ジャン・ドマルキ

ジャン・ドマルキ（Jean Domarchi）は、フランスの映画批評家、編集者として知られています。彼は、ヌーヴェルヴァーグの潮流を形成した重要な人物の一人であり、その活動は多岐にわたります。

人物像

ドマルキは、ヌーヴェルヴァーグの揺籃の地となったシネクラブ「シネクラブ・デュ・カルティエ・ラタン」に参加し、映画批評のキャリアをスタートさせました。彼は、エリック・ロメールが編集していた『ラ・ガゼット・デュ・シネマ』誌に寄稿した後、創刊されたばかりの『カイエ・デュ・シネマ』誌で中心的役割を果たしました。また、ジャン＝リュック・ゴダールのデビュー長編『勝手にしやがれ』に出演したことでも広く知られています。さらに、ディジョン大学の教授としても教鞭をとり、その幅広い知識と見識で多くの学生を指導しています。

来歴

1950年5月から11月にかけて、ロメールが「シネクラブ・デュ・カルティエ・ラタン」の機関誌として創刊した『ラ・ガゼット・デュ・シネマ』に執筆者として参加しました。この雑誌はわずか5号で廃刊となりましたが、ドマルキの映画批評家としてのキャリアの出発点となりました。

1951年4月には、アンドレ・バザン、ジャック・ドニオル＝ヴァルクローズらと共に『カイエ・デュ・シネマ』の創刊に参加し、同誌の中心的な執筆者として活躍しました。1952年12月には、『カイエ』誌18号にオーソン・ウェルズの『オセロ』に関する評論『文学と映画』を発表し、1953年3月には、『カイエ』誌21号にF・W・ムルナウに関する評論『F・W・ムルナウの現前』を発表しました。これらの論文は、ドマルキの映画に対する深い洞察力と批評的才能を示すものとして高く評価されています。

1959年7月には、『カイエ』誌に掲載された「アラン・レネ『二十四時間の情事』についてのディスカッション」に、ピエール・カスト、ドニオル＝ヴァルクローズ、ゴダール、ジャック・リヴェット、エリック・ロメールらと共に参加しました。このディスカッションは、当時の映画批評の最前線を示すものとして注目されました。

1959年の夏には、ロメールがクロード・シャブロルのプロデュースで長編第一作『獅子座』を撮影するにあたり、ゴダールと共にノンクレジットで出演者として参加しました。同年、ゴダールが長編第一作『勝手にしやがれ』を撮影する際にも、酔っ払い役として出演しました。『カイエ』グループからは、ジャーナリスト役のアンドレ・S・ラバルト、ジャン・ドゥーシェのほか、ミシェル・ムルレ、ジャック・シクリエも出演しました。これらの出演は、ドマルキの映画に対する情熱と、ヌーヴェルヴァーグの仲間たちとの深い絆を示しています。

1965年には、アンドレ・S・ラバルトとジャニーヌ・バザンがプロデュースしたテレビドキュメンタリーシリーズ『われらの時代のシネアストたち』の『サシャ・ギトリ』に出演しました。この作品では、ミシェル・シモン、クリスチャン＝ジャックらと共演しました。

ドマルキは、ゴダールと親しく、ヌーヴェルヴァーグの中心人物の一人でしたが、映画の演出や脚本執筆には関わることはありませんでした。しかし、ゴダールは自身の作品『ゴダールの映画史』の『4A 宇宙のコントロール』をドマルキに捧げています。これは、ゴダールがドマルキに対して深い敬意と友情を抱いていたことを示しています。

現在、ドマルキはディジョン大学で教鞭をとっており、哲学と経済学に関する著書も発表しています。彼の幅広い知識と経験は、映画界のみならず学術界にも大きな影響を与え続けています。

フィルモグラフィ

『獅子座』（1959年 - 1963年） - エリック・ロメール監督作品
『勝手にしやがれ』（1959年 - 1960年） - ジャン＝リュック・ゴダール監督作品、酔っぱらい役
『サシャ・ギトリ』/『われらの時代のシネアストたち』（1965年） - クロード・ド・ジヴレー監督作品、本人役

ビブリオグラフィ

『George Cukor』, Seghers, 1965
『Murnau』, Avant Scène, Anthologie du cinéma, 1965
『Marx et l'histoire』, L'Herne, 1972
『Actualité du cinéma américain』, Olivier Eyquem (dir.), Filméditions Cinéma d'aujourd'hui, 1979

関連事項

ディジョン大学

外部リンク

* Jean Domarchi - IMDb（英語）

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