ジュピター (フリゲート)

HMSジュピター (F60)

HMSジュピターは、イギリス海軍が運用したリアンダー級フリゲートの19番艦です。

艦歴

1967年9月4日に進水し、1969年8月9日に就役しました。就役後の1970年には、西インド諸島に配備され、カリブ海での活動に従事しました。翌1971年には、NATOの多国籍部隊である第1常設NATO海洋グループ(STANAVFORLANT)に加わり、北大西洋での警戒任務に就きました。

1972年には、同型艦であるナイアドの故障に伴い、その任務を引き継ぎ、再びSTANAVFORLANTの一員として西インド諸島に派遣され、カリブ海での活動を再開しました。

1973年には、第二次タラ戦争に参加しました。同年5月26日には、ワスプヘリコプターとともに、アイスランドの砲艦「エギール」による艦砲射撃を受けて着水していたイギリスのトロール船「エバートン」を支援しました。その後、極東・太平洋を経てアフリカへと向かい、さまざまな任務に従事しました。1974年には、コモンウェルスゲームズ開催中にニュージーランドのクライストチャーチを訪問、真珠湾のアメリカ海軍基地を訪問し、推進装置の問題を解決しています。また、同年1月には、チャールズ皇太子が通信士として着任し、その年の末まで乗艦していました。

1980年、ジュピターは近代化改装に入り、シーウルフミサイルが新たに装備されました。また、4.5インチ艦砲が撤去され、エグゾセ対艦ミサイルが搭載されました。ボイラーは、バブコック・アンド・ウィルコックス社のY160蒸気噴霧式水管ボイラーに換装され、1983年に近代化改装が完了しました。

1984年6月13日、ロンドン訪問を終えて出航した際、ロンドン橋に衝突し、船体と艦橋に大きな損傷を受けました。当時の艦長であったコリン・ハミルトン中佐は、12月4日にポーツマスで軍法会議にかけられ、厳しく叱責される事態となりました。

1986年9月、ジュピターはNATOの演習「Autumn Train '86」に参加し、ジブラルタルを訪問した後、地中海で4週間連続の活動を行い、母港のプリマスに帰港しました。

1986年には、ブリタニア、ニューカッスル、ブランブルリーフとともにペルシャ湾に派遣され、イエメン人民民主共和国で政府転覆の動きが始まった際、イギリス人と英連邦国民の避難を支援しました。

アーミラ巡航中には、ジブラルタル、ジブチ、アカバ、ドーハ、マスカット、モンバサなどの港湾を表敬訪問し、スエズ運河、ピレウスを経由して帰港しました。

1984年から1986年にかけては、ブレーマーハーフェン、アムステルダム、ボルドー、ミドルスブラなどのヨーロッパ各地の港を訪問しました。1986年9月には、トールシップレースでニューカッスル・アポン・タインに寄港し、警備船としての役割を果たしました。

湾岸戦争には、アーミラパトロールの一員として参加しました。1991年末から1992年初頭にかけては、警備船として南大西洋に派遣され、麻薬取締のためのパトロールを行いました。これが最後の任務となり、1992年に退役しました。

1997年にスクラップとして売却され、インドのアランに曳航され、そこで解体されました。

もう一度検索