ジョー・ルダック

ジョー・ルダック：カナダが生んだレスリングの巨星

ジョー・ルダック（本名：ミシェル・ピジョン、1944年8月31日 - 1999年5月1日）は、カナダのプロレス界を代表するレスラーの一人である。ケベック州モントリオール出身のフランス系カナダ人。ネルシャツとジーンズという、カナダのランバージャックを思わせるコスチュームに身を包み、その力強いファイトスタイルで、カナダのみならずアメリカにおいても高い人気を誇った。

警察官からレスリングへの転身

当初はケベック州の警察官として勤務していたルダックだが、同郷のプロレスラー、ポール・ルダックの勧誘を受け、1968年にプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせる。ポールと共にルダック・ブラザーズを結成し、モントリオールやカルガリーといったカナダのプロレス激戦区を転戦。兄弟タッグとして数々のタイトルを獲得し、地元カナダで確固たる地位を築き上げた。シングルプレイヤーとしても活躍し、モントリオールIWAインターナショナル・ヘビー級王座を獲得するなど、その実力は折り紙付きであった。

カナダ、そして世界へ

1971年には、日本プロレスのワールドリーグ戦に初来日。その後も日本に何度か参戦し、日本のプロレスファンにもその名を轟かせた。カナダを拠点に活躍する傍ら、アメリカ合衆国南部のNWAフロリダ地区にも参戦。ここではポールとのルダック・ブラザーズとしてベビーフェイス（正義のヒーロー）として活躍し、ダスティ・ローデスやディック・スレーターといったヒール（悪役）レスラーと激闘を繰り広げ、フロリダ・タッグ王座を獲得するなど数々の功績を残した。

ルダック・ブラザーズ解散後は、AWA（アメリカン・レスリング・アソシエーション）やCWA（チャンピオンシップ・レスリング・アソシエーション）など、アメリカの様々なプロレス団体を渡り歩き、ラリー・ヘニング、ジェリー・ローラーなど、当時のトップレスラーたちと幾多の死闘を繰り広げた。この頃よりヒールとしての活動も増え、かつてベビーフェイスとして活躍したフロリダ地区でも、ダスティ・ローデスとの遺恨試合を展開するなど、観客を魅了し続けた。

多様な団体での活躍

1979年には7年半ぶりに国際プロレスに参戦、日本のリングに帰ってきた。ラッシャー木村とのIWA世界ヘビー級王座を巡る争いや、全[[日本プロレス]]への特別参戦など、日本各地でその実力を発揮した。その後もニュージーランド遠征や、AWA、NWAミッドアトランティック地区など、活躍の場は世界へと広がっていった。様々な団体でタイトルを獲得し、そのキャリアは多岐に渡る。

1980年代には、全[[日本プロレス]]にも参戦。ブルーザー・ブロディとの激闘は、日本とアメリカのプロレス界における歴史的な出来事として今も語り継がれている。また、地元モントリオールではベビーフェイスに戻り、アブドーラ・ザ・ブッチャーやロード・ウォリアーズらと対戦。1980年代後半にはWWF（ワールド・レスリング・フェデレーション）にも参戦し、ハルク・ホーガン主演の映画「No Holds Barred」にも出演するなど、プロレスラーとしての活動にとどまらない活躍を見せた。

日本のインディー団体への参戦と晩年

1989年には5年半ぶりにFMW（フロント・ミリオン・プロモーション）に参戦。大仁田厚やターザン後藤といった日本のトップレスラーと激闘を繰り広げた。1990年代に入ってもインディー団体を中心に活動を続け、1995年には「Memphis Wrestling Hall of Fame」入りを果たすなど、その功績は高く評価されている。

1999年5月1日、肺感染症のため54歳でこの世を去った。生涯最後の試合は1995年6月10日に行われた。

圧倒的なパワーと個性

ジョー・ルダックは、その圧倒的なパワーと、カナダのランバージャックを思わせる独特のキャラクターで、多くのプロレスファンを魅了した。数々のタイトルを獲得し、世界中のプロレス団体で活躍した彼のキャリアは、まさにプロレスラーとしての成功物語と言えるだろう。その名と活躍は、プロレス史に永遠に刻まれることだろう。

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