上宮天満宮

上宮天満宮：歴史と文化が息づく高槻の神社

大阪府高槻市天神町に鎮座する上宮天満宮は、菅原道真公を主祭神とする神社です。太宰府天満宮に次ぐ古さを誇り、「北山の天神さん」として親しまれています。その歴史は古く、社伝によれば、太古の昔より武日照命が当地に降臨したと伝えられています。

創建と由緒

現在の境内地は古くから「天神山」と呼ばれ、弥生時代には集落が存在したことが考古学的にも確認されています。上宮天満宮の創建は、正暦4年（993年）に勅使・菅原為理が太宰府天満宮から菅原道真公の霊を奉じて帰途、牛車が動かなくなったことから始まります。為理は、この地に菅原道真公の祖先である野見宿禰命の祖廟があることを知り、道真公の自画像を奉安して祀ることを決定しました。この出来事が上宮天満宮の創建の始まりです。

元々は、『延喜式神名帳』に記載される「野身神社」があり、土師氏によって祀られていたと考えられています。この野身神社は、野見宿禰命の墓と伝わる宿禰塚古墳の上に位置し、後世に道真公を祀る天満宮が創建される際に一体化されたと推測されています。地名にも「のみ」という古い地名が残っており、古くからの歴史を感じさせます。境内周辺には、弥生時代の天神山遺跡や、昼神車塚古墳、中将塚古墳などがあり、古代からこの地が栄えていた様子を窺い知ることができます。

歴史の舞台となった上宮天満宮

中世以降も上宮天満宮は歴史の重要な舞台となります。永禄11年（1568年）には織田信長が、芥川山城攻めの際に本陣を構え、天正6年（1578年）には高槻城主の高山右近により社殿が焼失するなど、激動の時代を過ごしました。しかし、山崎の戦いの後、羽柴秀吉は戦勝祈願に感謝し、天正18年（1590年）に社地を寄進し、社殿を再建しました。

その後も、高槻藩主・永井直清による拝殿や大鳥居の再建など、幾度となく修復・再建を繰り返しながら、人々の信仰を集め続けてきました。明治12年（1879年）には「野身神社」に改称、郷社に列格されましたが、太平洋戦争後は元の「上宮天満宮」の名に復しています。平成8年（1996年）には放火により本殿が焼失するという悲しい出来事がありましたが、平成14年（2002年）には、日本初の竹製の本殿として再建され、現在に至っています。

見どころ

境内には、平成14年（2002年）に再建された竹製の美しい本殿をはじめ、明暦2年（1656年）に再建された拝殿、絵馬堂、神楽所、そして約2万平方メートルにも及ぶ孟宗竹林「千辨万華」など、見どころが満載です。本殿脇には鎌倉時代の石造灯籠があり、重要美術品に指定されています。また、本殿前には宝暦9年（1759年）に寄進された上宮型狛犬が安置されています。

摂社として野見神社、末社として皇大神社、厳島神社、春日社、四社殿などがあり、それぞれに由緒深い歴史があります。毎年2月25日と26日には、高槻市最大の祭典「初天神」が開催され、多くの市民でにぎわいます。

アクセスと周辺環境

JR京都線高槻駅から徒歩約7分、阪急電鉄京都本線高槻市駅から徒歩約16分とアクセスも良好です。周辺には、弥生時代の集落跡である天神山遺跡や、前方後円墳の昼神車塚古墳などがあり、歴史探訪にも最適な場所です。

上宮天満宮は、歴史と自然が調和した、魅力あふれる神社です。高槻を訪れた際には、ぜひ参拝してみてください。

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