ラムプーン県

ラムプーン県

タイの北部に位置するラムプーン県（タイ語: จังหวัดลำพูน、英語: Lamphun Province）は、歴史と自然が息づく地域です。東側をラムパーン県、南側をターク県、そして北西側をチエンマイ県に囲まれており、特にチエンマイ県とは地理的にも歴史的にも深いつながりがあります。

地理

ラムプーン県は、周囲を山々に囲まれた盆地が広がる地形です。県内を南北に貫く主要な河川はピン川です。この川は、県内の豊かな自然環境を育むとともに、古くから交通や生活の基盤として重要な役割を果たしてきました。山間部から平地へと変化する多様な地形は、様々な景観を生み出しています。

歴史

ラムプーンの歴史は非常に古く、タイ族がこの地に進出してくる以前に遡ります。かつてこの地には、モン族によって建国されたハリプンチャイ王国（Dvaravati-Haripunjaya Kingdom）が存在しました。ハリプンチャイ王国は特に紀元後7世紀頃から繁栄し、ラムプーンはその都として大いに栄えました。仏教文化が花開き、多くの寺院や遺構が建設されました。

しかし、13世紀に入ると、北から台頭してきたタイ族のラーンナータイ王国のマンラーイ王が勢力を拡大します。1281年、マンラーイ王はハリプンチャイ王国を攻略し、これを滅ぼしました。これにより、モン族による独立国家としてのハリプンチャイ王国は終焉を迎えます。

ハリプンチャイ王国の崩壊後、ラムプーンはラーンナータイ王国の支配下に入り、マンラーイ王によって建設された新都チエンマイの衛星都市としての地位を確立します。この時代以降、ラムプーンはチエンマイを中心とする地域の歴史と運命を共にすることになります。

タイが近代国家へと変貌を遂げる中で、ラーマ5世（チュラーロンコーン大王）によるチャクリー改革が進められました。この改革の中で、それまでの地方統治機構が再編され、ラムプーンは現在の「県（チャンワット）」としての地位を与えられ、現代タイ王国の一員としての歩みを始めました。

県の象徴

ラムプーン県の県章には、この地域の歴史と信仰の中心であるワット・プラタートハリプンチャイ（Wat Phra That Hariphunchai）の荘厳な金色の仏塔が描かれています。これは、古都ハリプンチャイの栄華と、現在まで受け継がれる仏教信仰の篤さを象徴しています。

県花は、鮮やかなオレンジ色の花を咲かせるハナモツヤクノキ（Butea monosperma）です。県木には、大きく枝を広げ、木陰を作るモンキーポッド（Samanea saman）が指定されており、これらはラムプーンの自然景観を彩る存在となっています。

行政区分

ラムプーン県は、8つの下位行政区分である「郡（アムプー）」に分けられています。さらに、これらの郡は合計51の「町（タムボン）」、そして520の「村（ムーバーン）」によって構成されており、それぞれに地方行政が行われています。

関連項目

ラムプーン県には、ハリプンチャイ王国の歴史を今に伝えるハリプンチャイ国立博物館や、近代的な経済活動を支える北部工業団地（タイ）などがあり、古代から現代に至るまでのこの地の多様な側面を垣間見ることができます。歴史的な遺産と現代の発展が共存するラムプーン県は、訪れる人々に深い感銘を与えることでしょう。

もう一度検索