ナショナル・エアラインズ102便墜落事故

ナショナル・エアラインズ102便墜落事故



2013年4月29日、アフガニスタンのバグラム空軍基地で発生したナショナル・エアラインズ102便墜落事故は、離陸直後の貨物機（ボーイング747-428BCF）が制御不能となり墜落した航空事故です。この事故により、乗員7名全員が命を落としました。

事故機の概要



- エールフランス向けに旅客・貨物混載型として製造され、パリ - 成田線などで運用。
- 2007年に全貨物型に改修、エールフランスカーゴに移管。
- 2010年にナショナル・エア・カーゴが購入。

当日の102便



  • - 乗員:
- 運航乗務員：4名（機長・副操縦士 各2名）
- 作業員：3名（エンジニア2名、ロードマスター1名）
  • - 積荷:
- MRAP（対地雷伏撃防護装甲車）約80トン
- オシュコシュM-ATV 2台（1台あたり約14.7t）
- フォース・プロテクション クーガー装甲車3台（1台あたり約17.2t）

事故の経緯



ナショナル・エアラインズ102便は、バスティオン基地からドバイへの輸送を担っていました。事故当日、フランスの米軍基地からアフガニスタンのバスティオン基地を経由し、MRAPを積載後、ドバイへ向かう予定でした。

給油のため立ち寄ったバグラム空軍基地で、15時30分に離陸した直後、高度約370メートルで機首が上がり失速。機体は左に傾いた後、右に大きく傾いて急降下し、道路脇に墜落、大爆発を起こしました。この事故で乗員7名全員が死亡し、地上の死傷者はいませんでした。事故発生時、バグラム近郊では雷雨が発生し、風向きが大きく変化していました。

事故の瞬間は、付近を走行していた自動車のドライブレコーダーによって偶然撮影され、動画サイトやニュースで公開されました。この映像は、事故原因の特定に重要な役割を果たしました。

事故調査



事故調査は、アメリカ国家運輸安全委員会（NTSB）とアフガニスタン運輸・民間航空省が共同で行いました。NTSBはボーイング社などの協力を得て、技術的な専門知識を提供しました。

当初、ナショナル・エアラインズは、積荷が適切に固定されていたと主張していました。しかし、調査が進むにつれて、積荷の固定方法に問題があったことが明らかになりました。MRAPのような規格外の貨物は、通常のパレットやコンテナではなく、ナイロン製のラッシングベルトで固定する必要がありました。

ボイスレコーダーの記録によると、バグラム到着後の確認作業で、貨物が5～6cm動き、ラッシングベルトが緩み、一部は破断していたことが判明。離陸前に、破断したベルトの交換と追加のベルトによる補強が行われたものの、根本的な問題は解決されていませんでした。

調査の結果、離陸時に貨物が外れて後方へ移動し、後部圧力隔壁を突き破り、油圧系統に深刻な損傷を与えたことが判明しました。この損傷により機体は制御不能になり、急激なピッチアップと失速が発生し、回復不能な状態に陥りました。

NTSBは、事故の主原因を「貨物固定に対する不十分な手順とロードマスターの不適切な固定作業」と結論づけました。また、ナショナル・エアラインズのマニュアルに記載されたラッシングベルトの本数や角度が不適切であったこと、ロードマスターへの適切な教育が行われていなかったことも判明しました。

余波



この事故は、ニュージーランド軍のアフガニスタンからの撤退作業を一時中断させました。ニュージーランド軍は、ナショナル・エアラインズの利用を無期限で延期しました。

映像化



この事故は、以下のドキュメンタリー番組で映像化されています。



関連項目




外部リンク




この事故は、航空貨物輸送における積荷の固定がいかに重要であるかを改めて示す事例となりました。

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