乳姉妹 (小説)

菊池幽芳『乳姉妹』とその映画化作品群

『乳姉妹』は、菊池幽芳によって1903年（明治36年）に発表された小説です。大阪毎日新聞と東京日日新聞で連載され、翌年には春陽堂から単行本として刊行されました。小説は評判を呼び、新派劇団によって競って舞台化されたといいます。

映画化の歴史

『乳姉妹』は、小説の発表後からたびたび映画化されています。1909年（明治42年）の吉沢商店製作・配給作品を皮切りに、1936年（昭和11年）の大都映画製作作品まで、計13回 映画化されました。

特筆すべきは、1936年版です。当時すでに映画はトーキーが主流でしたが、大都映画はあえてサイレント映画として製作・配給しました。そのため、『乳姉妹』の映画化作品はすべてサイレント映画となっています。

映画作品一覧

以下に、『乳姉妹』の映画化作品の一部を年代順に紹介します。

1918年版
監督: 田中栄三
キャスト: 藤川三之助、五月操、衣笠貞之助
製作: 日活向島撮影所

1922年 日活版
監督: 田中栄三
キャスト: 中山歌子、新井淳
製作: 日活向島撮影所

1922年 松竹版
監督: 池田義臣
脚本: 伊藤大輔
キャスト: 栗島すみ子、関根達発、五月信子
製作: 松竹蒲田撮影所

1923年版
監督: 野村芳亭
オムニバス映画『幽芳集』の一篇として製作
キャスト: 岩田祐吉、五月信子、梅村蓉子
製作: 松竹下加茂撮影所

1925年版
監督: 島津保次郎
脚本: 野田高梧
キャスト: 児玉英一、若葉照子、筑波雪子
製作: 松竹蒲田撮影所

1929年版
監督: 阪田重則
キャスト: マキノ智子、松浦築枝、谷崎十郎
製作: マキノ・プロダクション御室撮影所

1932年版
監督: 野村芳亭
キャスト: 岡田嘉子、川崎弘子、岡譲二
製作: 松竹蒲田撮影所

1936年版
監督: 吉村操
キャスト: 琴糸路、佐久間妙子、橘喜久子
製作: 大都映画

小説『乳姉妹』

小説は現在でも読むことができます。国立国会図書館に蔵書があるほか、以下の書籍に収録されています。

『乳姉妹』、菊池幽芳、春陽堂、1904年1月
『幽芳全集 第2巻』、菊池幽芳、国民図書、1925年
『明治文学全集 93』、筑摩書房、1969年
* 『菊池幽芳全集 第2卷』、菊池幽芳、日本図書センター、1997年5月 ISBN 4820581813

まとめ

菊池幽芳の小説『乳姉妹』は、大正から昭和初期にかけて何度も映画化された人気作品です。サイレント映画として製作されたこれらの作品は、日本の映画史においても重要な位置を占めています。各作品の詳細は、IMDbなどの外部リンクを参照してください。

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