デューイ・ロバートソン

デューイ・ロバートソン：ミッシング・リンクへの変貌と波乱万丈なプロレス人生

デューイ・ロバートソン（本名：Byron James John Robertson）は、1939年2月28日にカナダ・オンタリオ州キッチナーで生まれ、2007年8月16日に68歳で亡くなったプロレスラーです。彼は、デューイ・ロバートソンとして正統派のパワーファイターとしてキャリアをスタートさせましたが、1984年に怪奇派のミッシング・リンクに変身し、その名をプロレス史に刻みました。

正統派レスラーとしてのデビューと下積み時代

1965年、ロバートソンは地元トロントでデューイ・ロバートソンとしてデビュー。ホイッパー・ビリー・ワトソンのバックアップを受け、ベビーフェイスのハンサムガイとして活躍しました。トロントを拠点に、アメリカ中西部、北東部、南部を転戦し、1968年にはフロリダで坂口征二と対戦。セントルイスでは、ウイルバー・スナイダーやディック・ザ・ブルーザーといったスター選手のパートナーを務めました。

1974年には、ザ・デストロイヤーの義兄弟であるビリー・レッド・ライオンとタッグチーム「ザ・クルセーダーズ」を結成し、覆面レスラー、マスクド・クルセーダー2号として活動。1977年には全日本プロレスに初来日し、アジアタッグ王座に挑戦しました。

その後、素顔に戻り、メープル・リーフ・レスリングやミッドアトランティック・チャンピオンシップ・レスリングで活躍。1979年にはNWAカナディアン・ヘビー級王座を獲得し、1980年にはNWAミッドアトランティック・タッグ王座を奪取。当時アメリカ修行中だった天龍源一郎とも対戦し、タッグ王座を争いました。

1981年からはセントラル・ステーツ・レスリングに参戦し、TV王座を獲得。1982年からはヒールに転向し、マイク・ジョージやマニー・フェルナンデスと抗争。NWAセントラル・ステーツ・ヘビー級王座を2度獲得しましたが、1983年にハーリー・レイスに敗れ、同地区を離れました。

ミッシング・リンクへの衝撃的な変身

1984年、ロバートソンはビル・ワットが主宰するMSWAで、スカンドル・アクバをマネージャーに迎え、ミッシング・リンクに変身。顔面に緑色のペイントを施し、頭髪を部分的に剃り上げたその姿は、正統派レスラー時代を知る人々を驚かせました。

ミッシング・リンクは、猿から人間への進化の過程上に存在したとされる謎の生物というキャラクターで、アメリカ南部を中心に異色のヒール人気を獲得。ジム・ドゥガンやアンドレ・ザ・ジャイアントとも対戦しました。

WCCWでは、キラー・カーンやスーパー・デストロイヤーズと共闘し、ケビン&ケリー・フォン・エリックやファビュラス・フリーバーズと激闘を展開。CWFでは、バグジー・マグローやワフー・マクダニエルと抗争しました。

WWF参戦と晩年

1985年、ロバートソンはWWFに短期間参戦し、ボビー・ヒーナンをマネージャーに迎え、マディソン・スクエア・ガーデンでジョバーを一蹴。ポール・オーンドーフやブルーノ・サンマルチノといったメインイベンターとも対戦し、WWFインターコンチネンタル・ヘビー級王座にも挑戦しました。

WWF離脱後はWCCWに復帰し、1986年にはUWFにも登場。1987年にはプエルトリコのWWCでスタン・ハンセンとも対戦しました。

その後、ドラッグ問題を克服し、腎臓の摘出手術を受けました。1995年にはWARに来日し、ミッシング・リンクとして初の日本マット参戦を果たし、天龍と再会しました。

1997年に現役を引退し、以降はインディー団体にスポット出場し、ファンフェスタなどのイベントにも出演。2007年8月16日、癌のため68歳で亡くなりました。

得意技と獲得タイトル

ロバートソンの得意技は、ヘッドバット（後頭部の髪を掴み、相手の腹部を狙う独特のスタイル）、ダイビング・ヘッドバット、アバランシュ・ホールド、フィギュア・フォー・レッグロック（ミッシング・リンク変身以前）などです。

彼は、NWAトライステート、メープル・リーフ・レスリング、ミッドアトランティック・チャンピオンシップ・レスリング、セントラル・ステーツ・レスリングなど、様々な団体で数々のタイトルを獲得しました。

デューイ・ロバートソンは、その変貌とリング内外での波乱万丈な人生で、多くのプロレスファンに記憶されるレスラーです。

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