木汗可汗

木汗可汗（Muqan qaγan）

木汗可汗（ぼくかんかがん、拼音：Mùhàn kĕhàn、? - 572年）は、突厥の可汗であり、突厥を最盛期に導いた人物です。乙息記可汗の弟で、名は燕都（えんと）といいます。木汗可汗は称号であり、姓は阿史那（あしな）氏です。『隋書』では木杆可汗と表記されています。

生涯

553年、兄である乙息記可汗の死後、子の摂図（せつと）ではなく、弟の燕都が後を継ぎ、木汗可汗となりました。即位後、まず柔然を撃ち滅ぼし、柔然可汗の鄧叔子（とうしゅくし）は西魏に亡命しました。さらに、西方のエフタルを破り、東方の契丹を敗走させ、北方のキルギスを併合するなど、周辺諸国を次々と征服しました。

これにより、突厥の版図は東は遼海（渤海？）以西、西は西海（アラル海）に至り、南はゴビ砂漠以北、北はバイカル湖にまで及ぶ広大な領域を支配するようになりました。木汗可汗は西魏に対し、亡命中の鄧叔子の処刑を要求し、西魏の宇文泰（うぶんたい）はこれを許可し、鄧叔子は処刑されました。

554年、木汗可汗は吐谷渾（とよくこん）を襲撃し、これを破りました。556年には、宇文泰に娘を嫁がせようとしましたが、宇文泰が死去したため、この縁談は実現しませんでした。

その後、北周との関係を深め、558年と561年に使節を派遣して貢物を献上しました。また、娘（阿史那皇后）を北周の武帝に嫁がせることになり、北斉からの求婚を断りました。563年、北周の武帝は隋公の楊忠（ようちゅう）に兵1万を率いさせ、突厥と共に北斉を討伐しました。楊忠軍は陘嶺（けいれい）を渡り、木汗可汗は騎馬10万を率いて合流しましたが、564年、晋陽（しんよう）で北斉の武成帝を攻めたものの、勝利を得られませんでした。木汗可汗は兵を出して略奪を行い、帰還しました。その後も北斉討伐を請願しましたが、兵糧不足のため撤退を余儀なくされました。

567年と569年にも北周に使節を送り、貢物を献上しました。572年に死去し、弟の他鉢可汗（タトパル・カガン）が後を継ぎました。

人物

木汗可汗は、顔が大きく赤色で、眼は瑠璃色をしていたと伝えられています。性格は剛暴で勇猛であり、知略にも長けていました。

家族

息子
大邏便（阿波可汗）
鞅素特勤…泥利可汗の父
娘
阿史那皇后

参考文献

『周書』（列伝第四十二 異域伝下）
* 『隋書』（列伝第四十九 北狄）

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