ダグ・ファーナス

ダグ・ファーナス：アメリカンフットボールからプロレスラーへ至る波瀾万丈の人生

ダグ・ファーナス（1959年12月11日-2012年3月2日）は、アメリカ合衆国オクラホマ州出身のプロレスラーです。恵まれた体格と類まれな運動能力を活かし、華麗なるキャリアを築きました。

彼のキャリアは、テネシー大学でのアメリカンフットボール選手としての活躍から始まります。卒業後はNFLのデンバー・ブロンコスに入団しますが、トレーニングキャンプでの負傷により、惜しくも活躍の場は得られませんでした。しかし、彼はここで諦めません。その後、パワーリフティングの世界へと転身し、世界記録を19回も更新するほどの成功を収めます。この経験が、後のプロレスラーとしての成功の礎となったことは間違いありません。

1986年、ファーナスはプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせます。ロン・フラーが主宰していたアラバマのコンチネンタル・チャンピオンシップ・レスリングを主戦場に、数々のベテランレスラーたちと激闘を繰り広げ、着実に実力をつけました。ケビン・サリバン、モンゴリアン・ストンパー、ジョナサン・ボイド、ダッチ・マンテル、バディ・ランデル、テリー・ゴディ、ブラック・バート、ジミー・ゴールデン、トム・プリチャード、ダーティ・ホワイト・ボーイ、ロード・ヒューマンガスといった錚々たるメンバーとの対戦経験は、彼のプロレスラーとしての成長に大きく貢献したと言えるでしょう。

1988年10月、ファーナスは全日本プロレスに初来日を果たします。そして、ダニー・クロファットとのタッグチーム『カンナム・エクスプレス』を結成。このタッグチームは、全日本プロレスにおいて大きな成功を収め、アジアタッグ王座を5回も獲得する偉業を達成しました。注目すべき点は、このタッグチームが日本限定の活動だったことです。海外では、ファーナスとクロファットはそれぞれシングルプレイヤーとして活躍していました。

1990年代後半、ファーナスは全日本プロレスを離れ、今度はクロファット（リングネームをフィル・ラフォンに変更）とのコンビで、1996年11月よりWWF（後のWWE）に参戦します。しかし、1997年にはWWFを解雇されてしまいます。その後、ECWへと移籍し、1997年12月5日にはフル・ブラッデッド・イタリアンズのリトル・グイドー＆トレイシー・スマザーズからECW世界タッグ王座を奪取する快挙を成し遂げました。クロファットがECWを離れた後も、ファーナスは1998年下期までECWに在籍し、ロブ・ヴァン・ダム、スパイク・ダッドリー、アル・スノー、2・コールド・スコーピオ、ボビー・ダンカン・ジュニア、田中将斗といった、個性豊かなレスラーたちと対戦しました。

彼の得意技は、フランケンシュタイナー、独特の空中回転を伴うドロップキック、カナディアン・バックブリーカー、ジャーマン・スープレックスなど、多彩で迫力あるものでした。これらの技で観客を魅了し、数々の勝利を収めました。

2012年3月2日、ファーナスはアリゾナ州ツーソンの自宅で眠るようにして亡くなりました。享年52歳。死因はアテローム性動脈硬化と高血圧性心疾患と発表されました。晩年はパーキンソン病と闘病していたと言われています。

ダグ・ファーナスは、アメリカンフットボール、パワーリフティング、そしてプロレスと、複数の分野で卓越した才能を発揮した稀有な存在でした。彼の残した功績は、プロレス界の歴史に永遠に刻まれることでしょう。彼の活躍は、多くのプロレスファンに感動と興奮を与え続け、これからも語り継がれていくに違いありません。彼の激しい闘い、そして短い生涯は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。

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