ファンクションキー

ファンクションキー：コンピュータキーボードの多様な役割

ファンクションキー（Function key、略してFキー）は、コンピュータキーボードに配置された特殊なキーです。一般の文字キーとは異なり、あらかじめ特定の機能が割り当てられているか、またはソフトウェアによって様々な機能を割り当てることができます。いわば、コンピュータとユーザーを繋ぐ汎用的なインターフェースと言えるでしょう。

ファンクションキーの歴史と進化

初期のビデオ表示端末（VDT）では、ファンクションキーはエスケープシーケンスと呼ばれる特殊な文字列を生成し、ホストコンピュータに命令を送信していました。これは、キー自体が直接機能と結びついているわけではなく、コンピュータが解釈することで機能を発揮する仕組みです。

現代のコンピュータでは、ファンクションキーは固定されたスキャンコードを生成し、OSやデバイスドライバを経由してアプリケーションに送信されます。アプリケーションは、このスキャンコードを解釈し、あらかじめ設定された機能を実行します。そのため、同じFキーでも、アプリケーションによって異なる動作をする場合があります。

多様な機種におけるファンクションキー

ファンクションキーの数は機種によって大きく異なります。初期のパーソナルコンピュータでは、搭載されていない機種や、5個、10個程度のものが一般的でした。12個のファンクションキー（F1～F12）が標準になったのは、101キーボード（IBM PC/AT互換機）以降です。

101キーボード: F1～F12が4個ずつグループ化され、キーボード上部に配置されています。初期のIBM PC/XTやPC/AT前期モデルでは、F1～F10が左側に2個ずつ縦に5段に並べられていました。

Apple Macintosh: モデルによって異なり、F1～F12、F1～F15、F1～F16などがキーボード上部に配置されています。過去にはファンクションキーがないモデルもありましたが、近年のモデルでは音量調節やシステム機能の呼び出しなどに利用されています。

Apple Macintosh PowerBook: F1～F12が搭載され、F1～F7にはあらかじめ機能が割り当てられています。

NEC PC-9801/9821: 初期はf1～f10、後にvf1～vf5が追加されました。N88-BASICなどでは、各キーに命令文が登録されていました。

Commodore Amiga: 10個のファンクションキーが5個ずつグループ化され、キーボード上部に配置されていました。

IBM 3270: IBMメインフレーム用の端末では、初期モデルは12個のPFキー（Programmable function key）が3個×4グループに、後期モデルでは24個のPFキーが2段に配置されていました。また、PAキー、Attnキー、SysRqキー、ScrLkキーなど、端末固有の機能を持つキーも搭載されていました。現在の101キーボードレイアウトはこの端末のキーボードを起源としており、一部のキーは継承されています。

シャープ MZ-700/1500: ディファイナブル・ファンクションキーとして、F1～F5が水平に配置されていました。キーのサイズは通常のキーとは異なり、横幅が倍で高さが半分でした。システムによって機能が変化し、ユーザーが任意に変更可能でした。

MSX: F1～F5が最上列に配置され、SHIFTキーとの組み合わせでF6～F10として機能しました。MSX-BASICでは、goto、cload、runなどのコマンドが初期登録されていました。MSX-DOS環境では、MS-DOSの操作に準じた機能が割り当てられていました。

ノートパソコンのFnキー

多くのノートパソコンには、Fnキー（Function key）と呼ばれる修飾キーが搭載されています。これは、OSからは直接認識されず、他のキーと組み合わせて機能します。例えば、Fn＋矢印キーでHomeやEndキーとして機能したり、Fn＋Fキーで液晶の明るさ調節やスリープなどのハードウェア制御を行ったりします。キーの組み合わせや機能はメーカーや機種によって異なります。

まとめ

ファンクションキーは、コンピュータの歴史とともに進化し、多様な機種で異なる形態で用いられてきました。その役割は、単純なコマンド実行から、システム制御、アプリケーション固有の機能実行まで多岐に渡ります。現代のコンピュータにおいても、ファンクションキーは重要なインターフェースとして、ユーザーとコンピュータを繋いでいます。

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