保田妙本寺

保田妙本寺（ほたみょうほんじ）

保田妙本寺は、千葉県安房郡鋸南町吉浜に位置する日蓮宗の寺院です。正式には中谷山妙本寺と称し、日興の法脈を継承する富士門流に属しています。静岡県東部を中心に分布する富士五山（北山本門寺、上条大石寺、西山本門寺、小泉久遠寺、下条妙蓮寺）や、京都要法寺、伊豆実成寺とともに、興門八本山を構成する重要な寺院の一つです。地域では千葉妙本寺、安房妙本寺、吉浜妙本寺などの通称でも親しまれています。

歴史

保田妙本寺の歴史は古く、その起源は1338年（延元3年）に足利尊氏が寺の坊地を安堵したことに遡ります。戦国時代には、里見氏の保護を受け、寺側も城砦として利用されるなど、軍事的な役割も担っていました。特に、後北条氏との戦いにおいては最前線基地として重要な役割を果たしました。また、4代目の日郷から49世の日邦までの間は、小泉久遠寺と両山一首制が採られ、「久妙両山」と称されていました。

沿革

1338年（延元3年）：足利尊氏が保田妙本寺の坊地を安堵。
1341年（興国2年）：薩摩阿日睿が日郷から教えを受ける。
1353年（正平8年）：日郷が本尊聖教類を吉浜宝蔵に安置し、吉浜法華堂を日伝に付嘱。その後、山城房日明に託される。
1354年（正平9年）：日明が薩摩阿日睿の本迹問答を記録。日慶が日郷の分骨を日向に納める。板本尊が彫刻される。
1382年（弘和2年）：法一が土地を御堂に寄進。
1395年（応永2年）：成喜が寺地を安堵。
1401年（応永8年）：足利持氏が寺地を安堵。
1419年（応永26年）：板本尊が彫刻。
1454年（享徳3年）：足利成氏が制札を掲げる。
1477年（文明9年）：日向諸末寺と和融。
1506年（永正3年）：藤平の母が田地を寄進。
1514年（永正11年）：11代三河阿惣持坊日要が寂。
1553年（天文22年）：兵禍により焼失。
1577年（天正5年）：再建。
1580年（天正8年）：宇部弘政が田地を寄進。
1581年（天正9年）：大聖人300遠忌。日侃と日我が島津藩に末寺庇護を訴える。
1591年（天正19年）：里見義康が寺領を安堵し、諸役を免除。
1593年（文禄2年）：里見義康が田地を寄進。
1606年（慶長11年）：里見忠義が50石を寄進。
1648年（慶安1年）：日前が後董を求める。
1686年（貞享3年）：西山本門寺との出入を取り下げ。
1732年（享保17年）：日興・日目400遠忌。客殿再建。
1858年（安政5年）：本堂焼失。
1865年（慶応1年）：客殿再建。
1876年（明治9年）：日蓮宗興門派結成に参加。
1899年（明治32年）：日蓮本門宗に改称。
1941年（昭和16年）：日蓮宗に合同。
1957年（昭和32年）：日蓮宗を離脱し、日蓮正宗に。
1960年（昭和35年）：本堂再建。
1995年（平成7年）：日蓮正宗から独立し、単立の宗教法人に。

境内

境内には、本堂をはじめとする様々な建物があり、歴史を感じさせる雰囲気が漂っています。具体的な伽藍配置は以下の通りです。

本堂
客殿
庫裡
山門
鐘楼
宝蔵

旧本末

保田妙本寺は、かつて多くの末寺を抱えていました。主な旧末寺は以下の通りです。

中谷山下之寺（塔頭）
中谷山西之寺（塔頭）
中谷山山本寺（塔頭）
中谷山久圓寺（塔頭）
円融山大行寺（日蓮宗）
福谷山妙顕寺（日蓮宗）
法光山本顕寺（日蓮正宗）
永豊山本乗寺（日蓮正宗）
立古山顕徳寺（単立）
成光山妙蓮寺（日蓮宗）
長興山遠本寺（単立）
長継山妙遠寺（日蓮宗）

年中行事

保田妙本寺では、年間を通じて様々な行事が行われています。

1月1日：新年勤行会
1月7日：七草会
1月11日：御蔵開き
2月16日：宗祖御誕生会
3月春分の日：春季彼岸会
4月25日：御開山会
4月28日：立宗会
7月13-15日：お盆（大・吉・保地区）
8月13-15日：お盆（他地区）
9月12日：龍ノ口法難会
9月秋分の日：秋季彼岸会
10月第3日曜：御霊宝御虫払い会
11月11日：小松原御法難会
11月13日：御会式
12月31日：年末勤行会
毎月13日：御講

文化財

保田妙本寺には、数多くの文化財が所蔵されていますが、特に有名なのは日蓮の真蹟本尊とされる「万年救護本尊」です。この本尊は、寺宝の中でも最も重要なものとされています。

交通アクセス

JR内房線保田駅より南へ約2キロ。

脚注

注釈

出典

関連項目

勝劣派
富士門流
富士五山
興門八本山
かつて日蓮正宗に属していた寺院一覧

参考文献

日蓮宗寺院大鑑編集委員会 編『日蓮宗寺院大鑑』

外部リンク

妙本寺砦

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