下北交通大畑線

大畑線

大畑線は、かつて青森県の下北半島に存在した鉄道路線です。下北交通によって運営され、下北駅と大畑駅を結んでいましたが、2001年にその歴史に幕を閉じました。この路線は、旧国鉄の特定地方交通線として、地域住民の生活を支える重要な役割を担っていました。

路線概要

- 区間: 下北駅 - 大畑駅 (18.0km)
- 駅数: 8駅（起終点含む）
- 線路: 全線単線
- 電化: 全線非電化
- 閉塞方式: スタフ閉塞式

歴史

建設の背景

大畑線の歴史は、下北半島の開発と国防という二つの側面から語ることができます。1921年に大湊まで鉄道が開通した後、1922年の改正鉄道敷設法では、下北半島を縦断し大間まで至る路線の構想が示されました。これは、国防上の重要拠点であった下北半島と北海道を結ぶ鉄道網の一部として計画されたものです。明治時代には、函館区長の常野正義が野辺地から大間まで鉄道を敷設し、函館との間を船舶で結ぶことで、東京-函館間の所要時間を短縮するという構想を提唱しました。また、阿部覚治は、関門トンネルの着工を契機に、函館と大間を海底トンネルで結ぶ壮大な計画を提唱しました。

戦時下の建設と中断

大畑線の建設が本格化したのは、1937年（昭和12年）のことです。大間にあった大日本帝国陸軍の津軽要塞の強化に伴い、大間線の一部として下北 - 大畑間が着工され、1939年に開業しました。建設時には、樺山飛行場への資材輸送にも利用されました。その後、大間までの延伸工事も進められましたが、太平洋戦争の戦況悪化により1943年に中断されました。

戦後の変遷と廃止

戦後、大畑線は海産物や木材の輸送で賑わいましたが、徐々に輸送量が減少し、1980年には国鉄再建法により第一次特定地方交通線に指定されました。当初はバス転換も検討されましたが、南部縦貫鉄道が引受を表明したこと、また、地元バス会社である下北バスが経営地盤を守るために引受を表明したことにより、存続が決まりました。1985年には、下北バスが下北交通に社名を変更し、大畑線の運営を引き継ぎました。しかし、経営状況は厳しく、車両や施設の老朽化も進み、2001年に廃止となりました。当初の予定より2ヶ月早い廃止となりました。

年表

- 1939年（昭和14年）12月6日：下北 - 大畑間が開業。
- 1960年（昭和35年）2月25日：気動車を投入。
- 1966年（昭和41年）12月15日：海老川駅新設。
- 1968年（昭和43年）:

- 5月16日：十勝沖地震により不通。
- 5月24日：国鉄盛岡鉄道管理局長が廃止を示唆。
- 7月13日：復旧工事開始。
- 10月31日：運転再開。

- 1979年（昭和54年）2月1日：貨物営業廃止。
- 1981年（昭和56年）9月18日：第一次特定地方交通線として廃止承認。
- 1985年（昭和60年）7月1日：国鉄大畑線廃止、下北交通に転換。
- 1995年（平成7年）1[[2月1日]]：樺山駅を冬季休業化。
- 2001年（平成13年）4月1日：廃止。

運行形態

1日に10往復程度の運行が行われていました。転換時には、列車交換が可能な駅はなく、全線が1閉塞となっていました。国鉄時代には、野辺地駅 - 大湊駅 - 大畑駅という運転系統があり、夜間滞泊は大湊駅で行っていました。下北交通への転換後は、大畑駅に車庫が設置され、大畑駅で車両を留置するダイヤに変わりました。

駅一覧

- 下北駅
- 田名部駅
- 陸奥関根駅
- 海老川駅
- 川代駅
- 正津川駅
- 樺山駅（冬季休業）
- 大畑駅

大畑駅では、大間線が接続する計画がありましたが、実現には至りませんでした。

代替バス

下北交通は、自社でバスを運行しており、大畑線廃止後は、代替バスを運行しています。当初は、下北駅 - 大畑駅間を運行し、廃止された田名部駅も経由していました。その後、佐井線と統合され、現在は朝晩を除き、下北駅 - 佐井車庫間の運行となり、田名部駅は経由しなくなりました。

輸送・収支実績

(民鉄主要統計『年鑑日本の鉄道』1988年-2003年を参照)

車両

国鉄から譲渡されたキハ22形3両が、キハ85形として使用されました。これらの車両は、便所やデッキの撤去、ワンマン運転対応の整理券発行機の設置などの改造が施され、白地に赤色の塗色に変更されました。廃止後は、大畑駅跡で動態保存されています。