中院通秀

中院通秀：室町時代の公卿・歌人

中院通秀（なかのいん みちひで）は、室町時代中期から後期にかけて活躍した公卿であり、歌人としてもその名を残しました。准大臣・中院通淳の長男として生まれ、初名は通時と称しました。官位は従一位・内大臣にまで昇り、十輪院内府と号しました。また、歌人として高名な肖柏は彼の弟にあたります。

経歴

以下に、中院通秀の経歴を『公卿補任』、『尊卑分脈』、『実隆公記』に基づいて詳述します。

宝徳2年（1450年）3月29日、参議に任ぜられます。当時、従四位上左中将でした。その後まもなく正四位下に昇叙します。
宝徳3年（1451年）3月26日、備前権守を兼任します。
享徳2年（1453年）2月、従三位に叙せられます。同年12月29日には権中納言に昇進します。
康正2年（1461年）3月29日、権中納言を辞任しますが、同年4月9日には正三位に昇叙します。
寛正3年（1462年）8月28日、権大納言に任ぜられます。
寛正4年（1463年）6月27日、権大納言を辞任します。
寛正5年（1464年）1月13日、権大納言に還任し、同月16日には節会の内弁を務めます。
寛正6年（1465年）1月5日、従二位に昇叙。同年6月5日に権大納言を辞任しますが、8日には再び権大納言に還任します。
文明元年（1469年）9月26日、正二位に昇叙します。
文明8年（1476年）3月21日、権大納言を辞任します。
文明11年（1479年）10月5日、権大納言に還任します。
文明13年（1481年）1月7日、従一位に叙され、同日に権大納言を辞任します。
文明17年（1485年）3月25日、内大臣に任ぜられますが、わずか2日後の27日には内大臣を辞任します。
長享2年（1488年）6月2日、出家し、法名を妙益と名乗ります。
明応3年（1494年）6月22日、67歳で薨去します。

歌人としての活動

『実隆公記』には、通秀が歌人として三条西実隆や宗祇らと共に歌会に参加していた様子が記録されています。文明15年（1483年）10月には、足利将軍家から和歌についての意見を求められるなど、その歌才は高く評価されていました。かねてより実隆らと歌会や和漢御会を頻繁に催しており、その後も積極的に参加しています。

中院家久しぶりの内大臣

中院家では、中院通顕以来、通冬、通氏、通守、通淳と4代にわたって内大臣を輩出することができませんでしたが、通秀は久しぶりに内大臣に昇任しました。『実隆公記』によれば、文明17年（1485年）3月16日に行われた扇合わせの歌会に、通秀も参加予定でしたが、腫物のため参加できず、代わりに扇を寄せて兆子らに託したとあります。そして同月25日、通秀が望んでいた内大臣に任ずるという知らせがもたらされました。しかし、そのわずか2日後の27日には内大臣を辞任しています。

内大臣を辞任した通秀は、文明17年（1485年）4月7日に御所で行われた和漢御会に出席しており、この頃には病が癒え、歌会などに再び参加できるようになったと考えられます。

『園太暦』の買取

自身の日記である『十輪院内府記』によると、洞院公賢の日記『園太暦』約125巻を、公賢の5代目の末裔である洞院公数から約1000疋で購入したことが記されています。

系譜

父：中院通淳（1389-1451）
母：中院通敏の娘
妻：不詳
子女：女子
養子：中院通世（久我通博の末子）

中院通秀は、室町時代における公家社会や文化活動において重要な役割を果たした人物であり、彼の日記や歌会への参加記録は、当時の社会情勢や文化交流を知る上で貴重な資料となっています。

参考文献

『公卿補任』（新訂増補国史大系）吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会（編）
『尊卑分脈』（新訂増補国史大系）吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会（編）
史料纂集、『十輪院内府記』、奥野高広、片山勝、続群書類従完成会
『実隆公記』、三条西伯爵家御蔵版、大洋社

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