備中高梁駅

備中高梁駅：備中松山城への玄関口、そして高梁市の拠点

備中高梁駅は、岡山県高梁市旭町に位置する西日本旅客鉄道（JR西日本）伯備線の駅です。駅番号はJR-V12。高梁市の代表駅として、地域の交通の中枢を担っています。伯備線は当駅以北が単線となるため、岡山方面からの普通列車の約半数がここで折り返します。かつては折り返し列車の一部が当駅で折り返していましたが、2020年3月14日のダイヤ改正により、総社駅で折り返す列車も増えました。

特急停車とアクセス向上

特急列車では「やくも」号が全列車停車します。さらに、2015年3月14日のダイヤ改正からは、寝台特急「サンライズ出雲」も停車駅に加わり、利便性が大きく向上しました。この停車実現には長年の努力がありました。ICOCAにも対応しており、ICカードでの乗車もスムーズです。事務管コードは▲650408です。

駅名は「高梁」ですが、佐世保線に「高橋駅」があるため、旧国名「備中」を冠しています。国内で「高梁」の駅名はここだけです。

歴史を刻む駅

備中高梁駅の開業は1926年6月20日、伯備南線（現在の伯備線）美袋駅～木野山駅間の延伸開業と同時です。1928年10月25日には伯備南線が伯備線の一部となり、当駅も伯備線に編入されました。

1947年12月11日には、昭和天皇のお召し列車が3分間停車し、駅前では奉迎が行われました（昭和天皇の戦後巡幸）。1972年3月15日には特急「やくも」の運転が開始、1973年9月18日には当駅以南が複線化されました。貨物取扱は1983年12月25日に廃止されました。

国鉄分割民営化後の1987年4月1日からはJR西日本の駅となり、1989年4月には高梁バスセンターが開設されました。2004年3月2日には東西自由通路が完成、2007年7月8日にはICOCA対応の自動改札機が導入され、9月1日よりICOCAが利用可能になりました。

2013年12月には、自由通路を活用した橋上駅舎の建設工事が着工、2015年3月14日のダイヤ改正で寝台特急サンライズ出雲の停車が開始、4月11日に新駅舎が使用開始となりました。その後も、新駅舎完成式典（4月29日）、高梁バスセンターの東口仮移転（6月1日）、東口広場と都市計画道路の完成（9月）、西口広場の完成（2016年4月11日）、高梁市複合施設の完成と高梁バスセンターの再移転（2017年2月）など、駅周辺の整備が順次進められました。2018年には平成30年7月豪雨による被害で運休しましたが、8月1日には全列車の運行が再開されました。2020年には臨時特急WEST EXPRESS銀河が停車、2021年2月18日にはみどりの窓口の営業が終了し、2月19日にはみどりの券売機プラスが導入されました。

駅構造とバリアフリー

備中高梁駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の、計2面3線の地上駅です。橋上駅舎を備え、倉敷側が複線、新見側が単線の交換可能な駅となっています。JR西日本の直営駅で、新見駅管理下の地区駅です。自動改札機は開閉式、改札外にはICOCAチャージ対応の自動券売機とみどりの券売機プラスが設置されています。2021年3月13日からは新見方面でもICOCAが利用可能になりました。

新駅舎と周辺環境

現在の橋上駅舎は2015年4月11日から使用開始されました。既存の自由通路を活用した設計で、中央に改札口、西側に券売機が配置されています。高梁市は2016年に駅出入口の愛称を公募し、東口を「寺巡り口」、西口を「城見通り口」と決定しました。

エレベーターはコンコースと各ホームに各1基、自由通路の城見通り口と寺巡り口に各1基の計4基が設置され、バリアフリー化が実現しています。発車標はLED式です。トイレとコインロッカーは西口階段下に1ヶ所のみです。

のりばは上り本線が1番のりば、下り本線が3番のりばで、特急列車も停車します。2番のりばは上下共用の待避線です。旧駅舎時代とはのりば番号が変更されています。新駅舎建設時に上りホームを嵩上げし、段差を軽減しています。留置線もあり、夜間滞泊も可能です。

駅周辺とアクセス

駅周辺には、高梁市複合施設、栄町商店街、金融機関、高梁市役所などが立地しています。西口広場からは備中松山城を望むことができ、城下町地区の古い街並みがすぐ近くにあります。「紺屋川筋」は日本の道100選にも選ばれています。駅南西側は商業店舗が集中し、高梁川を渡った対岸には行政機関や公共施設があります。

高梁市複合施設は駅に隣接し、2階部分は駅の自由通路と直結しています。1階には高梁バスセンター、複数の店舗、2～4階には高梁市図書館、蔦屋書店、スターバックスコーヒー、高梁市観光案内所などが入っています。高梁バスセンターは備北バスが管理運営しています。

バス路線は高梁市中心部や近隣地域をカバーし、観光客向けの乗合タクシーも運行されています。また、季節限定で岡山桃太郎空港や吹屋への直行バスも運行されています。

備中高梁駅は、高梁市の玄関口として、そして備中松山城へのアクセス拠点として、重要な役割を担っていると言えるでしょう。映画「男はつらいよ」シリーズのロケ地にもなった歴史ある駅です。

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