ピーター・ミューレンバーグ

ジョン・ピーター・ガブリエル・ミューレンバーグ（1746年10月1日 - 1807年10月1日）は、アメリカ合衆国の歴史において重要な役割を果たした人物です。彼は、植民地時代、独立戦争時代、そして戦後の時代を通じて、牧師、軍人、政治家として多岐にわたる活動を展開しました。

初期の経歴

ミューレンバーグは、ペンシルベニア植民地のトラップで、ドイツ系アメリカ人の両親の元に生まれました。父親は聖職者であり、その影響を受けてアカデミー・オブ・フィラデルフィア（現在のペンシルベニア大学）で古典教育を受けた後、ドイツのハレ・アン・デア・ザーレ大学で学びました。また、短期間ですがドイツ竜騎兵隊にも従軍した経験を持ちます。

1768年にルーテル教会の聖職者となったミューレンバーグは、ニュージャージー植民地のベドミンスターで教会の代表を務めた後、バージニア植民地のウッドストックに移りました。1770年には、同じくドイツ系で陶器職人の娘であるアンナ・バーバラ・“ハンナ”・マイアと結婚し、6人の子供をもうけました。1772年にはイングランドを訪れ、聖公会の司祭に叙任されました。バージニアでは、教会の指導に加えて、安全委員会や通信員会でも重要な役割を果たし、1774年にはバージニア植民地議会議員、そして第一次バージニア協議会の代議員にも選出されました。

軍歴

1775年、アメリカ独立戦争が勃発すると、ミューレンバーグは大陸軍第8バージニア連隊の大佐として部隊を立ち上げ、指揮を執ることになりました。ジョージ・ワシントン自らがこの任務を依頼し、ミューレンバーグはそれに応えました。しかし、弟のフレデリック・オーガスタス・ミューレンバーグは、イギリス軍が自分の教会を焼き払うまで、兄の軍への参加を認めませんでした。この事件後、フレデリック自身も軍に加わりました。

1776年1月21日、ウッドストックの聖公会での説教中、ミューレンバーグは旧約聖書のコヘレトの言葉から「全てのものには季節がある」と説き始めました。そして、「戦争のとき、そして平和のとき」という一節を読んだ後、「そして今は戦争の時だ」と宣言し、聖職者のローブを脱ぎ、大佐の軍服を顕わにしました。翌日、ミューレンバーグは300名の兵士を率いて出発し、第8バージニア連隊の中核を形成しました。

ミューレンバーグの部隊はまず南部に駐屯し、サウスカロライナとジョージアの海岸を守備しました。1777年初めには、第8バージニア連隊は北部に派遣され、ワシントンの主力に合流しました。ミューレンバーグはバージニア旅団の准将となり、バレーフォージではナサニエル・グリーンの師団でその旅団を指揮しました。彼は、ブランディワインの戦い、ジャーマンタウンの戦い、そしてモンマスの戦いにも参加しました。モンマスの戦いの後、バージニア旅団の大部分は南部に派遣されましたが、ミューレンバーグは主に民兵隊からなる部隊を率いてバージニアの守備を担当しました。

1781年のヨークタウンの戦いでは、ラファイエットの軽師団で第一旅団を指揮しました。この部隊は、マサチューセッツ、コネチカット、ニューハンプシャー、ロードアイランド、ニュージャージーの各連隊の軽歩兵中隊で構成されていました。この部隊は右翼を担当し、大陸軍の大砲をコーンウォリスの防衛軍に近づけるための2本の塹壕を築く重要な役割を担いました。

1783年、アメリカ独立戦争が終結すると、ミューレンバーグは少将に名誉昇進し、ペンシルベニア州モンゴメリー郡に入植しました。彼はまた、シンシナティ協会のペンシルベニア支部の初期メンバーでもありました。

政歴

戦後、ミューレンバーグはペンシルベニア邦最高執行委員会の委員に選出され、1787年には副委員長に就任しました。しかし、1788年、辞表を提出することなくフィラデルフィアを去り、その理由については記録が残されていません。その後、使者が派遣され、辞表が提出された後、委員会は後任としてデイビッド・レディックを選出しました。

ミューレンバーグは、第1回アメリカ合衆国議会にペンシルベニア州全州から選ばれる下院議員として選出されました。同じ議会では、弟のフレデリックが議長を務めました。1793年には民主共和協会の創立者となり、1793年から1795年、そして1799年から1801年には民主共和党員としてペンシルベニア州選出のアメリカ合衆国下院議員を務めました。1801年にはアメリカ合衆国上院議員に選出されましたが、同年6月30日に辞任しました。

トーマス・ジェファーソン大統領は、ミューレンバーグを1801年にペンシルベニア州歳入監督官に、1802年にはフィラデルフィアの関税徴収人に任命しました。ミューレンバーグは、その職を亡くなるまで務めました。

死と遺産

ミューレンバーグは1807年10月1日、61歳の誕生日にペンシルベニア州モンゴメリー郡で亡くなり、トラップのオーガスタス・ルーテル教会墓地に埋葬されました。ケンタッキー州のミューレンバーグ郡は、彼に因んで名付けられました。

ペンシルベニア州は1889年に、ワシントンD.C.のアメリカ合衆国議会議事堂の国立彫像ホール・コレクションに、州に割り当てられた2つの彫像の1つとして、ミューレンバーグの大理石像を寄贈しました。もう1体は、同じく1889年に収められたロバート・フルトンの大理石像です。

ミューレンバーグは、アメリカ独立戦争において重要な役割を果たし、戦後は政治家としても活躍し、アメリカ合衆国の発展に貢献した人物として、歴史に名を刻んでいます。

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