三吉周亮

三吉周亮の生涯

三吉周亮（みよし かねすけ）は、天保12年（1842年）に長州藩の益田元固の四男として生まれ、後に長府藩の三吉家の養子となりました。幼名は榮之進、内匠、彜太郎といい、通称は内蔵介と称しました。安政2年（1855年）には、長府藩主毛利元周より偏諱を受け、周亮と名乗るようになりました。

生い立ちと家督相続

1842年、長州藩の家臣である益田元固の四男として誕生。1852年、長府藩の重臣である三吉造酒の養子となり、三吉家を継ぐことになります。しかし、養父の隠居により、10代前半で家督を継いだ際に、家禄を200石減らされるという苦難も経験しました。

三吉家は代々長府藩の家老職を務める名門で、1500石もの禄高を誇っていました。領地も吉見村、庭田村など複数にわたり、その善政は人々に長く語り継がれていたとされています。特に吉見村では、豊作を祝う式典で領主を招き、祝歌を披露することが恒例となっていました。

幕末の動乱期

安政6年（1859年）には、江戸加判役として江戸に赴任し、砲術や兵学を学びました。江戸滞在中に桜田門外の変が起こると、井伊家を見舞い、藩邸の守衛を命じられたというエピソードが残っています。

その後、国元加判役に任じられ、沿岸警護の任に就きます。第一次長州征討の際には、三条実美ら五卿を功山寺に迎え入れました。下関戦争では、自らの所領が戦火に巻き込まれた際、私財を投じて地域住民の被害を補償しました。

講和談判では、高杉晋作と共に本使として任命されましたが、偽名を使っての交渉を拒否。副使の高杉晋作が偽名を用いて交渉にあたることとなりました。

薩長同盟への貢献

第一次長州征討後、高杉晋作らが挙兵すると、周亮は彼らに協力し、資金と武器を提供しました。これにより、長府藩主から切腹を命じられますが、西郷隆盛らのとりなしにより取り消しとなりました。その過程で西郷隆盛と会談し、高杉晋作との会談を斡旋するなど、薩長和解に尽力しました。

薩長同盟締結の際には、坂本龍馬と会談を重ね、彼の竹島（現在の鬱陵島）開拓計画にも賛同しました。慶応2年（1866年）には報国隊の惣督として第二次長州征討を戦い、その功績により加増も受けています。また、長府藩が購入したイギリス製軍艦「満珠艦」の艦長も務めました。

明治維新後の活躍

明治維新後、周亮は豊浦藩（旧長府藩）の権大参事に任じられ、脱隊騒動や一揆の鎮圧に尽力しました。その後、宇都宮県、新川県、鳥取県、豊岡県の参事や県令などを歴任し、地方行政に携わりました。明治中期には山口県会議員も務めています。

死去と遺産

明治36年（1903年）、62歳でその生涯を閉じました。墓所は長府毛利家の菩提寺である功山寺にあります。戒名は見性院殿鐡心智行大居士、鷺月院殿釋消雲秋水大居士です。

栄誉と顕彰

周亮の功績は、生前から様々な形で顕彰されました。桜田門外の変の功労に対して藩主から三所物を賜り、家督減禄の復元時には刀を賜りました。明治維新後も、位階や賞品を授与されています。特に、鳥取県での中学寄付金に対する貢献は高く評価されています。

著作

周亮の日記や記録は、『三吉周亮履歴并日記中摘要』として刊行され、当時の貴重な資料となっています。また、『婚姻又ハ養子養女ノ取組』や『轉宗改式之節不及離檀状之件』など、当時の社会状況を知る上で重要な資料も残されています。


三吉周亮は、激動の時代を生き抜き、幕末から明治にかけて日本の変革に貢献した人物として、後世に語り継がれています。

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