伊春市

伊春市（いしゅんし）

伊春市は、中華人民共和国黒竜江省の北東部に位置する地級市です。市域は小興安嶺山脈の麓に広がり、豊かな森林に覆われています。市内の人口は約80万人で、漢民族を中心に、満洲族、朝鮮族、回族、オロチョン族などの少数民族が暮らしています。

地理

伊春市は黒竜江省の北東部に位置し、東は蘿北県、鶴崗市、湯原県、南は依蘭県、通河県、西は慶安県、綏棱県、北は遜克県、嘉蔭県と隣接しています。また、北は黒竜江を隔ててロシアと国境を接しています。市域は低山丘陵地帯であり、小興安嶺山脈が東南方向に伸びています。

歴史

市名は、湯旺河の支流である伊春河に由来し、モンゴル語で「九」を意味します。清代にはチチハル副都統とフラン副都統の管轄下にあり、清末民初には湯原県の管轄となりました。本格的な開発は満州国成立後、1941年に綏佳線が建設され、1942年には湯林線の南岔-伊春区間が開通しました。1945年には湯原県公署が伊春地区に伊春街を設置。

満州国崩壊後、1946年に湯原県南岔区の管轄となりましたが、1949年に伊春鎮が設置され、翌年には伊春森林鉱業管理局が設立されました。1952年には伊春県が設置され、松江省（後に黒竜江省）の管轄となりました。その後、林業と工業の発展に伴い人口が増加し、1957年に県から市に昇格、1958年には地級市となりました。

気候

伊春市は温帯大陸性モンスーン気候に属し、年間降水量は約630mmです。年平均気温は1.0℃で、1月の平均気温は-22.5℃、7月の平均気温は21.0℃と、寒暖差が大きいのが特徴です。

行政区画

伊春市は、4つの市轄区、1つの県級市、5つの県を管轄しています。

市轄区: 伊美区、烏翠区、友好区、金林区
県級市: 鉄力市
県: 嘉蔭県、湯旺県、豊林県、大箐山県、南岔県

年表

1957年7月26日: 伊春県が地級市伊春市に昇格。
1957年11月20日: 南岔区、帯嶺区など8つの区が発足。
1958年8月27日: 伊春市が松花江専区に編入。
1964年1月15日: 松花江専区伊春市が地級市に昇格、10区を設置。
1964年6月23日: 伊春市が特区に移行、伊春特区となる。
1964年12月21日: 紅星区、東風区など5つの区が発足。
1965年4月5日: 伊新区が分割され、伊東区、伊春鎮が発足。
1966年4月5日: 伊東区が烏敏河区に編入。
1967年10月: 伊春特区が地級市伊春市に昇格。
1967年10月28日: 烏伊嶺区が発足、伊春鎮が区制施行し伊春区となる。
1969年10月13日: 浩良河区が南岔区に編入、双子河区が友好区に編入、西林区が発足。
1970年4月1日: 伊春市が伊春地区に編入、県級市に降格。
1979年12月14日: 伊春市が地級市に昇格、嘉蔭県、鉄力県を編入。
1983年12月24日: 烏敏河区が烏馬河区に、東風区が湯旺河区に、大豊区が金山屯区に改称。
1988年9月13日: 鉄力県が市制施行し、鉄力市となる。
2019年6月29日: 湯旺河区、烏伊嶺区が合併し湯旺県に、新青区、紅星区、五営区が合併し豊林県に、帯嶺区と鉄力市の一部が合併し大箐山県に、南岔区が県制施行し南岔県に、伊春区、美渓区、烏馬河区の一部が合併し伊美区に、翠巒区と烏馬河区の残部が合併し烏翠区に、友好区、上甘嶺区が合併し友好区に、西林区、金山屯区が合併し金林区となる。

経済

伊春市は中国の主要な林業地帯の一つで、「祖国林都」や「紅松の郷」と称されています。森林蓄積量は2.45億立方メートルに達し、チョウセンゴヨウ、カラマツ、トウヒなどの木材が豊富です。年間木材生産量は全国の1/10を占めています。

また、金、銀、銅、鉄、錫、鉛、石炭などの鉱物資源も産出します。漢方薬の材料や朝鮮人参、エゾウコギ、マツの実、キクラゲ、キノコ、ヤマブシタケ、エゾライチョウ、クロテンなどの野生動物も豊富です。

交通

市内には綏佳線、南烏線が運行しており、ハルビン市から伊春までの幹線道路が終点となっています。2009年には伊春林都空港が開港し、北京や上海などとの空路が開設されました。

空港
伊春林都空港

鉄道
中国鉄路総公司
中国鉄路ハルビン局集団公司
綏佳線
南烏線

道路
高速道路: 鶴哈高速道路、伊斉高速道路
国道: G222国道、G332国道

健康・医療・衛生

市内には、伊春林業中心医院、烏翠人民医院、伊春市婦幼保健院など、多数の病院や医療機関があります。

名所・旧跡・観光スポット

豊林国家自然保護区
涼水自然保護区

姉妹都市

バート・ヴィルドゥンゲン（ドイツ）
ビロビジャン（ロシア）
アズガ（ルーマニア）
カムローズ（カナダ）
ケミヤルヴィ（フィンランド）

脚注

伊春市人民政府

関連項目

酸菜
ハルビンビール
東北菜
[アムール川]
松花江
松嫩平原
小興安嶺山脈
亜寒帯冬季少雨気候
闖関東
在瀋陽日本国総領事館

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