リッキー・ロメロ (プロレスラー)

リッキー・ロメロ：スーパーメックスと呼ばれたプロレスラー

リッキー・ロメロ（Enrique Gregory Romero、1931年5月24日 - 2006年1月15日）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンバーナーディーノ出身のプロレスラーです。「ラピッド」リッキー・ロメロ、そして「スーパーメックス」の異名で知られました。

アマチュアからプロレスラーへ

学生時代は野球で才能を発揮し、マイナーリーグからの誘いもありましたが、それを断り、メキシコ人レスラー、ディアブロ・ベラスコに師事しました。2年間の厳しいトレーニングを積んだ後、1952年にプロレスラーとしてデビューを果たしました。

初期は地元である南カリフォルニアのロサンゼルス地区で経験を積み、1950年代後半からはテキサス西部のアマリロ地区を主戦場としました。

アマリロ地区での活躍

ドリー・ファンク・シニアとのタッグは強力で、NWA南西部タッグ王座を何度も獲得しました。1962年には、フリッツ・フォン・エリックとジン・キニスキーという強豪チームを破り、王座を奪取しています。アマリロ地区に定着してからは、ブッカーとしても活動し、プロモーターであるファンク・シニアのパートナーとして、リング内外で重要な役割を果たしました。

他地区での活躍と日本での試合

1967年には、ロサンゼルスのWWAでペドロ・モラレスとタッグを組み、WWA世界タッグ王座を2度獲得しました。同年には日本プロレスに初参戦し、アントニオ猪木、吉村道明組が保持していたアジアタッグ王座に挑戦しました。1968年には、ダラス地区でニック・ボックウィンクルと組み、同地区版のNWA世界タッグ王座を獲得しています。

アマリロ地区では、NWA北米ヘビー級王座を巡り、マイク・デビアス、ダッチ・サベージ、ドン・ジャーディン、パット・パターソンといった強豪レスラーたちと激しい戦いを繰り広げました。テリー・ファンクともタッグを組み、NWAウエスタン・ステーツ・タッグ王座をかけて、韓国人チームと対戦しています。ドリー・ファンク・ジュニアのNWA世界ヘビー級王座にも挑戦し、60分時間切れ引き分けという死闘を演じました。

ロッキー・マウンテン・ヘビー級王者としても、1970年代を通じて活躍し、ニューメキシコ州アルバカーキを拠点に、ブル・ラモス、ダスティ・ローデス、ハーリー・レイスらとタイトルを争いました。特に、メキシコ系インディアンのブル・ラモスとは、デスマッチで激しい抗争を繰り広げました。1972年には、テキサス・ブラスナックル王座を獲得し、ラフファイターたちを相手に防衛戦を行いました。

メヒコ・グランデとしての来日

1973年1月には、覆面レスラー「メヒコ・グランデ」として全日本プロレスに参戦しました。「アマリロ地区の番頭」「ファンク一家の参謀」として知られていたにもかかわらず、素顔で全日本プロレスに参戦することはなく、メヒコ・グランデとして3度来日しました。1977年6月の最後の来日では、天龍源一郎の日本デビュー戦の相手を務めています。

引退後

アマリロ地区では、1976年に息子のスティーブン・ロメロ（ジェイ・ヤングブラッド）とNWAウエスタン・ステーツ・タッグ王座を獲得。1979年には、全日本プロレスの高千穂明久とのタッグで、同王座を通算11回目の戴冠を果たしました。1981年にNWAウエスタン・ステーツ・スポーツの運営を引き継ぎましたが、同年に活動を停止しました。

その後は、パシフィック・ノースウエスト・レスリングやセントラル・ステーツ・レスリングなどを転戦し、1982年にNWAセントラル・ステーツ・タッグ王座を獲得。これが最後のタイトルとなり、1983年に引退しました。

2006年1月15日、糖尿病による合併症のため74歳で亡くなりました。

得意技

キャノンボール
スリーパーホールド
ドロップキック
ダイビング・クロス・ボディ

タイトル歴

数多くのタイトルを獲得し、地域に根ざしたプロレスラーとして、その名を刻みました。

NWA南西部タッグ王座
NWAテキサス・ブラスナックル王座
NWAロッキー・マウンテン・ヘビー級王座
NWAウエスタン・ステーツ・ヘビー級王座
NWAウエスタン・ステーツ・タッグ王座
NWA北米ヘビー級王座（アマリロ版）
NWA北米タッグ王座（アマリロ版）
NWA世界タッグ王座（アマリロ版）
NWAセントラル・ステーツ・タッグ王座
WWA世界タッグ王座

リッキー・ロメロは、その人柄と実力で多くのファンを魅了し、プロレス界に大きな足跡を残しました。

もう一度検索