ポール・オーンドーフ

ポール・オーンドーフ：鋼鉄の肉体と複雑な人間関係で彩られたレスリング人生

ポール・オーンドーフ（1949年10月29日-2021年7月12日）は、アメリカ合衆国フロリダ州出身のプロレスラーである。その卓越したパワーと鍛え上げられた肉体は、多くのファンを魅了し、「ミスター・ワンダフル」のニックネームで知られた。日本では「鋼鉄男」と呼ばれ、強烈な印象を残した。

学生時代からプロレスラーへの転身

オーンドーフはタンパ大学でアメリカンフットボールに打ち込み、NFLドラフトで指名されたものの、NFL入りは叶わなかった。その後、地元フロリダに戻り、レスリングの道へ進むことを決意する。ヒロ・マツダの下で鍛錬を積み、1976年にプロレスラーとしてデビューした。

南部を拠点に活躍、そしてNWAでの成功

デビュー後は南部エリアを中心に活躍し、NWA南部ヘビー級王座、NWA北米ヘビー級王座を獲得。NWAミッドアトランティック地区では、ジミー・スヌーカとのタッグチームでNWA世界タッグ王座にも輝いた。さらに、アラバマのSECWでは、タンパ大学時代の友人であるディック・スレーターとタッグを組み、NWAサウスイースタン・タッグ王座を獲得するなど、数々のタイトルを獲得していった。ビル・ワットのMSWAではミッドサウス北米ヘビー級王座を争い、テッド・デビアス、ディック・マードックらと激しい抗争を繰り広げた。ジム・バーネット主宰のジョージア・チャンピオンシップ・レスリングではナショナル・ヘビー級王座を4回獲得し、NWA世界ヘビー級王座挑戦も果たした。

WWFでの華麗なるキャリアとハルク・ホーガンとの激闘

1983年末、オーンドーフはWWF（現WWE）に移籍。「ミスター・ワンダフル」としてナルシシスト的なヒールとして人気を博した。ロディ・パイパー、カウボーイ・ボブ・オートンらと悪役トリオを結成し、レッスルマニア1ではハルク・ホーガン＆ミスターTと対戦した。その後、ベビーフェイスに転向し、ホーガンとタッグを組む時期もあったが、再びヒールに戻り、ホーガンとの激闘を繰り広げた。特に、ザ・ビッグ・イベントでのメインイベントやサタデー・ナイト・メイン・イベントのスチールケージマッチは、WWE史に残る名勝負として語り継がれている。

WCWでの活躍と引退

WWFを離れた後、WCWに登場。WCW世界TV王座、WCW世界タッグ王座（ポール・ローマとのタッグチーム「プリティ・ワンダフル」として）を獲得するなど、活躍を続けた。しかし、長年の怪我や病気の影響もあり、1995年に引退。その後は、WCWパワープラントの教官やロード・エージェントとして後進の育成に携わった。

新日本プロレスとの関わり

1980年代には新日本プロレスにも参戦。長州力、藤波辰巳を破るなど活躍を見せたが、前田日明との対戦では敗れ、新日本プロレスに定着することはなかった。

晩年と評価

2005年にはWWE殿堂入りを果たした。2014年にはRAWにゲスト出演し、往年の輝きを観客に見せつけた。2021年7月12日、71歳で死去した。

オーンドーフは、類まれなパワーとカリスマ性で多くのファンを魅了したレスラーであった一方、ハルク・ホーガンとの複雑な関係性、そして、激しい性格も知られている。テリー・ファンクはオーンドーフを「怒らせてしまうと面倒な男」と評しているが、同時に「根は本当にいいヤツ」とも語っている。オーンドーフは、プロレス界に大きな足跡を残した、伝説的なレスラーと言えるだろう。

得意技

パイルドライバー
パワースラム
ドロップキック
エルボー・バット
クローズライン
カーフ・ブランディング

獲得タイトル

オーンドーフは、NWA、WWF、WCWなど複数の団体で数々のタイトルを獲得した。そのリストは非常に長く、ここでは省略する。WWE殿堂入り、NWA殿堂入りも果たしている。

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