上野原町

上野原町の歴史と地理

上野原町は、山梨県の北東部に位置し、北都留郡に属していました。2005年2月13日に南[[都留郡]]の秋山村と合併し、上野原市となり、その歴史に幕を閉じました。町域は、三国山（生藤山）、高柄山、三頭山、扇山といった山々に囲まれ、相模川（桂川）、鶴川、仲間川などの河川が流れる自然豊かな場所でした。

先史・古代

上野原町を含む郡内地方は、縄文時代の遺跡が数多く分布しており、桂川や鶴川沿いを中心に多くの遺跡が発掘されています。特に縄文時代中期には遺跡が多く見られますが、後期・晩期になると減少する傾向が見られます。弥生時代以降の遺跡は比較的少ないです。古代の律令制下では、都留郡に属し、町域は南西部が都留郷、東部が古郡郷に属していたと考えられています。

平安時代後期には、上野原を中心とする古郡が武蔵七党の横山氏から分出した古郡氏の支配を受けました。鎌倉時代の建暦3年（1213年）の和田合戦で古郡氏が滅亡すると、加藤氏が支配を引き継ぎました。これらの氏族が支配拠点としたとされる内城館跡が残っています。

中世

都留郡は甲斐国と武蔵国・相模国の国境に位置していたため、周辺地域との交流が盛んであった一方、紛争も絶えませんでした。室町時代の応永33年（1426年）には、鎌倉公方の足利持氏による武田信長追討の侵攻を受け、文明10年（1478年）には加藤氏が長尾景春の乱に加担したため、太田道灌の侵攻を受けました。

戦国時代には、相模国の後北条氏との関係が強まり、外交関係の変化に伴い、様々な出来事が起こりました。享禄3年（1530年）には八坪坂で後北条氏と郡内地方を領する小山田氏との合戦が起こり、天文23年（1554年）には武田晴信（信玄）の娘が後北条氏に嫁ぐ際に、上野原で引き渡されました。加藤氏は国中地方を領する守護武田氏に属し、国境の防備にあたり、永禄12年（1569年）には武田氏の相模侵攻にも参加しました。

西原には武田氏の一族である西原武田氏（一宮武田氏）が配置され、同所に鎮座する一宮神社は一宮浅間神社（笛吹市一宮町）を勧請した神社です。西原武田氏の詳細は不明ですが、『甲斐国志』によれば、西原に居館があり「丹波屋敷」と呼ばれていたといいます。一宮神社の天文9年（1540年）の棟札には檀那として「源朝朝臣武田四郎太郎有氏」の名が見られ、『甲斐国草稿』によれば、天正2年（1574年）の棟札には武田有氏（丹後守）の名が記されていたとされています。

大椚の日野集落の西部には、長峰砦跡があります。長峰砦は中世の山城で、周辺には大倉砦や牧野砦など複数の城砦が分布しています。近世には甲州街道沿いに位置することから、武蔵・相模方面に備えた国境警備の城郭であったと考えられています。『甲斐国志』では城主を加藤景忠（丹後守）とする説を紹介しつつも、これを否定しています。

近世・近現代

近世には、浅野氏時代の文禄3年（1594年）に行われた検地により16か村が成立し、谷村藩・秋元氏時代には21か村に増加しました。近世甲斐国の地域区分である九筋二領では、全村が都留郡に属しています。享保9年には、甲斐一国が幕府直轄領となり、町域の諸村は幕領となりました。

江戸時代には、町域南部の桂川・仲間川沿いに甲州街道が整備され、上野原宿・鶴川宿・野田尻宿・犬目宿の4宿が設置されました。上野原宿では六歳市が開かれました。このため、生業は農業や林業などの山稼ぎに加え、街道での駄賃稼ぎや郡内織生産を中心とする郡内地方特有の形態となりました。天保7年（1836年）8月に郡内から発生し、甲斐一国の騒動となった郡内騒動では、犬目村の組頭・兵助が下和田村（大月市七保町下和田）の武七とともに首謀者となりました。

犬目峠は甲州街道の名所として知られ、葛飾北斎の『冨嶽三十六景』には「甲州犬目峠」が、歌川広重の『不二三十六景』には「甲斐犬目峠」が描かれています。

近代には、1901年（明治34年）に中央線が上野原町まで開通しましたが、道路整備が進むと交通の拠点としての地位は低下しました。戦後には首都圏に組み込まれ、ベッドタウン化が進みました。

1970年（昭和45年）2月12日には、犬目宿の民家から火災が発生し、宿場町の古い建物が次々と焼失する災害が発生しました。また、同年3月20日には大野の老人ホームからも火災が発生し、4人の高齢者が亡くなるという痛ましい事故が起きました。

沿革

1889年（明治22年）7月1日：町村制施行により、上野原村として発足。
1897年（明治30年）12月27日：上野原村が町制施行し、上野原町となる。
1955年（昭和30年）4月1日：上野原町、巌村、大鶴村、大目村、甲東村、西原村、島田村、棡原村が合併し、新たな上野原町が発足。
2005年（平成17年）2月13日：上野原町と秋山村が合併し、上野原市となる。

行政と経済

上野原町の最後の町長は奈良明彦氏と藤田胸太郎氏でした。主な産業は農林業と商工業で、特産品としては酒まんじゅうが知られています。

地域と教育

町内には、山梨県立上野原高校、日本大学明誠高等学校、帝京科学大学などの教育機関がありました。

交通

鉄道は中央本線が通り、上野原駅と四方津駅が利用されました。道路は中央自動車道上野原IC、談合坂SA、国道20号（甲州街道）、山梨県道30号、33号、35号などが整備されていました。

名所・旧跡・観光スポット

牛倉神社祭典が毎年9月に行われていました。また、平野田休養村やコモアしおつ、上野原大正館などの施設がありました。

出身有名人

版画家の河内成幸氏、元東京都八王子市長の波多野重雄氏、アナウンサーの水越千尋氏などを輩出しています。

参考文献

* 日本歴史地名大系19巻『山梨県の地名』1995年。

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