都市地区に位置し、国内各地に研究センターが点在しています。

USACは、農学、建築学、経済学、法学・社会学、医学、化学・薬学、人文科学、工学、化学工学、獣医学・畜産学、歯科学の11学部で構成されています。化学工学を除くすべての学部には大学院が設置されており、高度な研究と教育が行われています。

歴史

設立の背景

16世紀、カトリック教会は先住民を聖職者として育成するためにアメリカ大陸に大学を設立することを提唱しました。USACに先立ち、リマ（現在の国立サンマルコス大学）、メキシコシティ（現在のメキシコ国立自治大学）、サントドミンゴ（現在のサント・ドミンゴ自治大学）、コルドバ（現在のコルドバ国立大学）、そしてハーバード大学が設立されています。

これらの初期の大学は、ヨーロッパの大学、特にサラマンカ大学をモデルとしていました。

設立の過程

初代グアテマラ司教のフランシスコ・マロキンは、1548年にサンティアゴ・デ・グアテマラ（現在のアンティグア・グアテマラ）への大学設立を願い出ましたが、実現しませんでした。17世紀に入ると、ドミニコ会、イエズス会、フランシスコ会によってコレヒオが建設され、1660年に再び大学設立の動きが起こり、1676年に大学設立が許可されました。1681年に大学は開校し、最初の学生数は60名でした。1688年には教皇庁立大学としての地位を得ました。大学の名前は、16世紀のイタリアの聖人、聖カルロに由来します。

独立後の変遷

18世紀後半には、伝統的なスコラ哲学に代わって、ヨーロッパの新しい哲学が導入されました。グアテマラがスペインから独立し、メキシコ第一帝政に併合された後、中央アメリカ独立宣言が1823年7月1日にサン・カルロス・デ・グアテマラ大学のホールで署名されました。

中央アメリカ連邦共和国時代には、保守派と自由主義派の対立が激化し、1826年に内戦が勃発しました。1829年に自由主義派が勝利すると、当時のグアテマラ元首であったマリアーノ・ガルベスは、政教分離を推進するために大学を解体しようとしました。しかし、ラファエル・カレーラの農民反乱によって保守派が力を取り戻し、1840年にサン・カルロス大学は元の場所で再建されました。

ラファエル・カレーラの死後、ミゲル・ガルシア・グラナドスとフスト・ルフィーノ・バリオスの下で、グアテマラは自由主義的な方向へと進みました。バリオスは反教会的な政策を実施し、大学では神学が廃止され、法学、医学、工学、哲学、文学の学部が設立されました。大学は一時イエズス会の保護下に置かれましたが、バリオスによってイエズス会は追放されました。

1917年のグアテマラ地震で大学の建物は大きな被害を受けましたが、1920年代から30年代にかけて再建されました。

現代

1918年にアルゼンチンのコルドバ国立大学で始まった大学の自治と教育改革を求める学生運動は、グアテマラにも影響を与えました。ホルヘ・ウビコ政権は大学に介入しようとしましたが、1944年のグアテマラ革命によって大学の自治への介入は禁止されました。大学の自治は、その後の1945年憲法や1985年憲法でも保障されています。

1954年にカルロス・カスティージョ・アルマスがCIAの支援を受けて革命政府を倒し、憲法を停止すると、サン・カルロス・デ・グアテマラ大学では1956年と1962年に大規模な学生運動が起こりました。1970年には大学が軍に占領され、その後も軍部による圧力や暗殺が続きました。

大学の名称は、時代によって変遷を重ねました。ガルベス政権下では「科学アカデミー」が設置され、カレーラ政権時代には「教皇庁立サン・カルロス大学」が復活し、バリオス政権下では国立の「グアテマラ大学」となりました。エストラダ・カブレラ政権時代の1917年には「エストラダ・カブレラ大学」と呼ばれ、1944年に現在の名称であるサン・カルロス・デ・グアテマラ大学となりました。

サン・カルロス・デ・グアテマラ大学は、その長い歴史の中で、グアテマラの教育、政治、社会に大きな影響を与えてきました。これからも、グアテマラの発展に貢献していくことが期待されています。

公式サイト

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