佐伯常人

佐伯 常人の生涯と業績

佐伯常人（さえきのつねひと）は奈良時代に生きた貴族で、官位は正四位下・衛門督という地位を持ちました。常人の経歴は、彼の昇進と役職についての動向に大きな特徴があります。

官位の昇進

常人は天平9年（737年）、従六位下から外位ながら、一気に四階昇進し従五位下に叙せられ、翌年の天平10年（738年）には丹波守に任命されました。このような急速な昇進は、当時の貴族社会において注目されるものでした。さらに、天平11年（739年）には内位の従五位下となり、地位を確立していきます。

反乱への対応

しかし、彼の名が歴史に刻まれることとなったのは、天平12年（740年）に起こった大宰少弁藤原広嗣の反乱でした。この年の8月末、反乱が九州で勃発すると、常人は大将軍・大野東人らの指示で9月5日に勅使として九州へ派遣されました。彼の官職は衛門督であり、反乱を鎮圧するための重要な任務を帯びていました。

常人は9月22日に、式部少輔・安倍虫麻呂と共に約4000名の軍士を率いて九州に上陸し、板櫃の地で陣を張ります。その後、10月9日に藤原広嗣が率いる兵士たちが板櫃川に到着し、渡河を試みる場面に直面します。常人は虫麻呂と共に弩を用いてこれを阻止し、6000名の軍士を引き連れて東岸に布陣しました。

常人はその際、隼人たちに対して広嗣に従うことの危険性を訴え、官軍への協力を促します。この呼びかけは功を奏し、広嗣に従っていた隼人たちや兵士たちは矢を放つことをためらうようになります。当然、広嗣が何度も呼びかけに応じない中、長時間のやりとりが続いた結果、数十名が常人側に降伏しました。これが板櫃川の戦いとして歴史に名を刻むこととなります。

昇進の続き

その後、乱が鎮圧されると、常人はその功績により11月21日に正五位下に叙せられ、さらなる昇進が続きます。天平13年（741年）には正五位上に昇進し、天平15年（743年）には従四位下、そして天平20年（748年）には従四位上へと、常人の地位は次第に高まっていきました。最終的には天平21年（749年）には正四位下に至ります。

造都への関与

この間、天平17年（745年）の紫香楽宮遷都においても常人は重要な役割を果たしています。急な造都による人員不足のため、本来担うべき家系には召集できなかった石上・榎井両氏の代わりに、大伴牛養と共に宮の門に大楯と槍を立てる役割を果たしました。これにより、造都においても貢献したことが伺えます。常人の生涯は、官位の昇進を遂げつつ、国家の重要な局面で活躍したことが特徴的です。

結論

佐伯常人は奈良時代を代表する貴族の一人であり、その迅速な昇進と反乱の鎮圧における役割は、彼の名を歴史に残す一因といえるでしょう。彼の業績は、古代日本の政治的な動向を理解する上で非常に重要な要素となっています。

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